R3 関西広域連合 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(問1-10)

例年どおりの傾向。特別難しい問題はない。

問1
医薬品の本質に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 医薬品は、効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が適切に伝達されることを通じて、購入者が適切に使用することにより、初めてその役割を十分に発揮するものである。

b 医薬品は、市販後にも、その安全性の確認が行われる仕組みとなっているが、有効性については市販前に十分確認されているため、市販後に確認は行われない。

c 医薬品は、人の疾病の治療に使用されるものであり、予防のためには使用されない。

d 医薬品が人体に及ぼす作用は、複雑、かつ多岐に渡っており、そのすべては解明されていない。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正


医薬品の本質に関する問題。
cの「予防」は、初学時は迷うかもしれないがOKです。

a 正しい。
b 誤り。医薬品は、市販後にも、医学・薬学等の新たな知見、使用成績等に基づき、その有効性・安全性等の確認が行われる。
c 誤り。
手引き・1章において「医薬品は、人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする生命関連製品」と書かれている。
d 正しい。

正答・・・2


問2
医薬品の効果とリスク評価に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 「無作用量」とは、薬物の効果が発現し、有害反応が発現しない最大の投与量のことである。

b 動物実験により求められる50%致死量(LD50)は、薬物の毒性の指標の一つとして用いられる。

c 投与量が少量であれば、長期投与された場合でも、慢性的な毒性が発現することはない。

d 医薬品の効果とリスクは、薬物曝露時間と曝露量との積で表現される用量-反応関係に基づいて評価される。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正


医薬品の効果とリスク評価に関する問題。

a 誤り。 「無作用量」とは、効果の発現が検出されない容量である。
医薬品の投与量と効果の関係は、「無作用量」⇒「最小有効量」「治療量」「治療量上限」 「中毒量」「最小致死量」「致死量」の流れになっている。
b 正しい。
c 誤り。常識的に不適切とわかるでしょう。
d 正しい。薬物暴露時間と暴露量との「」が「和」に置き換わって、ひっかけの場合があるので注意。

正答・・・5


問3
医薬品のリスク評価に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 新規に開発される医薬品のリスク評価は、医薬品開発の国際的な標準化(ハーモナイゼーション)制定の流れのなかで実施されるため、医薬品は食品と同等の安全性基準が要求されている。

b 医薬品に対しては、製造販売後の調査及び試験の実施基準として、Good Laboratory Practice(GLP)が制定されている。

c ヒトを対象とした臨床試験における効果と安全性の評価基準には、国際的に Good Vigilance Practice(GVP)が制定されている。

d 動物実験で医薬品の安全性が確認されると、ヒトを対象とした臨床試験が行われる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤


医薬品のリスク評価に関する問題。面白みのない学習だがGCP,GLP,GPSP,GVPは直前期までには整理しておくこと。
医薬品のリスク評価のポイントも確認を。

a 誤り。(常識的にわかるでしょうが)医薬品は食品などよりもはるかに厳しい安全性基準が要求されている。
b 誤り。製造販売後の調査及び試験の実施基準⇒Good Post-marketing Study Practice (GPSP)。
Good Laboratory Practice(GLP)は医薬品の安全性に関する臨床試験の基準。
c 誤り。ヒトを対象とした臨床試験の評価基準⇒Good Clinical Practice (GCP)。
d 正しい。

正答・・・4


問4
健康食品に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 「栄養機能食品」については、各種ビタミン、アミノ酸に対して「栄養機能の表示」ができる。

b 「特定保健用食品」は、「特定の保健機能の表示」が許可されている。

c 「機能性表示食品」は、疾病に罹患していない者の疾病リスクの低減を図る旨を表示することができる。

d 医薬品を扱う者は、いわゆる健康食品は法的にも、また安全性や効果を担保する科学的データの面でも医薬品とは異なるものであることを認識し、消費者に指導・説明を行わなくてはならない。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正


健康食品に関する問題。これは知識が曖昧だと迷うかも

a 誤り。✖アミノ酸→〇ミネラル。「栄養機能食品」については、各種ビタミン、ミネラルに対して「栄養機能の表示」ができる。
↓葉酸を含む栄養機能食品

b 正しい。特定保健用食品(トクホ)でも確認を。
c 誤り。「機能性表示食品」は、疾病に罹患していない者の健康の維持及び増進(×疾病リスクの低減)に役立つ旨又は適する旨を表示するものである。
d 正しい。

正答・・・4


問5
医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 世界保健機関(WHO)の定義によれば、医薬品の副作用とは、「疾病の予防、診断、治療のため、又は身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で発現する医薬品の有害かつ意図しない反応」とされている。

b 十分注意して医薬品を適正に使用した場合であっても、副作用が生じることがある。

c 複数の疾病を有する人の場合、ある疾病に対して使用された医薬品の作用により、その人の別の疾病の症状が悪化することはない。

d 副作用の中には、直ちに明確な自覚症状として現れないものがある。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 正 正 正 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


医薬品の副作用に関する問題。
なお、WHOの定義は穴埋めで出題されることもあります。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。別の疾病に対しては症状を悪化させたり、治療が妨げられたりすることもある。 
d 正しい。

