R1 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 (問91-100)

問97(生薬)は難しい。「誤ったもの」を選ぶ問題だった。

問91
毛髪用薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ヒノキチオールは、ヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られた精油成分で、抗菌、抗炎症などの作用を期待して用いられる。

b カルプロニウム塩化物は、末梢組織において抗コリン作用を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられる。

c カシュウは、ウコギ科の生薬で、血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。

  a b c
1 正 正 正
2 誤 正 正
3 正 正 誤
4 正 誤 誤
5 誤 誤 正


毛髪用薬の配合成分に関する問題。

a 正しい。ヒノキチオールも育毛剤に使用され、試験ではそれなりに登場しています。
b 誤り。×抗コリン作用→○コリン作用。カルプロニウム塩化物は使用部位においてアセチルコリンに類似した作用(コリン作用)を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促す。抗コリン作用ではないので注意(良くひっかけ)。市販薬では「カロヤン」ブランドに良く配合されている。
c 誤り。これはチクセツニンジンに関する内容と思われる。カシュウ(何首烏)はタデ科のツルドクダミの塊根を基原とする生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用が期待される。
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正答・・・4


問92
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分とその配合目的の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。

    配合成分 配合目的
a イソプロピルメチルフェノール ―― 歯肉溝での細菌の繁殖を抑える

b チモール ―― 歯の齲蝕(むし歯)により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮める

c カルバゾクロム ―― 炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える

d グリチルリチン酸二カリウム ―― 歯周組織の炎症を和らげる

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正


歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分に関する問題。
それなりに出題されているc、dが判断できれば正答できる。

a 正しい。イソプロピルメチルフェノールは殺菌消毒成分。
b 誤り。チモールは殺菌消毒成分。
c 正しい。歯槽膿漏薬には、止血成分のカルバゾクロム(医療用ではアドナとして知られる)が配合されることがある。
d 正しい。グリチルリチン酸二カリウムは抗炎症成分。様々な分野で登場する。

正答・・・3


問93
咀嚼剤である禁煙補助剤及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a噛むことにより放出されたニコチンは、主に口腔粘膜から吸収されて循環血液中に移行する。

b 口腔内を酸性にする食品を摂取した後は、しばらくは使用を避けることとされている。

c ニコチンは、アドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により、その作用を減弱させるおそれがある。

d ニコチンは、インスリンの血糖降下作用を促進して、効果を増強させるおそれがある。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
c,dの内容は最近各地域で登場しているので押えておくように。

a 正しい。
b 正しい。酸性でOK。アルカリ性でひっかけの場合があるので注意。
c 誤り。ニコチンは交感神経系を興奮させる作用を示すことから、作用を(減弱ではなく)増強させる恐れがある。
d 誤り。ニコチンがインスリンの血糖降下作用に拮抗し、効果を妨げるおそれがある。
↓アマゾンサイト


正答・・・2


問94
ビタミン主薬製剤の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ビタミンB1は、下垂体や副腎系に作用してホルモン分泌の調節に関与するとされている。

b ビタミンB6は、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要な栄養素である。

c ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素である。

  a b c
1 誤 正 正
2 誤 誤 正
3 正 正 正
4 正 正 誤
5 正 誤 誤


ビタミン主薬製剤の配合成分に関する問題。
用途が多岐にわたるビタミンB群の知識が問われると、どうしても難しくなる。

a 誤り。これはビタミンEに関する内容。正直ここまで憶えるのはつらい。関連記事:ビタミンB1
b 正しい。関連記事:ビタミンB6
c 正しい。ビタミンDは「骨のビタミン」として容易に判断できるように。

正答・・・1


問95
滋養強壮保健薬の配合成分とその配合目的の組合せのうち、正しいものの組合せはどれか。

配合成分 配合目的
a システイン ――肝臓においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドの代謝を促す

b アミノエチルスルホン酸(タウリン) ―― 骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す

c アスパラギン酸ナトリウム ―― 虚弱体質、腺病質における骨歯の発育促進、妊娠・授乳期の骨歯の脆弱予防に用いられる

d ヘスペリジン ―― ビタミンCの吸収を助ける

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)


滋養強壮保健薬に配合される成分に関する問題。

a 正しい。システインはアミノ酸の1種で、皮膚におけるメラニンの生成を抑えたり、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す作用があるとされる。「ハイチオール」「トランシーノ」ブランド等の、いわゆるシミ・そばかす向けの医薬品にビタミンCと一緒に配合されている。
b 誤り。「乳酸の分解を促す」とくれば、アスパラギン酸ナトリウムに関する内容。アミノエチルスルホン酸(別名タウリン)は栄養ドリンクでお馴染みの成分。肝臓機能の改善を期待して用いられる。
c 誤り。
d 正しい。ヘスペリジン(ビタミンP)は、ビタミンCの吸収を助ける作用や抗酸化作用、血管強化作用等があるとされ、滋養強壮保健薬や、ベンザブロックシリーズ等のかぜ薬に配合されている。


