R4 関西広域連合 第3章 主な医薬品とその作用 (問21-30)

問26 鎮静系の漢方薬は迷うかも

問21
かぜ薬の配合成分に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せを一つ選べ。
かぜ薬とは、かぜの諸症状の緩和を目的として使用される医薬品の総称である。その中には、鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を拡げる成分として( a )、咳を抑える成分として( b )、及びくしゃみや鼻汁を抑える成分として( c )が配合されているものがある。

  a b c
1  グアイフェネシン  / イソプロピルアンチピリン  / エテンザミド
2  グアイフェネシン  / ノスカピン  / エテンザミド
3  メチルエフェドリン塩酸塩  / イソプロピルアンチピリン  / エテンザミド
4  メチルエフェドリン塩酸塩  / イソプロピルアンチピリン / ヨウ化イソプロパミド
5  メチルエフェドリン塩酸塩  / ノスカピン  / ヨウ化イソプロパミド


a メチルエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動成分で、気管支拡張成分として総合感冒薬では頻用されている。また、濫用等のおそれのある医薬品としても指定されている。
b ノスカピンは非麻薬性鎮咳成分。
c ヨウ化イソプロパミドは抗コリン成分で、くしゃみや鼻水を抑える目的で配合される。

正答・・・5


問22
かぜ薬に含まれる炎症による腫れを和らげる成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a グリチルリチン酸二カリウムの作用本体であるグリチルリチン酸は、化学構造がステロイド性抗炎症成分に類似していることから、抗炎症作用を示すと考えられている。

b グリチルリチン酸二カリウムは、血栓を起こすおそれのある人に使用する場合は、医師や薬剤師に相談するなどの対応が必要である。

c トラネキサム酸は、体内での起炎物質の産生を抑制することで炎症の発生を抑え、腫れを和らげる。

d トラネキサム酸を大量に摂取すると、偽アルドステロン症を生じるおそれがある。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


a 正しい。
b 誤り。これはトラネキサム酸に関する内容である。
c 正しい。
d 誤り。これは、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウムに関する内容である。
なお、抗炎症成分のトラネキサム酸は「のどの痛み」向けを謳った総合感冒薬に良く配合されている。

正答・・・4


問23
体力虚弱のもののかぜの症状緩和に用いることができる漢方処方製剤の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 葛根湯
b 麻黄湯
c 香蘇散
d 小柴胡湯

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正


かぜの症状緩和に用いられる漢方処方製剤の主なものに、葛根湯麻黄湯小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯桂枝湯香蘇散半夏厚朴湯麦門冬湯がある。この選択肢の中で、「体力虚弱」なもののかぜ症状に用いられるのは、香蘇散である。(他に桂枝湯も体力虚弱向け)

a 誤り。なお、葛根湯のキーワードとしては、「体力中等度以上」「感冒の初期(汗をかいていないもの)」「肩こり」「頭痛」などで、「体力虚弱」とくれば容易に除外できるように。

b 誤り。
c 正しい。
d 誤り。

正答・・・3


問24
鎮痛の目的で用いられる漢方処方製剤に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 芍薬甘草湯は、体力中等度以下で手足が冷えて肩がこり、ときにみぞおちが膨満するものの頭痛、頭痛に伴う吐きけ・嘔吐、しゃっくりに適すとされる。

b 疎経活血湯は、体力中等度で、痛みがあり、ときにしびれがあるものの関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛に適すとされる。

c 麻杏薏甘湯は体力中等度なものの関節痛、神経痛、筋肉痛、いぼ、手足のあれに適すとされる。

d 釣藤散は、体力中等度で、慢性に経過する頭痛、めまい、肩こりなどがあるものの慢性頭痛、神経症、高血圧の傾向のあるものに適すとされる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正


a 誤り。これは芍薬甘草湯ではなく、呉茱萸湯に関する記述である。
b 正しい。関連記事:疎経活血湯
c 正しい。関連記事:麻杏薏甘湯
d 正しい。関連記事:釣藤散

正解・・・3


問25
一般用医薬品の解熱鎮痛薬を購入する際に、受診勧奨が必要と考えられる症状の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 激しい腹痛や下痢などの消化器症状を伴う発熱

b 1週間以上続く発熱

c 年月の経過に伴って次第に増悪していくような月経痛

d 起床時に関節のこわばりを伴う関節痛

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問26
次の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適切なものを一つ選べ。