正答・・・1


問6
免疫及びアレルギーに関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 医薬品のアレルギーは、内服薬では引き起こされるが、外用薬では引き起こされない。

b アレルゲンとなり得る医薬品の添加物として、黄色4号(タートラジン)、カゼイン、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、ピロ硫酸カリウム等)が知られている。

c アレルギーには遺伝的な要素もあり、近い親族にアレルギー体質の人がいる場合には、注意が必要である。

d 通常の免疫反応の場合、炎症やそれに伴って発生する痛み、発熱等は、人体にとって有害なものを体内から排除するための必要な過程である。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正


免疫及びアレルギーに関する問題。

a 誤り。外用薬でも引き起こされることがある。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4


問7
医薬品の適正使用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 一般用医薬品の乱用としては、本来の目的以外の意図で、定められた用量を意図的に超えて服用すること、みだりに他の医薬品や酒類等と一緒に摂取すること、等が挙げられる。

b 一般用医薬品には習慣性・依存性がある成分を含んでいるものがあり、そうした医薬品がしばしば乱用されることがある。

c 薬物依存は、一度形成されても、その使用をやめれば容易に離脱することができる。

d 医薬品の販売等に従事する専門家は、必要以上の大量購入や頻回購入を試みる者に対して、積極的に事情を尋ねる等の対応を図ることが望ましい。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


医薬品の適正使用に関する問題。
第4章でよく出題される「厚生労働大臣が指定する濫用等の恐れのある医薬品」も確認を。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。一般に、一度薬物依存が形成されると、そこから離脱することは容易ではない。
d 正しい。

正答・・・5


問8
他の医薬品との相互作用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 相互作用は、医薬品が吸収、代謝、分布または排泄される過程で起こるものであり、医薬品が薬理作用をもたらす部位においては起こらない。

b 一般用医薬品のかぜ薬とアレルギー用薬とでは、成分や作用が重複することはないので、これらの併用は問題ない。

c 相互作用や副作用のリスクを減らす観点から、緩和を図りたい症状が明確である場合には、なるべくその症状に合った成分のみが配合された医薬品が選択されることが望ましい。

d 医療機関・薬局から交付された薬剤を使用している場合には、一般用医薬品との併用について、診療を行った医師若しくは歯科医師又は調剤した薬剤師に相談がなされる必要がある。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


他の医薬品との相互作用に関する問題。

a 誤り。相互作用には、医薬品が吸収、代謝、分布又は排泄される過程で起こるものと、医薬品が薬理作用をもたらす部位において起こるものがある。
b 誤り。成分や作用が重複することが多く、通常、これらの薬効群に属する医薬品の併用は避ける。(例えば、総合感冒薬と花粉症向けの薬では、主に鼻水を抑える目的の成分が重複する)
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問9
医薬品と食品の相互作用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 食品には、医薬品の成分と同じ物質が含まれているものがあり、それらを含む医薬品と一緒に服用すると、過剰摂取となる場合がある。

b 酒類をよく摂取すると、肝臓の代謝機能が高まることが多く、代謝によって産生する物質が人体に悪影響を及ぼす医薬品の場合は、副作用が現れやすくなる。

c 医薬品的な効能効果が標榜又は暗示されていなければ、食品(ハーブ等)として流通可能な生薬成分があるが、これが医薬品と相互作用を生じる場合がある。

d 外用薬であれば、食品の摂取によって、その作用や代謝が影響を受ける可能性はない。

  a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正


医薬品と食品の相互作用に関する問題。

a 正しい。なお、1章で問われることはないが、余裕があれば甘味料としても使用される甘草(カンゾウ)も併せて学習を。
b 正しい。なお、飲酒によって肝臓の代謝機能が高まり、「アセトアミノフェンが、通常よりも代謝されやすくなることがある」も頻出なので合わせて押さえておく。
c 正しい。
d 誤り。外用薬や注射薬であっても、食品によって医薬品の作用や代謝に影響を受ける可能性がある。 

正答・・・2


問10
小児等への医薬品の使用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 医薬品の使用上の注意において、おおよその目安として、乳児は1歳未満、幼児は7歳未満、小児は15歳未満との年齢区分が用いられている。

b 一般に乳幼児は、容態が変化した場合に、自分の体調を適切に伝えることが難しいため、医薬品を使用した後は、保護者等が乳幼児の状態をよく観察することが重要である。

c 小児は成人と比べて、肝臓や腎臓の機能が未発達な一方で、血液脳関門が発達しているため、中枢神経系に影響を与える医薬品で副作用を起こしにくい。

d 医薬品の販売に従事する専門家においては、保護者等に対して、小児用の用法用量が定められていない医薬品については、成人用の医薬品の量の3分の1を目安に減らして小児へ与えるように説明すべきである。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


小児等への医薬品の使用に関する問題。
医薬品の使用上の注意等における年齢区分:乳児:1歳未満、幼児:7歳未満、小児:15歳未満
また、小児の腸の長さや血液脳関門に関する内容も頻出である。
小児は血液脳関門や腎臓・肝臓が未発達で、大人に比べ副作用がでやすい。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。小児は、大人と比べて血液脳関門が未発達であるため、移行した医薬品の成分が脳に達しやすく、中枢神経系に影響を与える医薬品で副作用を起こしやすい。
なお、小児は大人と比べて身体の大きさに対して腸が長く、服用した医薬品の吸収率が相対的に高い点も押さえておく。
d 誤り。常識的におかしいとわかるでしょう。
小児への使用を避けるべき医薬品を「大人用のものを半分(3分の1も同様)にして飲ませればよい」として服用させるなど、安易に医薬品を使用すると、特に有害事象につながる危険性が高い。

正答・・・1

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