R5 関西広域連合 第3章 主な医薬品とその作用 (問51-60)
問51
外皮用薬及びその配合成分に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。
a 温感刺激成分が配合された外皮用薬は、打撲や捻挫などの急性の腫れや熱感を伴う症状に対して適している。
b ジフェンヒドラミンは、適用部位でプロスタグランジンの産生を抑えることで、湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも等の皮膚症状の緩和を目的として使用される。
c ヘパリン類似物質は、患部局所の血行を促す目的で用いられるほか、抗炎症作用や保湿作用も期待される。
d アンモニアは、皮下の知覚神経に麻痺を起こさせる成分として、主に虫さされによる痒みに用いられる。
1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
外皮用薬及びその配合成分に関する問題
a 誤 「温感刺激成分」ではなく「冷感刺激成分」(メントール、カンフル等)に関する記述である。
b 誤 ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン成分で、適用部位の組織に浸透して、肥満細胞から遊離したヒスタミンとその受容体タンパク質との結合を妨げることにより、患部局所におけるヒスタミンの働きを抑える。
c 正 ヘパリン類似物質は血行促進成分で患部局所の血行を促すことを目的として使用され、抗炎症作用や保湿作用も期待される。(特に販売現場では保湿を目的に販売されることが多く、医療用ではヒルドイドが超有名)。
なお、血液凝固を抑える働きがあるため、出血しやすい人、出血が止まりにくい人、出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑症など)の診断を受けた人では、使用を避ける。
d 正
↓キンカンにもアンモニア水が含まれている。
正解・・・5
問52
毛髪用薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 効能・効果に「壮年性脱毛症」や「円形脱毛症」等の疾患名を掲げた製品の中には、医薬部外品として販売されているものもある。
b カシュウは、タデ科のツルドクダミの塊根を基原とする生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる。
c エストラジオール安息香酸エステルは、女性ホルモンによる脱毛抑制効果を期待して配合されている場合がある。
d ヒノキチオールは、ヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られた精油成分で、抗菌、抗炎症などの作用を期待して用いられる。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
毛髪用薬及びその配合成分に関する問題
カシュウ(何首烏)、エストラジオール安息香酸エステル、ヒノキチオールは前年も出題されていたので、過去問対策を行っていれば容易に正答できたはず。
a 誤 「壮年性脱毛症」「円形脱毛症」等の疾患名を掲げた効能・効果は、医薬品においてのみ認められている。
b 正 カシュウ(何首烏)はタデ科のツルドクダミの塊根を基原とする生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる。
c 正 エストラジオール安息香酸エステルは、女性ホルモンによる脱毛抑制効果を期待して用いられる。なお、局所的な作用を目的とするが、頭皮から吸収されて循環血流中に入る可能性を考慮し、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける。
d 正 ヒノキチオールは育毛生薬成分として知られる。
正解・・・3
問53
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分とその配合目的としての作用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
配合成分 / 配合目的としての作用
a ジブカイン塩酸塩 / 齲蝕(むし歯)で露出した歯髄の知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮める。
b カルバゾクロム / 歯肉炎、歯周炎(歯槽膿漏)の症状である口臭を抑える。
c オイゲノール 齲蝕 /(むし歯)部分での細菌の繁殖を抑える。
d 銅クロロフィリンナトリウム / 炎症を起こした歯周組織の修復を促す。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分に関する問題
a 正 ジブカイン塩酸塩は局所麻酔成分である。
b 誤 カルバゾクロムは止血成分である。
c 正 オイゲノールは殺菌消毒成分である。
d 正 銅クロロフィリンナトリウムは組織修復成分で、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して、配合されている場合がある。
正解・・・2
問54
次の記述は、登録販売者と禁煙補助剤(咀嚼剤)の購入者との会話である。
購入者からの相談に対する登録販売者の説明について、適切なものの組合せを一つ選べ。
a 購入者 : ニコチン離脱症状とはどのような症状ですか。
