R6 愛知県(東海・北陸地区共通)第5章 医薬品の適正使用・安全対策 (PM問41-50)
一般用黄体形成ホルモンキット(排卵日検査薬)の出題は珍しい
問41
医薬品の適正使用情報に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品は、効能・効果、用法・用量、起こりうる副作用等、その適正な使用のために必要な情報(適正使用情報)を伴って初めて医薬品としての機能を発揮するものである。
b 一般用医薬品の添付文書に記載されている適正使用情報は、一般の生活者に理解しやすい平易な表現でなされているが、その内容は一般的・網羅的なものとならざるを得ない。
c 販売名に薬効名が含まれているような一般用医薬品では、添付文書の薬効名の記載が省略されることがある。
d 添付文書は、必要なときにいつでも取り出して読むことができるように保管される必要がある。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
医薬品の適正使用情報に関する問題
a 正
b 正
c 正 例えば「○○○胃腸薬」のように、販売名に薬効名が含まれている場合、薬効名の記載は省略されることがある。
d 正
正解・・・5
問42
一般用医薬品の添付文書に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
1 医薬品の有効性・安全性等に係る新たな知見、使用に係る情報に基づき、必要に応じて随時改訂がなされている。
2 「用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意」等は、添付文書に記載することが義務付けられており、医薬品の容器に記載することは認められていない。
3 「使用上の注意」は、「してはいけないこと」、「相談すること」及び「その他の注意」から構成されており、枠囲い、文字の色やポイントを替えるなど他の記載事項と比べて目立つように記載されている。
4 添付文書の販売名の上部に「使用にあたって、この説明文書を必ず読むこと。また、必要なときに読めるよう大切に保存すること。」等の文言が記載されている。
一般用医薬品の添付文書に関する問題
1 正 添付文書の改訂に関して「必要に応じて随時改訂」される点は頻出。「毎年改訂」や「定期的に改訂」「○年毎に改訂」ときたら誤り。
2 誤 「用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意」等は、添付文書又はその容器若しくは被包に記載することが義務付けられている。
3 正 まず、添付文書の「使用上の注意」の中で「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」があることは区別できるように。また、「してはいけないこと」は「相談すること」よりランクは上のイメージをしっかり持って学習を。(標識マークも問われることがある)
4 正
正解・・・2
問43
1~5の一般用医薬品の漢方処方製剤のうち、その添付文書において、うっ血性心不全、心室頻拍の副作用が現れることがあるため、「してはいけないこと」の項目中に「症状があるときのみの服用にとどめ、連用しないこと」と記載することとされているものはどれか。
1 黄連解毒湯
2 防風通聖散
3 安中散
4 芍薬甘草湯
5 麻子仁丸
一般用医薬品の添付文書の「使用上の注意」の「してはいけないこと」の項目に関する問題
芍薬甘草湯は、第3章では鎮痛の目的で使用される漢方として登場し、特に「こむらがえり」「筋肉の痙攣」に用いられることで知られているが、うっ血性心不全、心室頻拍の副作用が現れることがあるため、症状があるときのみの服用にとどめ、連用は避ける必要があるとされている。
また、心臓病の診断を受けた人では徐脈又は頻脈を引き起こし、心臓病の症状を悪化させるおそれがあるため、使用を避ける必要がある。
これは、芍薬甘草湯が、他の漢方に比べて多くのカンゾウ(甘草)を含んでおり、むくみや偽アルドステロン症を生じるリスクが高く、(体に水分が貯留し)心臓に負担がかかる恐れがあることから結びつけると良い。
正解・・・4
問44
一般用医薬品の添付文書の「次の人は使用(服用)しないこと」の項目に記載することとされている使用を避けるべき人と主な成分・薬効群等との関係の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
(使用を避けるべき人)(主な成分・薬効群等)
a 糖尿病の診断を受けた人- カフェインを主薬とする眠気防止薬
b 透析療法を受けている人- スクラルファートが配合された胃腸薬
c 心臓病の診断を受けた人- プソイドエフェドリン塩酸塩
d 出産予定日12週以内の妊婦 - アスピリン
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正
一般用医薬品の添付文書の「使用上の注意」の「してはいけないこと」の項目に関する問題
a 誤 (一般用医薬品において)糖尿病の診断を受けた人が、服用(使用)しないこととされている成分には、プソイドエフェドリン塩酸塩がある。
b 正 スクラルファートは5章頻出。長期間服用した場合に、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を発症したとの報告があるため「透析療法を受けている人」は服用しないこととされている。
