H26 千葉県(南関東) 第3章 主な医薬品とその作用(問61-70)

 問65(鎮静薬)、問67(乗り物酔い予防薬)、問69(鎮咳去痰薬)は、やや難しい。

【問61】 次のかぜ薬の配合成分とその目的とする作用のうち、正しいものの組合せはどれか。 配合成分目的とする作用

a イソプロピルアンチピリン 発熱を鎮め、痛みを和らげる

b デキストロメトルファン臭化水素酸塩 痰の切れを良くする

c リゾチーム塩酸塩 鼻粘膜や喉の炎症による腫れを和らげる

d ブロムヘキシン塩酸塩 くしゃみや鼻汁を抑える

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

どれも、一般用医薬品では代表的な成分です。

a 正しい。イソプロピルアンチピリンはピリン系の解熱鎮痛薬
b 誤り。デキストロメトルファン臭化水素酸塩は非麻薬性の鎮咳薬
c 正しい。リゾチーム塩酸塩は頻出で、抗炎症成分。
d 誤り。ブロムヘキシン塩酸塩は去痰成分。

正答・・・2

【問62】 かぜ薬とその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑え、ウイルスを体内から除去するものである。

b セミアルカリプロティナーゼは、フィブリノゲンやフィブリンを分解する作用があるため、血液凝固異常のある人では出血傾向を悪化させるおそれがある。

c ヨウ化イソプロパミドは、抗コリン作用によって鼻汁分泌を抑えることを目的として配合されている場合がある。

d 小柴胡湯は、体力中等度で、ときに脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく、 食欲不振や口の苦味があり、舌に白苔がつくものの食欲不振、吐きけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、かぜの後期の諸症状に適すとされる。

    a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 正 正

かぜ薬とその配合成分に関する問題。

a 誤り。
b 正しい。セミアルカリプロティナーゼは、一般用医薬品としてはマイナーだが、試験では時折出題されている。
c 正しい。
d 正しい。小柴胡湯は、他に第5章でも良く出題される。

正答・・・5

【問63】 サリチル酸系解熱鎮痛成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a アスピリン喘息は、アスピリン特有の副作用であり、他の解熱鎮痛成分では生じない。

b 末梢におけるプロスタグランジンの産生抑制は、腎血流量を増加させるため、腎機能に障害があると、その症状を悪化させる可能性がある。

c 解熱に関しては、中枢神経系におけるプロスタグランジンの産生抑制作用のほか、腎臓における水分の再吸収を促して循環血流量を増し、発汗を促進する作用も寄与している。

d 月経が起こる過程にプロスタグランジンが関与しているため、月経痛(生理痛)に対して鎮痛効果を有する。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

サリチル酸系解熱鎮痛成分に関する問題。

a 誤り。よく問われる知識。「アスピリン喘息」は、これはアスピリン特有の副作用ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性がある。
b 誤り。プロスタグランジンの産生抑制は腎血流減少させる。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5

【問64】 解熱鎮痛薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a アスピリンには、血液を凝固しやすくさせる作用があるため、出産予定日12週間以内の妊婦は使用を避ける。

b サザピリンが配合された一般用医薬品の解熱鎮痛薬は、15歳未満の小児に対して使用することができる。

c ジリュウは、ツヅラフジ科のオオツヅラフジの蔓性の茎及び根茎を、通例、横切したものを基原とする生薬で、鎮痛、尿量増加(利尿)等の作用を期待して用いられる。

d イブプロフェンは、アスピリンに比べて胃腸への悪影響が少なく、抗炎症作用も示すことから、頭痛、咽頭痛、腰痛等に使用されることが多いが、一般用医薬品では小児向けの製品はない。

a b c d
1 正 誤 正 正
2 誤 正 誤 正
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 正 正 誤 誤

 解熱鎮痛薬及びその配合成分に関する問題。

a 前半の血液凝固に関する記述が誤り。アスピリンは血液を凝固しにくくさせる作用もあり、医療用では抗凝固薬として使用される。また後半の「胎児や出産時の母体への影響を考慮して、出産予定日12週間以内の使用を避ける。」の記載は正しい。(OTCで、実際妊婦にアスピリンを売る機会は、まずないでしょうが)
b 誤り。ライ症候群との関連示唆から、アスピリン及びサザピリンは、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用できない。なお、サザピリン含有の医薬品が現在発売されているかは不明
c 誤り。「ジリュウ(地竜)」は、なぜか良く出題される。ジリュウは、「ミミズ、熱さまし」のキーワードを最低限押さえて置けば間違いとわかる。
d 正しい。イブプロフェンは頻出医薬品。