登録販売者 : 血中のニコチン濃度の低下によって、イライラしたり、集中できなくなったり、落ち着かない等の症状がでます。
b 購入者 : ニコチン置換療法とはどのようなものですか。
登録販売者 : 喫煙を継続しながら徐々に本剤に変更していく方法です。離脱症状の軽減を図りながら徐々に摂取量を減らし、最終的にニコチン摂取をゼロにします。
c 購入者 : 本剤を使用する場合、食べ物や飲み物で気をつけることはありますか。
登録販売者 : 口の中が酸性になるとニコチンの吸収が増加するので、口腔内を酸性にするコーヒーや炭酸飲料などを飲んだ後はしばらく使用を避ける必要があります。
d 購入者 : 高血圧の薬を飲んでいるのですが、本剤を使用しても大丈夫ですか。
登録販売者 : 使用している治療薬の効果に影響を生じたり、症状を悪化させる可能性があるため、使用の適否については主治医と相談してください。
1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
今回は会話形式の応用問題だが、内容は頻出のポイントばかりで対応はそれほど難しくない。
a 正
b 誤 ニコチン置換療法とは、ニコチンの摂取方法を喫煙以外に換えて、離脱症状の軽減を図りながら徐々に摂取量を減らし、最終的にニコチン摂取をゼロにする方法である。(つまり、タバコは完全にストップした状態で行う。)
c 誤 「ニコチンの吸収が増加」ではなく「ニコチンの吸収が低下」する。
d 正
正解・・・2
問55
ビタミン成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a ビタミンB6は、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
b ビタミンB2は、炭水化物からのエネルギー産生に不可欠な栄養素で、腸管運動を促進する作用がある。
c ビタミンDの欠乏症として、高カルシウム血症、異常石灰化が知られている。
d ビタミンAは、夜間視力を維持したり、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正
ビタミン成分に関する問題
a 誤 ビタミンB6は、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要な栄養素である。
b 誤 これはビタミンB1に関する記述。
ビタミンB2は、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
c 誤 ビタミンDの「欠乏症」ではなく、「過剰症」である。
d 正 関連記事:ビタミンA
正解・・・5
問56
滋養強壮保健薬の配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a コンドロイチン硫酸は、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあり、全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合される場合がある。
b カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素であり、筋肉の収縮、血液凝固、神経機能にも関与する。
c アスパラギン酸ナトリウムは、アスパラギン酸のビタミンCの吸収を助ける等の作用を期待して、滋養強壮保健薬やかぜ薬に配合されている場合がある。
d ナイアシンは、下垂体や副腎系に作用してホルモンの分泌の調節に関与するため、ときに経血量が多くなることがある。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正
滋養強壮保健薬の配合成分に関する問題
a 誤 これはグルクロノラクトンに関する記述である。コンドロイチン硫酸は軟骨組織の主成分で、軟骨成分を形成及び修復する働きがあるとされる。コンドロイチン硫酸ナトリウムとして関節痛、筋肉痛等の改善を促す作用を期待してビタミンB1等と組み合わせて配合されている場合がある。
b 正 カルシウムが出題されるのは珍しいが、正しい記述である。
c 誤 アスパラギン酸ナトリウムは、骨格筋に溜まった乳酸の分解を促す等の働きを期待して用いられる。 なお、ビタミンCの吸収を助ける等の作用を期待して配合されるものは、ヘスペリジンである。
↓ヘスペリジン含有の飴
d 誤 これはビタミンEに関する記述である。ナイアシン(ニコチン酸アミド、ニコチン酸)は、皮膚や粘膜などの機能を維持することを助ける栄養素として配合されている場合がある。
正解・・・3
問57
一般用医薬品の防風通聖散に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症に適すとされる。
b 構成生薬としてマオウは含まれない。
c 便秘に用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、1週間位使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要である。
d 肥満症又は肥胖症に用いられる場合、医薬品の販売等に従事する専門家においては、生活習慣の改善が重要であることを説明する等、正しい理解を促すことが重要である。
