添付文書の使用上の注意(問114~120)の難易度は高い。
かなり幅広い知識が求められている。
問111
医薬品PLセンターに関する記述について、正しいものの組合せを選べ。
a 医薬品副作用被害救済制度の対象とならないケースのうち、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合には、医薬品PLセンターへの相談が推奨される。
b 消費者が、医薬品又は医薬部外品に関する苦情について、製造販売元の企業と交渉するに当たり、公平・中立な立場で申立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行っている。
c 医療機器に関する紛争処理も、対象としている。
d 製造物責任法の施行と同時に医薬品PLセンターが、各都道府県において開設された。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
前年は、医薬品PLセンターに関する出題が無くなったが、再度出題されました。
a 正
b 正
c 誤 医薬品PLセンターは医薬品又は医薬部外品に関する苦情を受け付けているが、医療機器・化粧品は対象外である点は頻出。
d 誤 後半が誤り。「各都道府県」ではなく「日本製薬団体連合会」において開設された。
正解・・・1
問112
塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有医薬品に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せを選べ。
2003年8月までに、PPAが配合された一般用医薬品による( a )等の副作用症例が複数報告され、それらの多くが用法・用量の範囲を超えた使用又は禁忌とされている( b )患者の使用によるものであった。そのため、厚生労働省から関係製薬企業等に対して、使用上の注意の改訂、情報提供の徹底等を行うとともに、代替成分として( c )等へ速やかに切り替えるよう指示がなされた。
a b c
1 間質性肺炎 / 糖尿病 / ナファゾリン塩酸塩
2 間質性肺炎 / 高血圧症 / プソイドエフェドリン塩酸塩
3 脳出血 / 糖尿病 / プソイドエフェドリン塩酸塩
4 脳出血 / 高血圧症 / ナファゾリン塩酸塩
5 脳出血 / 高血圧症 / プソイドエフェドリン塩酸塩
塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品に関する問題
これは第5章定番問題なので、必ず対応できるように。
a 脳出血
b 高血圧
c プソイドエフェドリン塩酸塩
正解・・・5
問113
医薬品の安全対策や適正使用のための啓発活動に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。
a 登録販売者は、一般用医薬品の販売等に従事する医薬関係者として、医薬品の適正使用の推進のための啓発活動に積極的に参加、協力することが期待される。
b 薬物乱用防止を一層推進するため、毎年6月20日~7月19日までの1か月間、国、自治体、関係団体等により、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動が実施されている。
c 薬物乱用に関する啓発は、小中学生に行うと、かえって違法薬物に対する好奇心を刺激することになるため、高校生以上から行うこととされている。
d 薬物乱用や薬物依存は、違法薬物(麻薬、覚醒剤、大麻等)により生じるものであり、一般用医薬品によって生じることはない。
a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
医薬品の安全対策や適正使用のための啓発活動に関する問題
10月17日~23日の1週間「薬と健康の週間」と、6月20日~7月19日の1か月「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は押さえておく。
a 正
b 正
c 誤 医薬品の適正使用の重要性等に関して、小中学生のうちからの啓発が重要である。
d 誤 薬物乱用や薬物依存は、違法薬物(麻薬、覚醒剤、大麻等)によるものばかりでなく、一般用医薬品によっても生じ得る。第4章:厚生労働大臣が指定する濫用等の恐れのある医薬品もあわせて確認を。
正解・・・3
問114
次の表は、ある一般用医薬品の乗物酔い防止薬に含まれている成分の一覧である。
1錠中:
成分 含量
ジフェンヒドラミンサリチル酸塩 40 mg
ジプロフィリン 26 mg
この乗物酔い防止薬の添付文書等の「使用上の注意」の項目に記載することとされている事項の正誤について、正しい組合せを選べ。
a 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと。
b 授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること。
c 排尿困難の症状がある人は、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること。
d てんかんの診断を受けた人は、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
乗物酔い防止薬の添付文書等の「使用上の注意」に関する問題
使用上の注意において「してはいけないこと」「相談すること」どちらに該当するかまで理解している必要があり、難易度は高い。
まず、ジフェンヒドラミン(サリチル酸塩)は抗ヒスタミン成分で、延髄にある嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える作用を示すとされる。
