R2 福岡県(九州地区・沖縄共通) 第3章 主な医薬品とその作用 (問81-90)

問82(温清飲)は注意

問81
月経及び婦人薬の適用対象となる体質・症状に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 月経周期は、種々のホルモンの複雑な相互作用によって調節されており、乳腺で産生されるホルモンと、卵巣で産生される女性ホルモンが月経周期に関与する。

イ 加齢とともに卵巣からの女性ホルモンの分泌が減少していき、やがて月経が停止して、妊娠可能な期間が終了することを更年期という。

ウ 血の道症とは、臓器・組織の形態的異常がなく、抑鬱や寝つきが悪くなる、神経質、集中力の低下等の精神神経症状が現れる病態のことをいう。

エ 月経の約3~10日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、興奮、抑鬱などの精神症状を主体とするものを、血の道症の中でも特に月経前症候群という。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 誤 正


月経及び婦人薬の適用対象となる体質・症状に関する問題。

ア 誤り。×乳腺→〇視床下部や下垂体
イ 誤り。×更年期→〇閉経。なお、閉経前後は、更年期(閉経周辺期)と呼ばれ、体内の女性ホルモンが大きく変動することがある。 
ウ 正しい。
エ 正しい。

正答・・・4


問82
以下の記述にあてはまる婦人薬の漢方処方製剤として、最も適切なものを下から一つ選びなさい。

体力中等度で皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。

1 温清飲
2 四物湯
3 温経湯
4 五苓散
5 大柴胡湯


婦人薬の漢方処方製剤に関する問題。

まずは婦人用薬であることから、四物湯温経湯温清飲に絞ることになる。
その中で「皮膚はかさかさして色つやが悪く」や「湿疹」のキーワードから「温清飲」を選ぶことになる。
但し、なお試験では婦人用薬として登場するものの、どちらかと言えば皮膚疾患用薬として知られた漢方で、選択するのも難しかったでしょう。

正答・・・1


問83
アレルギーの症状の仕組みに関する以下の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。なお、同じ記号の( )内には同じ字句が入ります。

アレルゲンが皮膚や粘膜から体内に入り込むと、その物質を特異的に認識した免疫グロブリン(抗体)によって( ア )が刺激され、細胞間の刺激の伝達を担う生理活性物質であるヒスタミンやプロスタグランジン等の物質が遊離する。( ア )から遊離したヒスタミンは、周囲の器官や組織の表面に分布する特定の( イ )(受容体)と反応することで、( ウ )、血管透過性亢進(血漿タンパク質が組織中に漏出する)等の作用を示す。

  ア イ ウ
1 脂肪細胞 タンパク質 血管拡張
2 脂肪細胞 炭水化物 血管収縮
3 肥満細胞 炭水化物 血管収縮
4 肥満細胞 タンパク質 血管収縮
5 肥満細胞 タンパク質 血管拡張


アレルギーの症状の仕組みに関する問題。
合わせて抗アレルギー成分(クロモグリク酸ナトリウム)も学習を。

ア 肥満細胞
イ タンパク質
ウ 血管拡張

正答・・・5


問84
アレルギー用薬の配合成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 抗ヒスタミン成分によりヒスタミンの働きが抑えられると眠気が促される。
2 ジフェンヒドラミン塩酸塩は、母乳を与える女性は使用を避けるか、使用する場合には授乳を避ける必要がある。
3 ベラドンナ総アルカロイドは、鼻腔内の刺激を伝達する交感神経系に作用することによって、鼻汁分泌やくしゃみを抑える目的で用いられる。
4 トラネキサム酸は、皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげることを目的として用いられる。


アレルギー用薬の配合成分に関する問題。

1 正しい。抗ヒスタミン成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩で確認を。
2 正しい。
3 誤り。ベラドンナ総アルカロイドは抗コリン成分。

4 正しい。トラネキサム酸は抗炎症成分。

正答・・・3


問85
鼻炎及び鼻に用いる薬に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア アレルギー性鼻炎は、鼻腔内に付着したウイルスや細菌が原因となって生じる鼻粘膜の炎症で、かぜ症候群の随伴症状として現れることが多い。

イ アドレナリン作動成分が配合された点鼻薬は、過度に使用されると鼻粘膜の血管が反応しなくなり、逆に血管が拡張して二次充血を招き、鼻づまり(鼻閉)がひどくなりやすい。

ウ 一般用医薬品の鼻炎用点鼻薬の適応範囲は、急性又はアレルギー性の鼻炎及びそれに伴う副鼻腔炎並びに蓄膿症である。

エ かぜ症候群等に伴う鼻炎症状の場合、鼻炎が続くことで副鼻腔炎や中耳炎などにつながることもあるため、そのような症状の徴候に対しても注意する必要がある。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


鼻炎及び鼻に用いる薬に関する問題。アが迷う。

ア 誤り。これは「急性鼻炎」に関する内容。
イ 正しい。関連記事:ナファゾリン塩酸塩
ウ 誤り。一般用医薬品の点鼻薬は、(慢性疾患ともいえる)「蓄膿症」は対象外。
エ 正しい。

