R2 関西広域連合 第5章 医薬品の適正使用・安全対策(問111-120)

難しい。問111(請求期限)問114(啓発活動)

問111
医薬品副作用被害救済制度に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず、それを介して生じた感染等による疾病、障害又は死亡について、医療費等の給付を行う制度を生物由来製品感染等被害救済制度という。

b (独)医薬品医療機器総合機構は、関係製薬企業又は国からの委託を受けて、裁判上の和解が成立したスモン患者への健康管理手当や介護費用の支払業務を行っている。

c (独)医薬品医療機器総合機構は、公益財団法人友愛福祉財団からの委託を受けて、血液製剤によるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者・発症者への健康管理費用の支給等を行っている。

d 生計維持者が医薬品の副作用で死亡した場合の遺族年金の請求期限は、死亡のときから原則5年以内と定められている。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


医薬品副作用被害救済制度に関する問題。
細かい知識が問われていてかなり難易度は高い。

a 正しい。生物由来製品の適正使用における副作用は「生物由来製品感染等被害救済制度」で救済する。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。過去問では多く問われているポイントではないが、請求の期限のあるものは、とりあえず原則5年で憶えて。

正答・・・5


問112
医薬品PLセンターに関する記述について、正しいものを一つ選べ。

1 医薬品又は医薬部外品に関する健康被害以外の損害についても、製造販売元の企業と交渉するに当たって、公平・中立な立場で相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行っている。

2 製薬企業に損害賠償責任がない場合にも、医薬品PLセンターへの相談が推奨される。

3 医薬品副作用被害救済基金法の成立に当たり、国会の附帯決議により、設立が求められ開設された。

4 (独)医薬品医療機器総合機構と、日本製薬団体連合会との共同で運営されている機関である。


医薬品PLセンターに関する問題も毎年出題されている。
なお、医薬品PLセンターは医薬品又は医薬部外品に関する苦情を受け付けているが、医療機器化粧品は対象外である点も頻出である。

正答・・・1


問113
一般用医薬品の安全対策に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a アミノピリン等が配合されたアンプル入りかぜ薬による重篤な副作用で死亡例が発生したことから、厚生省(当時)より製薬企業に対し、該当製品の回収の要請がされた。

b 小柴胡湯による間質性肺炎によって、死亡を含む重篤な事例が起きたため、厚生省(当時)が、医薬関係者に緊急安全性情報を配布した。

c 一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎が報告されたため、厚生労働省は、一般用かぜ薬全般について、使用上の注意の改訂を指示した。

d 塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有医薬品について、女性が食欲抑制剤として使用した場合に、出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いとの報告がなされ、米国食品医薬品庁(FDA)からは、米国内におけるPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請された。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


一般用医薬品の安全対策に関する問題。
bの判断について、引っ掛からないように注意。

a 正しい。アンプル剤は他の剤形に比べて吸収が速く、血中濃度が急速に高値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認され、1965年、厚生省(当時)より関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収が要請された。
b 誤り。1994年1月、インターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨の使用上の注意の改訂がなされた。しかし、それ以降も慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎が発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、1996年3月、厚生省(当時)より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指示された。
c 正しい。
d 正しい。代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩等への速やかな切替え指示がなされたところまで押さえておこう。

正答・・・2


問114
一般用医薬品の安全対策や適正使用のための啓発活動に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 薬物乱用や薬物依存は、違法薬物(麻薬、覚醒剤、大麻等)によるものばかりでなく、一般用医薬品によっても生じ得る。

b 一般用医薬品を長期間乱用することにより、臓器障害や情緒不安定などにいたった事例が報告されている。

c 登録販売者は、一般用医薬品を販売する医薬関係者として、医薬品の適正使用のための啓発活動に従事するよう法により義務付けられている。

d 国、都道府県及び全ての市町村は、医薬品などの適正な使用に関する啓発や知識の普及に努めるよう法に規定されている。
  
  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正


一般用医薬品の安全対策や適正使用のための啓発活動に関する問題。
難問である。できなくてもしょうがない。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。法により義務付けられていないため誤り?
手引きによると、「登録販売者においては(中略)適切なセルフメディケーションの普及定着、医薬品の適正使用の推進のため、こうした活動に積極的に参加、協力することが期待される。」と書かれている。
d 誤り。
手引きによると、法第68条の3において、「国、都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、関係機関及び関係団体の協力の下に、医薬品及び医療機器の適正な使用に関する啓発及び知識の普及に努める」と規定されている。

正答・・3でした


問115
一般用医薬品の添付文書で、「次の人は使用(服用)しないこと」と記載されている成分と対象者との関係の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

(医薬品成分) (対象者)
a アミノ安息香酸エチル - 糖尿病の診断を受けた人
b フェルビナク - ぜんそくを起こしたことがある人
c プソイドエフェドリン塩酸塩 - 前立腺肥大による排尿困難のある人
d アスピリン - 出産予定日12週以内の妊婦

