R6 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通)第5章 医薬品の適正使用と安全対策 (問111-120)

副作用情報の収集・報告・評価等の出題(問113~問116)は難しい

問111
医薬品等の安全性情報等に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 緊急安全性情報は、ブルーレターとも呼ばれる。

b 緊急安全性情報は、医療機関や薬局等へ直接配布されるものであり、電子メールによる情報伝達は認められていない。

c 安全性速報の対象となるのは、医薬品だけでなく、医療機器や再生医療等製品も対象となる。

d 緊急安全性情報及び安全性速報は、厚生労働省からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成される。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d) 


医薬品等の安全性情報等に関する問題
緊急安全性情報(イエローレター)安全性速報(ブルーレター)との違いはしっかり区別できるようにセット学習を。

a 誤 緊急安全性情報は、イエローレターとも呼ばれる。
b 誤 電子メールによる情報伝達も認められている。
c 正 緊急安全性情報、安全性速報は、医薬品医療機器再生医療等製品が対象となる。
d 正

正解・・・5


問112
医薬品の添付文書情報等の活用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 令和3年8月1日から、医療用医薬品への紙の添付文書の同梱を廃止し、注意事項等情報は電子的な方法により提供されることとなったが、一般用医薬品等の製品は、引き続き紙の添付文書が同梱されている。

b 独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページでは、一般用医薬品・医療用医薬品の添付文書情報を閲覧することができる。

c 添付文書に「使用上の注意」として記載される内容は、その医薬品に配合されている成分等に由来することが多い。

  a b c
1 正 正 正
2 正 誤 誤
3 正 正 誤
4 誤 誤 正
5 誤 正 誤


医薬品の添付文書情報等の活用に関する問題

a 正 これは令和4年手引き改訂で追加された内容。一般用医薬品等の消費者が直接購入する製品は、使用時に添付文書情報の内容を直ちに確認できる状態を確保する必要があるため、引き続き紙の添付文書が同梱されている。 
b 正 関連記事:総合機構のホームページ
c 正 

正解・・・1


問113
医薬品の副作用情報等の収集に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 血液製剤等の生物由来製品を製造販売する企業は、当該製品の安全性について評価し、その成果が副作用情報として有用であったときに速やかに報告すれば、定期的に国へ報告する必要はない。

b 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度において、実務上は、医薬品医療機器等法第68条の13第3項の規定により、報告書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出することとされている。

c 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度は、1967年より、厚生省(当時)が全ての医療機関から直接副作用報告を受ける「医薬品副作用モニター制度」としてスタートした。

d 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に基づく報告を行う医薬関係者には、登録販売者が含まれる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d) 


医薬品の副作用情報等の収集に関する問題
aの生物由来製品の安全性評価の報告制度について問われるのは珍しい。

a 誤 2003年7月から、血液製剤等の生物由来製品を製造販売する企業に対して、当該製品又は当該製品の原料又は材料による感染症に関する最新の論文や知見に基づき、当該企業が製造販売する生物由来製品の安全性について評価し、その成果を定期的に国へ報告する制度を導入している。 
b 正 
c 誤 本制度は、1967年3月より、約3000の医療機関をモニター施設に指定して、厚生省(当時)が直接副作用報告を受ける「医薬品副作用モニター制度」としてスタートした。
d 正

正解・・・4


問114
企業からの副作用等の報告制度に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 登録販売者は、製造販売業者等が行う情報収集に協力するよう努めなければならない。

b 製造販売業者は、製造販売をした医薬品について、その副作用によるものと疑われる健康被害の発生を知った時に医薬品医療機器等法に基づき報告することが義務づけられているが、報告期限は定められていない。

c 一般用医薬品では、既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合されたものについては、10年を超えない範囲で厚生労働大臣が承認時に定める一定期間(概ね8年)、承認後の使用成績等を製造販売業者等が集積し、厚生労働省へ提出する制度(再審査制度)が適用される。

d 医療用医薬品で使用されていた有効成分を一般用医薬品で初めて配合したものについては、承認条件として承認後の一定期間(概ね3年)、品質及び有効性に関する調査及び調査結果の報告が求められている。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 誤 正 


企業からの副作用症例・感染症症例の報告に関する問題。この分野は全国的に近年出題が増えています。

a 正
b 誤 製造販売業者等には、その副作用等によるものと疑われる健康被害の発生、その使用によるものと疑われる感染症の発生等を知ったときは、その旨を定められた期限までに厚生労働大臣に報告することが義務づけられている。具体的な報告期限については、別表5-4を参照を。

c 正 dの解説を参照
d 誤 後半が誤り。「品質及び有効性に関する調査」ではなく「安全性に関する調査」である。この部分を変えて出題されることは珍しく、過去問対策だけでは「正」としてしまった受験生も多かったと思われる。