正答・・・4

【問65】 眠気を促す薬とその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ジフェンヒドラミン塩酸塩は、抗ヒスタミン成分の中でも特に眠気を促す中枢作用が強い。

b アリルイソプロピルアセチル尿素が配合された医薬品を使用した後は、少量でも眠気を催しやすく、それにより重大な事故を招くおそれがあるため、乗物や危険を伴う機械類の運転操作は避ける必要がある。

c カノコソウは、神経の興奮・緊張緩和を期待して配合される生薬成分である。

d サンソウニンやチャボトケイソウ等が配合された医薬品は、それら成分又はセントジョーンズワートを含む食品を併せて摂取すると、医薬品の薬効に影響を及ぼしたり、 副作用のリスクが高まったりすることがある。

    a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 正
4 正 誤 正 正
5 誤 正 正 正

眠気を促す薬に関する問題。

a 正しい。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、抗ヒスタミン成分の中でも特に中枢作用が強く眠気が生じやすい。その為「ドリエル」を代表する睡眠改善薬としても使用されている。
b 正しい。
c 正しい。カノコソウ(鹿の子草)はオミナエシ科のカノコソウの根茎及び根を乾燥させたもの。
鎮静作用、睡眠改善作用があるとされる生薬。含有する商品としては、エーザイの「メンテック」や、小林製薬の「イララック」がある。
d 正しい。サンソウニン(酸棗仁)、チャボケイトウも、カノコソウ同様に、鎮静作用が期待される生薬。チャボケイトウは、「メンテック」「イララック」にも配合されている。
カノコソウ、サンソウニン、チャボトケイソウは、鎮静作用があるとされるハーブ(セントジョーンズワート等)を含む食品を併せて摂取すると、医薬品の薬効が増強、減弱したり、副作用のリスクが高まったりすることがある。

正答・・・1

【問66】 カフェインに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a カフェインは、腎臓におけるナトリウムイオン(同時に水分)の再吸収を促進する。

b カフェインは、胃液分泌抑制作用があり、その結果、副作用として胃腸障害(食欲不振、悪心・嘔吐)が現れることがある。

c カフェインは、反復摂取により依存を形成するという性質がある。

d 眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂 取量は500mgが上限とされている。

  a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 誤 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 正 正 正 誤
5 正 誤 正 正

カフェインに関しては毎年出題されると思って良い。
 
a 誤り。カフェインに関する日常知識になるが、カフェインでトイレが近くなるのは良く知られた知識。カフェインが、腎臓におけるナトリウムイオン(同時に水分)の再吸収を抑制し、尿量の増加(利尿)をもたらす為である。
b 誤り。カフェインには、胃酸分泌亢進作用がある。
c 正しい。カフェインには、作用は弱いながら反復摂取により依存を形成するという性質がある。
d 正しい。意外に多いと感じたかもしれないが、眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量は500mg が上限
なお、医薬品ではない「メガシャキ」にも、1本あたりカフェイン約100mg含まれていて、包装を良く見ると書かれている。

正答・・・3

【問67】 次の表は、ある一般用医薬品の鎮暈薬(乗物酔い防止薬)に含まれている成分の一覧である。

1錠中
ジフェニドール塩酸塩 16.6mg
スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.16mg
無水カフェイン 30.0mg
ピリドキシン塩酸塩 5.0mg

この鎮暈薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ジフェニドール塩酸塩は、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示す。

b スコポラミン臭化水素酸塩水和物は、胃粘膜への麻酔作用によって嘔吐刺激を和らげ、 乗物酔いに伴う吐きけを抑えることを目的として配合されている。

c 無水カフェインは、抗めまい成分の作用による眠気の解消を期待して配合されている。

d ピリドキシン塩酸塩は、吐きけの防止に働くことを期待して、補助的に配合されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