ジプロフィリンは中枢神経系を興奮させる成分(キサンチン系成分)で、脳に軽い興奮を起こさせて平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させることを目的に配合されている。
a 正 ジフェンヒドラミンサリチル酸の「してはいけないこと」に関する内容で、眠気等が懸念されるためである。
b 正 ジフェンヒドラミンサリチル酸の「してはいけないこと」に関する内容で、乳児に昏睡を起こすおそれがあるためである。
c 正 ジフェンヒドラミンサリチル酸の「相談すること」に関する内容で、排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、尿の貯留を来すおそれがあるためである。
d 正 ジプロフィリンの「相談すること」に関する内容で、てんかんの診断を受けた人は、ジプロフィリンにより、中枢神経系の興奮作用により、てんかんの発作を引き起こすおそれがあるためである。
なお、当試験で「てんかん」が出題された場合は、このジプロフィリンの「相談すること」に関する出題だと思ってい良く、他ブロックも含め出題頻度も高め。
正解・・・5
問115
一般用医薬品の添付文書等において、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に、「本剤又は本剤の成分、牛乳によるアレルギー症状を起こしたことがある人」と記載することとされている成分の正誤について、正しい組合せを選べ。
a オキセサゼイン
b 次没食子酸ビスマス
c ケイ酸アルミン酸マグネシウム
d タンニン酸アルブミン
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
これはサービス問題
当試験で、牛乳アレルギーときたら、タンニン酸アルブミンをすぐに思いつくように。(理由:タンニン酸アルブミンは、乳製カゼインを由来としているため)
さらに、近年は添加物扱いのカゼイン、カゼインナトリウム等も出題されることがあるので注意を。
a 誤
b 誤
c 誤
d 正 タンニン酸アルブミンに含まれるアルブミンは、牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)から精製された成分であるため、牛乳にアレルギーがある人では使用を避ける必要がある。
正解・・・4
問116
一般用医薬品の添付文書等において、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に「次の診断を受けた人」として記載することとされている基礎疾患等と医薬品成分等との関係の正誤について、正しい組合せを選べ。
基礎疾患等 / 医薬品成分等
a 心臓病 / 芍薬甘草湯
b 糖尿病 / アセトアミノフェン
c 高血圧 / プソイドエフェドリン塩酸塩
d 肝臓病 / メチルエフェドリン塩酸塩
a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 正 正 誤 正
添付文書の使用上の注意の「してはいけないこと」に関する問題
a 正 芍薬甘草湯は、徐脈又は頻脈を引き起こし、心臓病の症状を悪化させるおそれがあるためである。
芍薬甘草湯は、第3章では鎮痛の目的で使用される漢方として登場し、特に「こむらがえり」「筋肉の痙攣」に用いられることで知られているが、うっ血性心不全、心室頻拍の副作用が現れることがあるため、症状があるときのみの服用にとどめ、連用は避ける必要があるとされている。
また、心臓病の診断を受けた人では徐脈又は頻脈を引き起こし、心臓病の症状を悪化させるおそれがあるため、使用を避ける必要がある。
これは、芍薬甘草湯が、他の漢方に比べて多くのカンゾウ(甘草)を含んでおり、むくみや偽アルドステロン症を生じるリスクが高く、(体に水分が貯留し)心臓に負担がかかる恐れがあることから、知識を結びつけると良い。
b 誤
c 正 プソイドエフェドリン塩酸塩は交感神経興奮作用により血圧を上昇させ、高血圧を悪化させるおそれがあるためである。
d 誤
正解・・・2
問117
一般用医薬品の添付文書等において、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に、「妊婦又は妊娠していると思われる人」(出産予定日12週以内の妊婦も含む。)と記載することとされている成分等の正誤について、正しい組合せを選べ。
a アスピリン
b ヒマシ油類
c エチニルエストラジオール
d グリチルリチン酸二カリウム
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正
第5章別表より、当試験で「してはないけないこと(使用しないこと)」に「妊婦又は妊娠していると思われる人」と記載される成分については、ヒマシ油、エチニルエストラジオール・エストラジオール、ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする催眠鎮静薬、オキセサゼインの4つがある。
さらに、「出産予定日12週以内の妊婦」(つまり妊娠後期。出産予定日は一般的に最終月経開始日から40週(280日))は服用しないことと記載されているのは、一般用医薬品では非ステロイド性抗炎症成分のアスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェンが該当する。
↓ある解熱鎮痛薬の使用上の注意
a 正 上記のとおり