頻出のスクラルファートの他、アルジオキサ、合成ヒドロタルサイト、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム(アルミン~からアルミニウムが含有)、ケイ酸アルミニウムなども該当する。
↓スクラルファートを配合した胃腸薬
c 正 (一般用医薬品において)心臓病の診断を受けた人が、服用(使用)しないこととされている成分には、プソイドエフェドリン塩酸塩、芍薬甘草湯、カフェインを含む成分を主薬とする眠気防止薬がある。
d 正 「出産予定日12週以内の妊婦」について、妊娠期間の延長、胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加のおそれがあるため、アスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェンは使用しないこととされている。
正解・・・5
問45
一般用医薬品の添付文書の使用上の注意及びその理由に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬(睡眠改善薬)は、交感神経興奮作用により血圧を上昇させ、高血圧を悪化させるおそれがあるため、「高血圧の診断を受けた人」には使用しないこととされている。
2 ピレンゼピン塩酸塩水和物が配合された胃腸薬の長期連用により、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を生じるおそれがあるため、長期連用しないこととされている。
3 スコポラミン臭化水素酸塩水和物が配合された胃腸鎮痛鎮痙薬の服用により、眠気、目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがあるため、服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこととされている。
4 駆虫薬はヒマシ油と併用することで、駆虫成分が吸収されにくくなるため、駆虫薬を使用している間はヒマシ油を使用しないこととされている。
一般用医薬品の添付文書の使用上の注意に関する問題
1 誤 「抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬」ではなく、プソイドエフェドリン塩酸塩に関する記述である。
2 誤 「ピレンゼピン塩酸塩水和物」ではな、スクラルファート、水酸化アルミニウムゲル、アルジオキサ等のアルミニウムを含む成分が配合された胃腸薬、胃腸鎮痛鎮痙薬に関する記述である。(前問の解説も参照)
3 正 関連記事:スコポラミン臭化水素酸塩水和物
4 誤 ヒマシ油との併用により、「駆虫成分が吸収されにくくなる」ではなく、「駆虫成分が吸収されやすくなる」である。
正解・・・3
問46
一般用医薬品の添付文書の「相談すること」の項目に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a カンゾウは、大量の使用によりナトリウムの排泄促進を起こし、むくみ(浮腫)等の症状が現れ、腎臓病を悪化させるおそれがあるため、腎臓病の診断を受けた人は相談することとされている。
b ロートエキスが配合された内服薬は、高齢者では、緑内障の悪化、口渇、排尿困難又は便秘の副作用が現れやすいため、相談することとされている。
c ロペラミド塩酸塩は、乳汁中に移行する可能性があるため、授乳中の人は相談することとされている。
d イブプロフェンは、生じた血栓の分解を抑制するため、血栓のある人や、血栓症を起こすおそれのある人は相談することとされている。
1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)
使用上の注意における「相談すること」は「してはいけないこと」に比べ範囲が広く、前問より対応しづらい。
a 誤 「ナトリウムの排泄促進」ではなく「ナトリウム貯留、カリウム排泄促進」である。
b 正 関連記事:ロートエキス
c 正 関連記事:ロペラミド塩酸塩
d 誤 イブプロフェンにはこのような記載はない。なお、血栓のある人や、血栓症を起こすおそれのある人に関して、トラネキサム酸(内服)、セトラキサート塩酸塩は、生じた血栓が分解されにくくなるため、相談することとされている。
正解・・・2
問47
1~5の医薬品の成分及び薬効群等のうち、小児では、神経過敏、興奮を起こすおそれが大きいため、一般用医薬品の添付文書の「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に「15歳未満の小児」と記載することとされているものはどれか。
1 タンニン酸アルブミン
2 アミノ安息香酸エチル
3 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬(睡眠改善薬)
4 ピレンゼピン塩酸塩水和物
5 ロートエキスが配合された内服薬
抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬(睡眠改善薬)は、小児では、神経過敏、興奮を起こすおそれが大きいため、15歳未満の小児は使用(服用)しないこととされている。