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正


添付文書の「してはいけないこと」に関する問題。
まず、添付文書の「使用上の注意」の中で「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」があることは区別できるように(標識マークも問われることがある)


a 誤り。なお、アミノ安息香酸エチルは「メトヘモグロビン血症・6歳未満の小児は服用しない」については頻出。
b 正しい。いわゆるアスピリン喘息の知識があれば容易に判断できる。
外皮用薬としてはインドメタシンフェルビナクケトプロフェンピロキシカムなどが候補となる。
c 正しい。プソイドエフェドリン塩酸塩は第5章で超頻出。「心臓病」「高血圧」「甲状腺機能障害」「糖尿病」の診断を受けた人の他、「前立腺肥大による排尿困難 」の症状のある人も使用しないことと記載されている。
d 正しい。「出産予定日12週以内の妊婦」「胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖」ときたら、アスピリンイブプロフェンといった解熱鎮痛成分だろうとすぐに思いつきたい。

正答・・・3


問116
一般用医薬品の添付文書に、目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがあるため、「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」と記載されている成分を一つ選べ。

1 ロペラミド塩酸塩
2 ビサコジル
3 オキセサゼイン
4 アセトアミノフェン
5 ピレンゼピン塩酸塩水和物


「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」と記載されている医薬品に関する問題。

「目のかすみ、異常なまぶしさ」の散瞳に関連する副作用が登場しているので、抗コリン作用を持つ成分を選んでいけばよい。
そうすると、胃液分泌抑制成分のピレンゼピン塩酸塩水和物が選択できる。
ピレンゼピン塩酸塩は、消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑える作用を示すが、消化管以外では一般的な抗コリン作用のため、排尿困難、動悸、目のかすみの副作用を生じることがある。

正答・・・5


問117
一般用医薬品の添付文書に、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を生じるおそれがあるため「長期連用しないこと」と記載されているものの組合せを一つ選べ。

a スクラルファートが配合された胃腸薬
b ヒマシ油(瀉下薬)
c アルジオキサが配合された胃腸薬
d セトラキサート塩酸塩が配合された胃腸薬

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


これは過去問頻出の内容でサービス問題でしょう。
「透析療法」や「アルミニウム脳症」ときたら、アルミニウムを含有するスクラルファートアルジオキサはすぐに思いつくように


正答・・・2


問118
一般用医薬品の添付文書に、授乳中の人は「相談すること」と記載されている成分の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 安息香酸ナトリウムカフェイン(カフェインとして1回分量 100mg 以上を含有するもの)
b dl-メチルエフェドリンサッカリン塩
c ジサイクロミン塩酸塩
d トリプロリジン塩酸塩水和物

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


授乳中の人は「相談すること」に関する問題。マイナー成分が多く判断しづらかったでしょう。

まず、「してはいけないこと」での授乳回避について、ジフェンヒドラミン塩酸塩(昏睡の恐れ)、ロートエキス(乳児に頻脈)、センノシドダイオウなど(乳児の下痢)、コデイン(モルヒネ中毒)はしっかり押さえておくこと。
今回はそれ以外の成分だが、基本的にほとんどの成分は「相談すること」になっているイメージを持っていれば、すべて「正しい」を選ぶことになるでしょう。
なお、ジサイクロミン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩水和物は超マイナーな成分なので、試験直前であれば深追いしない。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問119
次の医薬品成分等と、その成分が主として含まれる一般用医薬品の添付文書で「相談すること」と記載されている対象の組合せについて、誤っているものを一つ選べ。

医薬品成分・薬効群  対象
1 タンニン酸アルブミン等の収斂成分を主体とする止瀉薬   急性のはげしい下痢又は腹痛・腹部膨満感・吐きけ等の症状を伴う下痢
の症状がある人
2 グリセリンが配合された浣腸薬   痔出血の症状がある人
3 マルツエキス   むくみの症状がある人
4 かぜ薬   高熱の症状がある人
5 抗ヒスタミン成分   排尿困難の症状がある人


添付文書等における「相談すること」に関する問題。これは正答できるように。

1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。マルツエキスが乳幼児向けの便秘薬で主成分も麦芽糖であることを知っていれば、恐らく該当しないだろうと判断できるはず。
4 正しい。
5 正しい。クロルフェニラミンマレイン酸などの副作用知識があれば判断できるでしょう。「排尿困難」については、抗ヒスタミン薬の抗コリン作用でも確認を。

正答・・・3


問120
次の表は、ある胃腸薬に含まれている有効成分の一覧である。

3包中(1 日服用量)
水溶性アズレン 6mg
アルジオキサ 300mg
合成ヒドロタルサイト 1,200mg
ロートエキス散 150mg
沈降炭酸カルシウム 900mg

この胃腸薬の添付文書の「相談すること」の項において、「次の診断を受けた人」の項目欄に記載されているものの正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 糖尿病
b 胃・十二指腸潰瘍
c てんかん
d 緑内障

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正


添付文書等における「相談すること」に関する問題。
これは難しい。
まず、抗コリン作用を持つロートエキスが配合されていることから、「緑内障」の記載は「正」とし、選択枝を2,5まで絞れるように。
↓ロートエキスを含んだ製品


次に、a糖尿病に関して「相談すること」に記載があるのは、メチルエフェドリン塩酸塩トリメトキノール塩酸塩フェニレフリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分と、生薬マオウ(麻黄)が該当するが、当該成分は含まれず、aは誤りと判断できれば正答できる。

正答・・・5

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