体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの貧血、不眠症、精神不安、神経症に適すとされる。

1 加味帰脾湯
2 桂枝加竜骨牡蛎湯
3 抑肝散
4 柴胡加竜骨牡蛎湯
5 小建中湯


これは、加味帰脾湯に関する記述である。

正答・・・1


問27
一般用医薬品に含まれる有効成分とアルコールとの相互作用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a アルコールは、アスピリンによる胃腸障害を減弱する。

b アルコールは、解熱鎮痛成分の吸収に影響するが、代謝に影響を与えることはない。

c ジフェンヒドラミン塩酸塩は、アルコールとともに服用すると、薬効や副作用が減弱されるおそれがある。

d アセトアミノフェンは、アルコールとともに服用すると、肝機能障害が起こりやすくなる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤


a 誤り。アルコールの作用による胃粘膜の荒れが、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等による胃腸障害を増強するという報告されている。
b 誤り。アルコールが解熱鎮痛成分の吸収や代謝に影響を与え、肝機能障害等の副作用を起こしやすくするおそれがある。
c 誤り。ジフェンヒドラミン塩酸塩の薬効や副作用が増強されるおそれがある。
d 正しい。

正答・・・4


問28
一般用医薬品の催眠鎮静薬及びその配合成分等に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 特段の基礎疾患がない人において、ストレス、疲労、時差ぼけ等の睡眠リズムの乱れが原因の一時的な不眠は、一般用医薬品で対処可能である。

b 入眠障害、熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒等の症状が慢性的に続いている不眠は、抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬により対処可能である。

c 15歳未満の小児では、抗ヒスタミン成分により眠気とは反対の中枢興奮などの副作用が起きやすいため、使用は避ける。

d 妊娠中にしばしば生じる睡眠障害は、ホルモンのバランスや体形の変化等が原因であり、睡眠改善薬の適用対象でない。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


なお、市販の催眠鎮静薬(睡眠改善薬)に使用される抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミン塩酸塩(代表例:ドリエル)です。

a 正しい。
b 誤り。このような不眠については、医療機関を受診させるなどの対応が必要である。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問29
眠気防止薬の有効成分として配合されるカフェインに関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 脳を興奮させる作用があり、脳が過剰に興奮すると、副作用として振戦(震え)、めまい、不安、頭痛等を生じることがある。

b 心筋を興奮させる作用があり、副作用として、動悸が現れることがある。

c 腎臓におけるナトリウムイオンの再吸収促進作用があり、尿量を減少させる。

d 胃液分泌抑制作用があり、その結果、副作用として胃腸障害(食欲不振・悪心・嘔吐)が現れることがある。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


眠気防止薬の有効成分として配合されるカフェインに関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。「再吸収促進作用」ではなく、「再吸収抑制作用」。また、「尿量は減少」ではなく「尿量は増加」する。
d 誤り。「胃酸分泌抑制作用」ではなく、「胃酸分泌亢進作用」。後半は正しい。

正答・・・3


問30
乗物酔い防止薬の配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 不安や緊張などの心理的要因による影響を和らげることを目的として、アリルイソプロピルアセチル尿素のような鎮静成分が配合されている場合がある。

b アミノ安息香酸エチルは、脳に軽い興奮を起こさせて平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させることを目的として用いられる。

c メクリジン塩酸塩は、吐きけの防止・緩和を目的として配合されることがある抗ヒスタミン成分である。

d ジフェニドール塩酸塩は、胃粘膜への麻酔作用によって嘔吐刺激を和らげる。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


a 正しい。関連記事:アリルイソプロピルアセチル尿素
b 誤り。これはカフェインやジプロフィリンなどのキサンチン系に関する記述である。アミノ安息香酸エチルは局所麻酔成分であり、胃粘膜への麻酔作用によって嘔吐刺激を和らげ、乗物酔いに伴う吐きけを抑えることを目的として配合される。
c 正しい。メクリジン塩酸塩は乗り物酔い防止薬として使用される抗ヒスタミン成分で、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長い。また、スコポラミン臭化水素酸塩水和物は乗り物酔い防止薬として使用される抗コリン成分で、肝臓で速やかに代謝されてしまうため、抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間は短い。もセットで学習を。
↓「トラベルミンファミリー」

d 誤り。ジフェニドール塩酸塩は抗めまい成分で、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示す。

正答・・・4

(Visited 504 times, 1 visits today)

Follow me!