薬局製造販売医薬品(薬局製剤)とは・・・具体例
特定販売(ネット販売)の内容で登場する。
個々の薬局オリジナルの製造医薬品(漢方煎じ薬・感冒薬など)
薬局製造販売医薬品は、特定販売(ネット販売・郵送販売)に関連して登場し、問題作成の手引きの脚注には、以下のように説明されています。
「薬局開設者が当該薬局における設備及び器具をもって製造し、当該薬局において直接消費者に販売し、又は授与する医薬品であって、厚生労働大臣の指定する有効成分以外の有効成分を含有しないもの。」
しかし、これだけではイメージが湧かない方も多いかもしれません。
簡単に言うと「個々の薬局内で製造したオリジナルの医薬品」であり、具体的には総合感冒薬、外用薬、煎じ用漢方薬などがあります。なお、調合する成分や分量(レシピ)は、厚生労働省により予め定められています。
実は、薬局にとっては、他店との差別化ができる大変メリットの大きい特権なのですが、現在薬局と言えば「処方箋調剤」がメインとなり、現在行われている所は大変限られています。現在行われているところは、昔ながらの個人薬局や、漢方相談薬局、一部の調剤薬局チェーン等に限られています。
なお、「製造」というと許認可のハードルが高そうなイメージがありますが、調剤を行える一般的な薬局設備に、器具を多少揃えれば、比較的容易に始められます。
また、薬局製造販売医薬品の対象医薬品は、なんと426種類(R5.1.1現在)もあり、そのうち漢方薬が約半数を占めます。
例えば、薬局製造販売医薬品の代表品である「感冒13号A」という処方には
アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェイン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸、ジヒドロコデインリン酸塩、乳糖(賦形剤)が使用されており、定められた成分量で製造します。
(著者も以前、製造したことがあります。個人的な意見ですが、高い市販のかぜ薬に比べて良く効く印象でした。薬局製剤は基本的に散剤になので、効き目が割とシャープなのかもしれません。)
また、漢方薬も薬局製造販売医薬品の代表品になります。
生薬メーカーから桂枝や甘草、生姜等の様々な生薬を取り寄せて、煎じ薬として桂枝湯や、六君子湯、当帰芍薬散などの様々な漢方薬を製造・販売することができます。(市販されているような漢方薬は、ほぼ全て製造できます)
いわゆる「漢方相談薬局」は、薬局製造販売医薬品(薬局製剤)の製造販売承認許可を得て、煎じ薬をつくっています。
しかし、なぜ一般にはマイナーな存在である「薬局製造販売医薬品」が特定販売の対象になったのか?と疑問に思う方も多いでしょう。
これは、かねてから漢方薬を電話相談で販売していた漢方相談薬局からの要望にも応えたものだと言われています。
ネット販売(郵送販売)の規制が行われる以前は、いわゆる「漢方相談薬局」の薬剤師が、遠隔地の漢方購入希望者に対して電話相談することにより、漢方の煎じ薬を販売することが行われていました。
しかし、平成21年6月の改正薬事法施行により、ネット販売規制が行われ、遠隔地の相談者への電話相談販売も原則出来なくなってしまいました。
しかし、業界団体や利用者の要望も考慮されて、平成26年6月の改正薬事法施行時により、第一類、第二類医薬品と共に、特定販売の対象になったと言われています。(但し、あくまで著者個人の推測であることご了承ください。)