医療用医薬品で使用されていた有効成分を要指導医薬品・一般用医薬品で初めて配合したもの(いわゆるスイッチOTC)については、承認条件として承認後の一定期間(概ね3年)安全性に関する調査及び調査結果の報告が求められている。
↑最近のものだと、花粉症向けのアレグラFX(フェキソフェナジン)やロキソニンS(ロキソプロフェン)をイメージしてもらればOKです。
参考資料:公開されているロキソニンSの製造販売後調査報告書(副作用の発現状況や症例一覧が記載されている)

また、既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合されたもの(いわゆるダイレクトOTC医薬品)については、10年を超えない範囲で厚生労働大臣が承認時に定める一定期間(概ね8年)承認後の使用成績等を製造販売業者等が集積し、厚生労働省へ提出する制度再審査制度)が適用される。
↑具体的な製品(ダイレクトOTC医薬品)としては発毛剤のリアップ🄬(ミノキシジル)をイメージしてもらえればOKです。

↓スイッチOTC医薬品の区分変更の例


正解・・・4


問115
医薬品の副作用情報等の評価及び措置に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 厚生労働大臣は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構において行われた調査検討の結果に基づき、日本製薬団体連合会の意見を聴いて、安全対策上必要な行政措置を講じている。

b 独立行政法人医薬品医療機器総合機構は、薬事審議会の意見を聴いて、調査・実験の実施の指示、製造・販売の中止、製品の回収等の安全対策上必要な措置を講じている。

c 収集された副作用等の情報は、その医薬品の製造販売業者等において評価・検討され、必要な安全対策が図られる。

d 厚生労働省の健康危機管理に当たっては、科学的・客観的な評価を行うとともに、情報の広範な収集、分析の徹底と対応方針の弾力的な見直しに努め、国民に対して情報の速やかな提供と公表を行うことを基本としている。

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


医薬品の副作用情報等の評価及び措置に関する問題
特に業界未経験の受験生にとっては、イメージがわきづらく丸暗記しづらい分野なので、対応は難しい。

a 誤 「日本製薬団体連合会」ではなく「薬事審議会」の意見を聴いて、安全対策上必要な行政措置を講じている。
b 誤 各制度により集められた副作用情報については、総合機構において専門委員の意見を聴きながら調査検討が行われ、その結果に基づき、厚生労働大臣は、薬事審議会の意見を聴いて、使用上の注意の改訂の指示等を通じた注意喚起のための情報提供や、効能・効果や用法・用量の一部変更、調査・実験の実施の指示、製造・販売の中止、製品の回収等の安全対策上必要な行政措置を講じている。 
(厚生労働大臣が指定する濫用等の恐れのある医薬品の指定範囲の拡大(令和5年)について例にすると、まず総合機構において、薬物中毒等の専門家の意見を聞ききながら濫用の懸念がある一般用医薬品や、その販売方法の見直しを検討し、それらの調査や募集したパブリックコメントを踏まえ改正案を作成し、薬事審議会において、その議題の一つとして出席委員から意見を聞き、対象となる医薬品の範囲を拡大するといった行政措置が取られた、といった流れになります。)
c 正
d 正

正解・・・5


問116
医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定に基づく医薬品の副作用等の報告に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品によるものと疑われる死亡事例のほか、日常生活に支障を来す程度の健康被害についても報告が求められている。

b 安全対策上必要があると認めるときは、医薬品の誤用によるものと思われる健康被害についても報告がなされる必要がある。

c 医薬品の副作用は、使用上の注意に記載されているものに限る。

d 医薬品と副作用の因果関係が必ずしも明確でない場合であっても報告の対象となり得る。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 正 誤 


この問題文だけでは、企業からの報告制度か、医薬関係者からの報告制度か判断しづらいが、「医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定」とあるので、医薬関係者により行われる医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に関する問題である。

a 正 医薬品等によるものと疑われる、身体の変調・不調、日常生活に支障を来す程度の健康被害(死亡を含む。)について報告が求められている。(入院治療の有無は問われていない)
b 正 安全対策上必要があると認めるときは、医薬品の過量使用や誤用等によるものと思われる健康被害についても報告がなされる必要がある。
c 誤 医薬品の副作用は、使用上の注意に記載されているものだけとは限らず、購入者等からの訴えに素直に耳を傾け、そのような副作用があるのでないかという、真摯な対応がなされることが重要である。(総合機構ホームページでは、製薬企業から報告された副作用が疑われる症例に関する情報について公表しており、使用上の注意に記載されていなくても、類似の事例があれば、医薬品による副作用である可能性も考慮するべきである)
d 正