a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 誤 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 正 正 誤 誤
5 正 誤 正 誤
しばり表現に「肥満」に関する記載がある漢方薬は、防風通聖散、防己黄耆湯、大柴胡湯があるが、今回はその中で防風通聖散にフォーカスを当てた問題である。
しばり表現等は以下の通りです。
「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。」
a 誤 これは大柴胡湯に関する記述である。特徴的なキーワードは「肥満症」以外には「常習便秘」がある。
b 誤 防風通聖散は、構成生薬としてカンゾウ、マオウ、ダイオウを含む。なお、試験で有無を問われるカンゾウ(甘草)・マオウ(麻黄)、便秘症に使われるダイオウ(大黄)の3つとも全て含む漢方薬は、手引きの範囲中では、防風通聖散のみです。
c 正
d 正
正解・・・2
問58
感染症の防止及び消毒薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 滅菌は、物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。
b 消毒薬の効果は、微生物の種類による影響を受けない。
c クレゾール石ケン液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して殺菌消毒作用を示すが、大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
d 次亜塩素酸ナトリウムは、皮膚刺激性が弱く、手指・皮膚の消毒に適している。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 誤
3 正 正 誤 正
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤
感染症の防止及び消毒薬に関する問題
a 正 殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置であり、また滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。
b 誤 消毒薬によっては、殺菌消毒効果が十分得られない微生物が存在する。
c 正 クレゾール石ケン液は、大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
d 誤 次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示すが、皮膚刺激性が強いため、通常人体の消毒には用いられない。
正解・・・2
問59
殺虫剤・忌避剤及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a シラミの防除には、フェノトリンが配合されたシャンプーが有効である。
b ゴキブリの卵は、殺虫剤の成分が浸透しやすい殻で覆われているため、燻蒸処理を行えば駆除できる。
c イエダニは、ネズミを宿主として生息場所を広げていくため、まず、宿主動物であるネズミを駆除することが重要である。
d イカリジンは、年齢による使用制限がない成分で、蚊やマダニに対して殺虫効果を示す。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正
衛生害虫及び殺虫剤・忌避剤に関する問題。殺虫成分の出題ポイントも確認を。
a 正 フェノトリンは ピレスロイド系殺虫成分で、シラミの駆除を目的とする製品(シャンプー)にも用いられる。
b 誤 燻蒸処理において、ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、殺虫効果を示さない。3週間位後に、もう一度燻蒸処理を行い、孵化した幼虫を駆除する必要がある。
c 正
d 誤 イカリジンは、年齢による使用制限がない忌避成分で、蚊やマダニなどに対して忌避効果(×殺虫効果)を発揮する。 なお、イカリジンは令和4年手引き改訂で追加された成分です。
正解・・・1
問60
尿糖・尿タンパク検査薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 通常、尿は弱アルカリ性であるが、食事その他の影響で中性~弱酸性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。
b 尿タンパク検査の場合、中間尿ではなく出始めの尿を採取して検査することが望ましい。
c 尿タンパク検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、激しい運動の直後は避ける必要がある。
d 尿糖検査の結果に異常がある場合、その要因は、腎炎やネフローゼ、尿路感染症、尿路結石等がある。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正
尿糖・尿タンパク検査薬に関する問題
a 正
b 誤 出始めの尿では、尿道や外陰部等に付着した細菌や分泌物が混入することがあるため、中間尿を採取して検査することが望ましい。
c 正
d 誤 これらは尿中のタンパク値に異常を生じる要因に関する記述である。尿糖値に異常を生じる要因は、一般に高血糖と結びつけて捉えられることが多いが、腎性糖尿等のように高血糖を伴わない場合もある。
正解・・・1