R6 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問41-50)

近年、婦人用の漢方薬におけるカンゾウの有無は全国的に出題頻度が高くなっている。

問41
痔の薬及びその配合成分に関する記述のうち、誤っているものの組み合わせはどれか。

a シコンは、新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用を期待して外用痔疾用薬に配合される。

b トコフェロール酢酸エステルは、肛門周囲の末梢血管の血行を促して、うっ血を改善する効果を期待して内用痔疾用薬に配合される。

c エフェドリン塩酸塩は、血管拡張作用による止血効果を期待して外用痔疾用薬に配合される。

d 芎帰膠艾湯は、体力中等度以上で、大便がかたく、便秘傾向のあるものの痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛に適すとされる。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


痔の薬及びその配合成分に関する問題
(珍しく)誤っているものの組合せなので、そこで間違わないように注意。
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)は出題頻度も低く、対応しづらい。

a 正 なお、シコン(紫根)は問52でも出題されている。
b 正 関連記事:トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)
c 誤 「血管拡張作用」ではなく「血管収縮作用」である。エフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動成分で、血管収縮作用による止血効果を期待して配合される。
d 誤 芎帰膠艾湯ではなく、乙字湯に関する記述である。「いぼ痔」「切れ痔」といったキーワードから判断したい。なお、芎帰膠艾湯は、体力中等度以下で冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・月経過多・不正出血、皮下出血に適すとされる。

正解・・・3


問42
婦人薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 鎮静作用を期待して、モクツウが配合されている場合がある。

b エチニルエストラジオールは、人工的に合成された女性ホルモンの一種であり、エストラジオールを補充するものである。

c 胃腸症状に対する効果を期待して、オウレンが配合されている場合がある。

d 漢方処方製剤である加味逍遙散は、構成生薬としてカンゾウを含む。

  a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正


婦人薬及びその配合成分に関する問題
モクツウ(木通)や加味逍遙散カンゾウ(甘草)の有無が問われており対応は難しいでしょう。なお、前年は温経湯マオウ(麻黄)の有無について問われていた。全ての漢方薬のカンゾウやマオウの有無を丸暗記するのは得策ではないので、直前期では割り切って学習を。

a 誤 モクツウ(木通)は利尿作用を期待して用いられる生薬である。
b 正 なお、一般用医薬品の女性ホルモン製剤としては、エチニルエストラジオール、エストラジオールを含有する軟膏剤「ヒメロス」を知っておくと良い。
「ヒメロス」は不感症や冷感症、婦人更年期障害(のぼせ、ほてり、冷え、イライラ等)に効能を持つ外用薬。ヒメロスを、直接膣粘膜・外陰部に塗布することで、女性ホルモン(卵胞ホルモン)を補充し、諸症状の改善が期待でされもちられる。この場合、外陰部への局所的な働きのほか、粘膜から吸収されることで全身的な作用も期待されている。
c 正
d 正 加味逍遙散はカンゾウ(甘草)を含んでいる。カンゾウ(甘草)の有無を問う問題自体は珍しくないが、婦人科用薬の分野で問われると難易度は高くなる。

なお、試験対策としては、カンゾウ(甘草)を含む漢方は約7割~8割程度あるので、カンゾウ(甘草)を含まない漢方を覚える。
まず、過去問(特に平成時代)でカンゾウを含まない漢方薬の定番は、以下の3つ(特に上記2つ)

半夏厚朴湯(咽喉・食道部に異物感、のどにつかえ感)
呉茱萸湯(ごしゅゆとう・頭痛)
茵蔯蒿湯(いんちんこうとう・便秘するものの蕁麻疹・口内炎・皮膚の痒み)

また、手引きの婦人薬分野で登場する漢方(9種類)のうち、以下の4つもカンゾウを含みません。
(上記3つとは異なり、手引きには間接的に書かれているのが厄介)

当帰芍薬散(更年期障害、月経不順、冷え症、産前産後 代表的な婦人向け漢方)
四物湯(更年期障害、月経不順、冷え症 血虚の基本処方)
温清飲(皮膚炎・湿疹、月経不順 四物湯と黄連解毒湯の合剤)
桂枝茯苓丸(月経不順、更年期障害、頭重、打ち身(打撲症) 比較的体力のある向け)

全ての漢方薬で、カンゾウ(甘草)や、他にも有無が問われるマオウ(麻黄)ダイオウ(大黄)の有無を一つずつ覚えるのは無理なので、とりあえず良く出題されるもの、試験で出たものを覚えていく学習法で良いでしょう。