なお、この場合の抗ヒスタミン成分とはジフェンヒドラミン塩酸塩と考えて良い。
↓ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする睡眠改善薬
他に、この選択肢の中で年齢制限について良く出題されているものとしては、アミノ安息香酸エチルが、メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため、「6歳未満の小児」では使用しないこととされている。
正解・・・3
問48
一般用医薬品の保管及び取扱い上の注意に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 医薬品は、適切な保管がなされないと化学変化や雑菌の繁殖等を生じるおそれがあるので、特に開封後の散剤については、冷蔵庫で保管されるのが望ましい。
b 医薬品を別の容器に移し替えると、誤用の原因になったり、適切な品質を保持できなくなったりすることがあるため、旅行等で携行する場合であっても別の容器への移し替えは適当ではない。
c エアゾール製品の容器には、高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)に基づく注意事項の記載が義務付けられており、添付文書においても「保管及び取扱い上の注意」として記載されている。
d 点眼薬は、複数の使用者間で使い回されると、使用に際して薬液に細菌汚染があった場合に、別の使用者に感染するおそれがあるため、「他の人と共用しないこと」とされている。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
一般用医薬品の保管及び取扱い上の注意に関する問題
a 誤 錠剤、カプセル剤、散剤等では、取り出したときに室温との急な温度差で湿気を帯びるおそれがあるため、冷蔵庫内での保管は不適当である。なお、シロップ剤は変質しやすいため、開封後は冷蔵庫内に保管されるのが望ましいとされている。
b 正
c 正
d 正
正解・・・4
問49
一般用検査薬に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 添付文書には、一回の検査結果では確定診断ができないため、時間を空けて一般検査薬を用いて再検査し、診断結果を確定させる旨が記載されている。
2 一般用黄体形成ホルモンキットは、避妊目的で使用することができる。
3 添付文書には、検査結果が陰性であっても何らかの症状がある場合は、再検査するか又は医師に相談する旨等が記載されている。
4 他の医薬品と同様に医薬品副作用被害救済制度の対象となる。
一般用検査薬に関する問題。
排卵日の予測に使用される一般用黄体形成ホルモンキットは、手引きの脚注部分からの出題で珍しい。
1 誤 一般用検査薬では、その検査結果のみで確定診断はできないので、判定が陽性であれば速やかに医師の診断を受ける旨が記載されている。
2 誤 一般用黄体形成ホルモンキット(=排卵日検査薬)では、検査結果が陰性であっても確実に避妊できるものではないので、避妊目的で使用できない。
3 正
4 誤 一般用検査薬は医薬品副作用被害救済制度の対象とならない。他にも、救済制度の対象とならない医薬品が定められており、要指導医薬品・一般用医薬品では、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)が該当する。
また、製品不良など製薬企業に損害賠償責任がある場合や、無承認無許可医薬品(いわゆる健康食品、個人輸入医薬品を含む。)の使用による健康被害についても救済制度の対象外である。
正解・・・3
問50
医薬品の製品表示に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 1回服用量中0.1mLを超えるアルコールを含有する内服液剤(滋養強壮を目的とするもの)については、アルコールを含有する旨及びその分量が記載されている。
b 使用期限の表示については、適切な保存条件の下で製造後1年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品においては法的な表示義務はないが、流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常となっている。
c 添付文書を見なくても適切な保管がなされるよう、その容器や包装にも、保管に関する注意事項が記載されている。
d 添付文書情報が事前に閲覧できる環境が整っていない場合にあっては、製品表示から読み取れる適正使用情報が有効に活用され、購入者等に対して適切な情報提供がなされることが一層重要となる。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正
医薬品の製品表示に関する問題
a 正 例えば、医薬品の薬用養命酒には、アルコールを含有する旨が記載されている。
b 誤 使用期限の表示については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品において法的な表示義務はない(但し、流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常となっている)。
c 正
d 正
正解・・・5