 ジフェニドールを含む乗り物酔い予防薬なので、この商品は恐らく「トラベルミンR」。

a 正しい。ジフェニドール塩酸塩は、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示す。医療用では「セファドール」として知られる。

b 誤り。これはアミノ安息香酸エチルのような局所麻酔成分に関する内容。
スコポラミンは、乗物酔い防止に古くから用いられている抗コリン成分。中枢に作用して自律神経系の混乱を軽減させるとともに、末梢では消化管の緊張を低下させる作用を示す。
消化管からよく吸収され、他の抗コリン成分と比べて脳内に移行しやすいとされるが、肝臓で速やかに代謝されてしまうため、抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間は短い。

c 誤り。a,dが正しいとわかれば良いが、そうでない場合は迷う選択肢。手引きには「カフェインが配合されているからといって、抗めまい成分、抗ヒスタミン成分、抗コリン成分又は鎮静成分の作用による眠気が解消されるわけではない」と書かれている。
この場合のカフェインは、脳に軽い興奮を起こさせて平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させたり、乗物酔いに伴う頭痛を和らげる作用が期待されている。
なお、トラベルミンRの説明には、カフェインは「乗りものによって起こる感覚の混乱を予防します」と書かれている。

d 正しい。ピリドキシン塩酸塩はビタミンB6で、吐き気・めまいの防止に補助的に用いられている。

正答・・・3

【問68】 小児の疳を適応症とする漢方処方製剤(小児鎮静薬)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 小児鎮静薬は、夜泣き、ひきつけ、疳の虫等の症状を鎮めるほか、小児における虚弱 体質、消化不良などの改善を目的とする医薬品である。

b 一般用医薬品の漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていな い場合には、生後1ヶ月の乳児にも使用することができる。

c 抑肝散加陳皮半夏を小児の夜泣きに用いる場合、作用が比較的緩和なため、長期間(3ヶ月位)服用して様子を見ることが望ましい。

    a b c
1 正 正 正
2 誤 正 誤
3 正 誤 正
4 誤 誤 正
5 正 誤 誤

小児の疳を適応症とする漢方処方製剤(小児鎮静薬)については、毎年のように出題されている。
実際、現場で相談や販売する機会は多くないが、ポイントは押さえておく。

a 正しい。なお、小児の疳を適応症とする漢方処方製剤として、抑肝散抑肝散加陳皮半夏、柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、小建中湯がある。
b 誤り。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合にあっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととなっている。
c 誤り。3か月→1か月なら正解となる。手引きによると、小児鎮静薬は、それらの症状を鎮めるほか、虚弱体質、消化不良などの改善を目的とし、症状の原因となる体質の改善を主眼としているものが多く、比較的長期間(1ヶ月位)継続して服用されることがある

正答・・・5

【問69】 鎮咳去痰薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ノスカピンは、自律神経系を介さずに気管支の平滑筋に直接作用して弛緩させ、気管支を拡張させる。

b メトキシフェナミン塩酸塩は、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、 呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めることを目的として用いられる。

c コデインリン酸塩は、延髄の咳嗽中枢に作用して咳を抑えることを目的として用いられる。

d グアイフェネシンは、痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させ ることにより、痰の切れを良くする。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

鎮咳去痰薬に関する問題。
メトキシフェナミン
グアイフェネシンは、あまりOTCでも使われておらず、難易度は高い。

a 誤り。ノスカピンはOTCでの代表的な鎮咳成分。、延髄の咳嗽中枢に作用する。
b 正しい。メトキシフェナミンは、アドレナリン作動成分で、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めることを目的として用いられる。
c 正しい。コデインリン酸塩も、OTCでの代表的な鎮咳成分。延髄の咳嗽中枢に作用するが、麻薬性鎮咳成分と呼ばれ、依存性に注する。(aのノスカピンは非麻薬性)
d 誤り。グアイフェネシンは痰の切れを良くする成分であるが、その中でも気道粘膜からの分泌を促進する作用を示すタイプ。痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させるタイプの代表例はカルボシステイン

正答・・・4

【問70】 カンゾウに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a マメ科のウラルカンゾウ又はグリキルリザ・グラブラの根及びストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)を基原とする生薬であり、抗炎症作用のほか、気道粘膜からの分泌を促す等の作用も期待して用いられる。

b 大量に摂取すると、グリチルリチン酸の大量摂取につながり、血栓症を起こすおそれがある。

c 1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上となる製品は、長期連用を避ける。

d 甘味料として一般食品にも広く用いられている。

    a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 正 誤 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正

カンゾウ(甘草)に関するの内容は頻出である。aの文章をすべて理解する必要はないので、ポイントとなるb、c、dの基本知識で正答に導きたい。

a 正しい。長い文章だが、手引きの記載とおり
b 誤り。カンゾウの基礎知識。グリチルリチン酸の大量摂取・偽アルドステロン症・むくみ・血圧上昇のキーワードをセットで覚える。
c 正しい。1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上となる製品は、長期連用を避ける。
d 正しい。食品以外にも、化粧品・医薬部外品にも用いられている。

正答・・・2

 

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