b 正 ヒマシ油及び加香ヒマシ油は、腸内容物の急速な排除を目的として用いられるが、急激で強い瀉下作用( 峻下作用)を示すため、激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある人、妊婦又は妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避けることとされている。つまり「してはいけないこと」に記載されている。
c 正 人工的に合成された女性ホルモンの一種であるエチニルエストラジオール(婦人薬として登場するが、その用途はリンク記事で確認を)は、膣粘膜又は外陰部に適用されるものがあるが、妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要がある。つまり「してはいけないこと」に記載されている。
d 誤 グリチルリチン酸二カリウムは抗炎症成分だが、「してはいけないこと」に「妊婦又は妊娠していると思われる人」に対する記載はない。
正解・・・1
問118
一般用医薬品の添付文書等において、目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがあるため、「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」と記載することとされている成分を選べ。
1 アルジオキサ
2 イブプロフェン
3 ピレンゼピン塩酸塩水和物
4 ピリドキシン塩酸塩
5 メチルエフェドリン塩酸塩
「目のかすみ、異常なまぶしさ」、特に「異常なまぶしさ」は、散瞳の副作用と関連していると考え、抗コリン成分もしくは抗コリン作用を示すような成分を選べばよい。
この中では、胃液分泌抑制成分で、消化管以外では一般的な抗コリン作用を示すピレンゼピン塩酸塩水和物を選べばよい。
なお、前年も同様な問題が出題され、スコポラミン臭化水素酸塩水和物を選ぶ問題だった。
正解・・・3
問119
フェニレフリン塩酸塩が配合された一般用医薬品の鼻炎用内服薬の添付文書等において、「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として記載することとされている基礎疾患等について、正しいものの組合せを選べ。
a 糖尿病
b 肝臓病
c 甲状腺機能障害
d 胃・十二指腸潰瘍
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
一般用医薬品の添付文書等の「相談すること」の項目に関する問題
まず、本問は「してはいけないこと」ではなく、(相対的には緩めの内容・扱いとなる)「相談すること」に記載されている内容を問われていることを理解しておく必要がある。
今回出題されているフェニレフリン塩酸塩はアドレナリン作動成分で、交感神経系を刺激して鼻粘膜を通っている血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として配合される成分である。
そして、(内服されるアドレナリン)作動成分は、症状に影響を与える恐れがあるため「高血圧」「甲状腺機能障害」「甲状腺機能亢進症」「心臓病」「糖尿病」の診断を受けた人については「してはいけないこと」または「相談すること」とされているが・・・
「してはいけないこと」に記載されているのは・・プソイドエフェドリン塩酸塩
「相談すること」に記載されているのは・・・・・プソイドエフェドリン塩酸塩以外の(内服)アドレナリン作動成分。
具体的には、メチルエフェドリン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩水和物、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等のアドレナリン作動成分、マオウ(麻黄)
これまでは、「してはいけないこと」に記載されるプソイドエフェドリン塩酸塩に関する出題が超頻出だったが、近年は(緩めの)「相談すること」に記載される成分の方でも出題されてきている。
↓プソイドエフェドリン塩酸塩を含む使用上の注意
a 正 肝臓でグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる作用があり、糖尿病の症状を悪化させるおそれがあるため、「相談すること」とされている。
b 誤
c 正 甲状腺機能亢進症の主症状は、交感神経系の緊張等によってもたらされており、交感神経系を興奮させる成分は、症状を悪化させるおそれがあるため、「相談すること」とされている。
d 誤
正解・・・2
問120
ロートエキスが配合された一般用医薬品の制酸薬の添付文書等において、「相談すること」の項目中に記載することとされている対象者の正誤について、正しい組合せを選べ。
a 下痢の症状がある人
b 排尿困難の症状がある人
c 糖尿病の診断を受けた人
d 心臓病の診断を受けた人
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
これも、一般用医薬品の添付文書等の「相談すること」の項目に関する問題
ロートエキスは抗コリン成分で、一般用医薬品では胃液分泌抑制成分、胃腸鎮痛鎮痙薬、止瀉薬として使用されているが、第5章では頻出成分。抗コリン成分の特徴的な副作用はしっかり把握しておくこと。
a 誤
b 正 (抗コリン作用のあるロートエキスによって)排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、尿の貯留を来すおそれがあるため、排尿困難の症状のある人は「相談すること」とされている。
c 誤
d 正 心臓に負担をかけ、心臓病を悪化させるおそれがあるため、心臓病の診断を受けた人は「相談すること」とされている。
正解・・・4