正解・・・1


問117
医薬品副作用被害救済制度に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用による一定の健康被害が生じた場合について、被害者の迅速な救済を図るため、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度として運用が開始された。

b 医薬品を適正に使用した場合であっても、要指導医薬品又は一般用医薬品の一部には、救済制度の対象とならない医薬品がある。

c 健康被害を受けた本人(又は家族)への給付は、医学的薬学的判断を要する事項について薬事審議会の諮問・答申を経て、厚生労働大臣が判定した結果に基づいて行われる。

d 給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料があり、給付の種類によっては請求期限が定められているため、注意する必要がある。

  a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 誤 誤 正 正
3 正 誤 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 正 正


医薬品副作用被害救済制度に関する問題が前年同様に2問続きます。

給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料がある。給付の種類によっては請求期限が定められており、その期限を過ぎた分については請求できないので注意する必要がある。

請求期限の他に、給付額の定額or実費も問われることがあるが、直前期で時間がなければ、給付金の名称と以下の2点だけは最低限押さえて下さい。

請求の期限なし・・・障害年金障害児養育年金
給付額が定額ではない・・・医療費

a 正
b 正 救済制度の対象とならない医薬品が定められており、要指導医薬品又は一般用医薬品では、殺虫剤殺鼠剤殺菌消毒剤人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品精製水ワセリン等)が該当する。
c 正
d 正

PMDAチャンネル↓


正解・・・5


問118
医薬品副作用被害救済制度に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 副作用による疾病のため、入院治療が必要と認められるが、やむをえず自宅療養を行った場合についても、救済給付の対象となる。

b 個人輸入により入手した医薬品を使用して生じた健康被害は、救済制度の対象となる。

c 医薬品の副作用であるかどうか判断がつきかねる場合は、給付請求を行うことはできない。

d 製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合は、救済制度の対象から除外されている。

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d) 


医薬品副作用被害救済制度に関する問題

a 正
b 誤 無承認無許可医薬品(いわゆる健康食品や、個人輸入医薬品を含む。)の使用による健康被害は対象外である。
c 誤 医薬品の副作用であるかどうか判断がつきかねる場合でも、給付請求を行うことは可能である。
d 正 なお、このような場合は医薬品PLセンターへの相談が推奨される。

正解・・・2


問119
一般用医薬品の安全対策に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 一般用かぜ薬の使用によると疑われる肝機能障害の発生事例が報告されたことを受けて、2003年に厚生労働省は、一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示することとした。

b 慢性肝炎患者が小青竜湯を使用して間質性肺炎を発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、厚生省(当時)より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指示された。

c 解熱鎮痛成分としてアミノピリン等が配合されたアンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用(ショック)が発生したことから、厚生省(当時)より関係製薬企業に対し、製品の回収が要請された。

d 塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)が配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告されたことから、厚生労働省は、代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩等への速やかな切替えを指示した。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 正 正 誤 正 


一般用医薬品の安全対策に関する問題

a 誤 「肝機能障害」ではなく「間質性肺炎」である。
b 誤 これは5章頻出。慢性肝炎患者が「 小青竜湯」ではなく「小柴胡湯」を使用して間質性肺炎が発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、1996年3月、厚生省(当時)より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指示された。 
c 正
d 正

正解・・・4


問120
医薬品の適正使用のための啓発活動等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 登録販売者は、適切なセルフメディケーションの普及定着、医薬品の適正使用の推進のため、啓発活動に積極的に参加、協力することが期待される。

b 薬物乱用や薬物依存は、違法薬物(麻薬、覚醒剤、大麻等)によるもので、一般用医薬品によっては生じ得ない。

c 医薬品の適正使用の重要性に関する啓発は、内容が正しく理解されないおそれがあるため、小中学生に行うべきではない。

d 毎年10月17日~23日の1週間を「薬と健康の週間」として、国、自治体、関係団体等による広報活動やイベント等が実施されている。

  a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 誤 正 誤 正
3 正 誤 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 正 正 正 誤


医薬品の適正使用のための啓発活動等に関する問題
10月17日~23日の1週間「薬と健康の週間」と、6月20日~7月19日の1か月「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は押さえておく。


a 正
b 誤 薬物乱用や薬物依存は、一般用医薬品によっても生じ得る。余裕があれば、第4章・濫用等の恐れのある医薬品も確認を。
c 誤 医薬品の適正使用の重要性等に関して、小中学生のうちからの啓発が重要である。
d 正

正解・・・3

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