正答・・・4


問86
点眼薬に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 点眼薬の1滴の薬液量は、結膜嚢の容積より少ないため、薬液が結膜嚢内に行き渡るよう一度に数滴点眼することが効果的とされる。

イ 点眼後に目頭を押さえることで、薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防ぐことができ、効果的とされる。

ウ 1回使い切りタイプとして防腐剤を含まない点眼薬では、ソフトコンタクトレンズ装着時に使用できるものがある。

エ 一般用医薬品の点眼薬には、緑内障を改善できるものもある。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正


点眼薬に関する問題。

ア 誤り。1滴の薬液の量は約50μL であるのに対して、結膜嚢の容積は30μL 程度とされている。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 誤り。常識的にわかるでしょうが、一般用医薬品の点眼薬には緑内障を対象としたものはない。

正答・・・4


問87
眼科用薬に配合される成分に関する以下の記述について、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア プラノプロフェンは、非ステロイド性抗炎症成分であり、炎症の原因となる物質の生成を抑える作用を示し、目の炎症を改善する。

イ スルファメトキサゾールは、ウイルスによる結膜炎やものもらい(麦粒腫)、眼瞼炎などの化膿性の症状を改善する。

ウ テトラヒドロゾリン塩酸塩は、結膜を通っている血管を収縮させることにより目の充血を除去する。

エ ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの働きを活発にすることで、目の調節機能を改善する。

1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)


眼科用薬に配合される成分に関する問題。

ア 正しい。プラノプロフェンは非ステロイド性抗炎症成分。
イ 誤り。スルファメトキサゾールはサルファ剤(抗菌成分)。すべての細菌に対して効果があるというわけではなく、またウイルスや真菌の感染に対する効果はない。
↓スルファメトキサゾール含有の目薬

ウ 正しい。テトラヒドロゾリン塩酸塩はアドレナリン作動成分。
エ 誤り。ネオスチグミンメチル硫酸塩コリンエステラーゼの働きを抑え毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善するとされる。なお、「疲れ目」向けを謳った点眼薬は、大抵ネオスチグミンメチル硫酸塩が含まれている。

正答・・・2


問88
外皮用薬の配合成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 イブプロフェンピコノールはイブプロフェンの誘導体であるが、外用での鎮痛作用はほとんど期待されない。

2 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは、末梢組織(患部局所)における炎症を抑える作用を示すが、好ましくない作用として末梢組織の免疫機能を低下させる作用を示し、細菌、真菌、ウイルス等による皮膚感染や、持続的な刺激感が現れることがある。

3 皮膚に軽い灼熱感を与えることで痒みを感じにくくさせる効果を期待して、クロタミトンが配合されている場合がある。

4 デキサメタゾンは、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)に共通する化学構造を持たない非ステロイド性抗炎症成分である。


外皮用薬の配合成分に関する問題。

1 正しい。関連記事:イブプロフェンピコノール
2 正しい。プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルはステロイド性抗炎症成分。
3 正しい。関連記事:クロタミトン
4 誤り。デキサメタゾンはステロイド性抗炎症成分。

正答・・・4


問89
外皮用薬に配合される成分及びその主な作用に関する以下の関係の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

配合成分 主な作用
ア ビホナゾール - 皮膚糸状菌の細胞壁を構成する成分の産生を抑制する。
イ 硫酸フラジオマイシン - 細菌の細胞壁合成を阻害する。
ウ スルフイソキサゾール - 細菌のDNA合成を阻害する。
エ ウンデシレン酸 - 患部を酸性にし、皮膚糸状菌の発育を抑制する。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 誤 正


外皮用薬に配合される成分及びその主な作用に関する問題。

ア 誤り。ビホナゾールはイミダゾール系抗真菌成分。皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させることにより、その増殖を抑える。
イ 誤り。硫酸フラジオマイシンは抗菌成分。細菌のタンパク質合成を阻害することにより抗菌作用を示す。 
ウ 正しい。
エ 正しい。関連記事:ウンデシレン酸

正答・・・4


問90
傷口等の殺菌消毒薬に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア マーキュロクロム液はヨードチンキと混合すると不溶性沈殿を生じて殺菌作用が低下する。

イ 消毒用エタノールは、皮膚刺激性が強いため、患部表面を軽く清拭するにとどめ、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することは避けるべきとされる。

ウ ベンザルコニウム塩化物は、石鹸との混合により殺菌消毒効果が低下する。

エ レゾルシンは細菌や真菌類のタンパク質を変性させることにより殺菌消毒作用を示す。

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正


傷口等の殺菌消毒薬に関する問題。

ア 正しい。関連記事:マーキュロクロム液
イ 正しい。
ウ 正しい。ベンザルコニウム塩化物は「陽性界面活性成分」であることも押させておきたい。
エ 正しい。

正答・・・1

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