正解・・・5


問43
次の表は、ある一般用医薬品の外用痔疾用薬の注入軟膏に含まれている成分の一覧である。

この医薬品に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
1個(2g)中
リドカイン60mg
プレドニゾロン酢酸エステル 1mg
トコフェロール酢酸エステル 50mg
アラントイン20mg

a 局所の感染を防止することを目的として、殺菌消毒成分が配合されている。

b 配合されているステロイド性抗炎症成分は、その含有量によらず長期連用を避ける必要がある。

c 局所への穏やかな刺激によって痒みを抑える効果を期待して、熱感刺激を生じさせる成分が配合されている。

d 肛門部の創傷の治癒を促す効果を期待して、組織修復成分が配合されている。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤


外用痔疾用薬の注入軟膏に関する問題
含有成分について、リドカインは局所麻酔成分、プレドニゾロン酢酸エステルはステロイド性抗炎症成分、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)はビタミン成分、アラントインは組織修復成分である。

a 誤 殺菌消毒成分(クロルヘキシジン塩酸塩など)は配合されていない。
b 正 プレドニゾロン酢酸エステルに関する記述である。
c 誤 熱感刺激を生じさせる成分(クロタミトン)は配合されていない。
d 正 アラントインに関する記述である。

正解・・・3


問44
月経不順、月経困難や月経困難症に適すとされる漢方処方製剤として、正しいものの組み合わせはどれか。

a 桃核承気湯
b 温経湯
c 茵蔯蒿湯
d 猪苓湯

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


婦人薬の分野で登場する漢方を選択すればよく、難易度は高くない。
なお、当試験で婦人薬として登場する漢方は9種類で、温経湯温清飲加味逍遙散桂枝茯苓丸五積散、柴胡桂枝乾姜湯、四物湯桃核承気湯当帰芍薬散がある。

cの茵蔯蒿湯は内服アレルギー用薬及び口内炎用薬の分野で登場する漢方で、体力中等度以上で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹口内炎、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみに適すとされる。
dの猪苓湯は泌尿器用薬の分野で登場する漢方で、体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が乾くものの排尿困難、排尿痛残尿感頻尿、むくみに適すとされる。(膀胱炎様の症状に用いられるイメージ)

正解・・・1


問45
アレルギー(過敏反応)を生じる仕組みに関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。なお、同じ記号の( )内には同じ字句が入る。

アレルゲンが皮膚や粘膜から体内に入り込むと、その物質を特異的に認識した免疫グロブリン(抗体)によって( a )が刺激され、細胞間の刺激の伝達を担う生理活性物質であるヒスタミンやプロスタグランジン等の物質が遊離する。( a )から遊離したヒスタミンは、周囲の器官や組織の表面に分布する特定の( b )(受容体)と反応することで、( c )、血管透過性亢進等の作用を示す。

  a b c
1 脂肪細胞  タンパク質  血管拡張
2 脂肪細胞  炭水化物  血管収縮
3 肥満細胞  炭水化物  血管収縮
4 肥満細胞  タンパク質  血管収縮
5 肥満細胞  タンパク質  血管拡張


アレルギー(過敏反応)を生じる仕組みに関する問題

a 肥満細胞
b タンパク質
c 血管拡張

正解・・・5


問46
眼科用薬の配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a コンドロイチン硫酸ナトリウムは、眼粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成し、外部の刺激からの保護を目的として用いられる。

b ホウ酸は、新陳代謝を促し、目の疲れの改善を目的として用いられる。

c クロモグリク酸ナトリウムは、花粉、ハウスダスト(室内塵)等による目のアレルギー症状(結膜充血、痒み、かすみ、流涙、異物感)の緩和を目的として用いられる。

d スルファメトキサゾールナトリウムは、ブドウ球菌や連鎖球菌による結膜炎やものもらい(麦粒腫)、眼瞼炎等の化膿性の症状の改善を目的として用いられる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤


眼科用薬の配合成分に関する問題

a 誤 これは硫酸亜鉛水和物(収斂成分)に関する記述である。コンドロイチン硫酸ナトリウムは、角膜の乾燥を防ぐことを目的として用いられる。
b 誤 これはアスパラギン酸カリウム等のアミノ酸成分に関する記述である。ホウ酸は、抗菌作用を有する成分で、洗眼薬として結膜嚢の洗浄・消毒に用いられるほか、点眼薬の添加物防腐剤)として配合されることもある。
↓ホウ酸を主成分とした点眼薬

c 正
d 正 スルファメトキサゾール細菌感染による結膜炎やものもらい(麦粒腫)、眼瞼炎などの化膿性の症状の改善を目的に用いられる。


正解・・・3


問47
眼科用薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 人工涙液は、涙液成分を補うことを目的とするもので、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感等に用いられる。

b 一般用医薬品の点眼薬には、緑内障の症状を改善できるものはない。

c 点眼薬は、結膜嚢(結膜で覆われた眼瞼(まぶた)の内側と眼球の間の空間)に適用するものであり、1滴の薬液量は結膜嚢の容積の50%程度に設定されている。

d 点眼後は、しばらくまばたきを繰り返して、薬液を結膜嚢内に行き渡らせるとよい。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


眼科用薬に関する問題

a 正 
↓ソフトコンタクトレンズ使用中でも使用できる人工涙液

b 正
c 誤 1滴の薬液の量は約50μLであるのに対して、結膜嚢の容積は30μL程度とされている。その為、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではない。
d 誤 点眼後は、しばらく眼瞼(まぶた)を閉じて、薬液を結膜嚢内に行き渡らせる。その際、目頭を押さえると、薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防ぐことができ、効果的とされる。

正解・・・1


問48
鼻炎用点鼻薬の配合成分に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a ナファゾリン塩酸塩は、鼻粘膜を通っている血管を拡張させ、鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として用いられる。

b グリチルリチン酸二カリウムは、鼻粘膜の炎症を和らげることを目的として用いられる。

c ケトチフェンフマル酸塩は、鼻粘膜を清潔に保ち、細菌による二次感染を防止することを目的として用いられる。

d リドカイン塩酸塩は、鼻粘膜の過敏性や痛みや痒みを抑えることを目的として用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


鼻炎用点鼻薬の配合成分に関する問題

a 誤 「血管を拡張」ではなく「血管を収縮」である。ナファゾリン塩酸塩アドレナリン作動成分で、交感神経系を刺激して鼻粘膜を通っている血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげる。
b 正 グリチルリチン酸二カリウムは抗炎症成分である。
c 誤 ケトチフェンフマル酸塩抗ヒスタミン成分で、ヒスタミンの働きを抑えることにより、くしゃみや鼻水等の症状を緩和する。
d 正 なお、リドカイン塩酸塩は局所麻酔成分に分類される。

正解・・・3


問49
外皮用薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 局所性の副作用として、適用部位に発疹・発赤、痒み等が現れることがある。これらの副作用は、外皮用薬が適応とする症状と区別することが難しい場合がある。

b ヘパリン類似物質は、きり傷、擦り傷、掻き傷等の創傷面からの出血を抑えることを目的として用いられる。

c 副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)を配合した外皮用薬は、水痘(水疱瘡)、みずむし、たむし等又は化膿している患部については症状を悪化させるおそれがあり、使用を避ける必要がある。

d ハッカ油は、皮膚に温感刺激を与え、末梢血管を拡張させて患部の血行を促す効果を期待して配合されている場合がある。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤


外皮用薬及びその配合成分に関する問題

a 正
b 誤 ヘパリン類似物質血行促進・保湿成分で、血液凝固を抑える働きがあるため、出血しやすい人、出血が止まりにくい人、出血性血液疾患(血友病など)の診断を受けた人では、使用を避ける必要がある。なお、医療用としてはヒルドイドのブランド名で良く知られています。
c 正
d 誤 ハッカ油は冷感刺激成分で、皮膚表面に冷感刺激を与え、反射的な血管の拡張による患部の血行を促す効果や、知覚神経を麻痺させることによる鎮痛・鎮痒の効果を期待して用いられる。

正解・・・4


問50
第1欄の記述は、外皮用薬の配合成分に関するものである。( )の中に入れるべき字句は第2欄のどれか。

第1欄
( )は、皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げ、その増殖を抑える。

第2欄
1 ピロールニトリン
2 クロラムフェニコール
3 ウンデシレン酸
4 シクロピロクスオラミン
5 スルファジアジン


外皮用薬の配合成分に関する問題

みずむし、たむし等は、皮膚糸状菌(白癬菌)という真菌類の一種が皮膚に寄生することによって起こる疾患(表在性真菌感染症)である。この中では1~4が抗真菌成分で候補となるが、この内容に該当するのはシクロピロクスオラミンである。
試験対策としては「輸送機能」がキーワードとなるが、出題頻度も低く、時間が無ければ割り切って学習を。

正解・・・4

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