正答・・・3


問96
漢方処方製剤及び生薬製剤に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合には、生後3ヶ月未満の乳児にも使用することができる。

b 漢方医学は古来に中国から伝わったもので、現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤を漢方処方製剤として使用している。

c 漢方薬を使用する場合、漢方独自の病態認識である「証」に基づいて用いることが、有効性及び安全性を確保するために重要であり、病態認識には虚実、陰陽、気血水、五臓などがある。

d 生薬製剤に使用される生薬は、薬用部位とその他の部位、又は類似した基原植物を取り違えると、人体に有害な作用を引き起こすことがある。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


漢方処方製剤に関する問題。
今回は定番の肥満症に適応をもつ漢方薬(防風通聖散防已黄耆湯など)に関する出題はなかった。

a 誤り。これは頻出の内容。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合(実際殆どないが)であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないことになっている。
b 誤り。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問97
生薬成分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 サンシュユは、ヤマノイモ科のヤマノイモ又はナガイモの周皮を除いた根茎(担根体)を基原とする生薬で、主に強壮作用を期待して用いられる。

2 ヨクイニンは、イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とする生薬で、肌荒れやいぼに用いられる。

3 モクツウは、アケビ科のアケビ又はミツバアケビの蔓性の茎を、通例、横切りしたものを基原とする生薬で、尿量増加(利尿)作用を期待して用いられる。

4 カッコンは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙等の作用を期待して用いられる。

5 ブクリョウは、サルノコシカケ科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする生薬で、利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。


生薬に関する問題。これは難しかったでしょう。
この試験では珍しく「誤っているもの」を選ぶ問題。まずそこを読み落とさないように。
この中で、ヨクイニン、カッコン、ブクリョウは頻出なのですぐに除外できるように。
1,3の2択まで絞りたい。

1 誤り。これはサンヤク(山薬)に関する内容。サンシュユはミズキ科のサンシュユの偽果の果肉を基原とする生薬
2 正しい。ハトムギ、肌荒れ、イボとくればヨクイニン
3 正しい。
4 正しい。「マメ科のクズ(葛)の周皮を除いた根」ときたら葛根湯にも含まれる「カッコン(葛根)」
5 正しい。「サルノコシカケ科のマツホドの菌核」ときたらブクリョウ(茯苓)とすぐに思いつきたい。

正答・・・1


問98
殺菌・消毒、消毒薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 殺菌・消毒は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。

b 次亜塩素酸ナトリウムは、皮膚刺激性が弱いため、手指の消毒に適している。

c ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)は塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

d 日本薬局方に収載されているクレゾール石鹸液(クレゾール石ケン液)は、原液を水で希釈して用いられるが、刺激性が強いため、原液が直接皮膚に付着しないようにする必要がある。

  a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 正 正 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 正 正 正
5 誤 誤 正 誤


殺菌・消毒、消毒薬に関する問題。

a 誤り。殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置。滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。
b 誤り。塩素系殺菌消毒成分の次亜塩素酸ナトリウムは皮膚刺激性が強く人体に直接用いない。チッキンハイターの成分であることを知っていれば容易に判断できたでしょう。

c 正しい。ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、プール等の大型設備の殺菌・ 消毒に用いられている。
d 正しい。他にクレゾール石鹸液大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はない点も押えておきたい。

正答・・・3


問99
殺虫剤の配合成分に関する次の記述のうち、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。

プロポクスルは、代表的な( a )系殺虫成分であり、殺虫作用はアセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と( b )に結合してその働きを阻害することによる。一般に有機リン系殺虫成分に比べて毒性は( c )。

  a b c
1 カーバメイト 不可逆的 高い
2 カーバメイト 可逆的 低い
3 カーバメイト 不可逆的 低い
4 ピレスロイド 不可逆的 低い
5 ピレスロイド 可逆的 高い


殺虫成分に関する問題。。殺虫成分の出題ポイントも確認を。

まず、プロポクスルカーバメイト系である。身近な例としては、主にムカデ・アリの侵入対策に、家の周りに撒く殺虫粉薬がある。

そして作用機序として「アセチルコリンエステラーゼの阻害によって殺虫作用を示す(有機リン系とは異なり、その作用は可逆的)」と手引きに書かれている。
また、一般に有機リン系に比べて毒性は低いとされる。

なお、出題頻度も高い有機リン系の殺虫成分の代表例はジクロルボスである。(バポナ殺虫プレートの主成分)
 


正答・・・2


問100
一般用検査薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 一般用検査薬には、悪性腫瘍の検査が可能なものがあり、薬局で購入することができる。

b 対象とする生体物質を特異的に検出するように設計されていることから、正しい方法で検体を採取し、一般用検査薬を正しく使用すれば、擬陰性・擬陽性を完全に排除することができる。

c 尿タンパク検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とする。

d 妊娠検査薬は、尿中のエストラジオールの有無を調べるものである。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 誤 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 正 誤 正 誤


一般用検査薬に関する問題。
妊娠検査薬尿糖・尿タンパク検査薬の複合タイプ問題である。
これはぼぼサービス問題なので絶対落とさないように。

a 誤り。
b 誤り。「完全に排除」という表現でおかしいと判断できるでしょう。
c 正しい。
d 誤り。尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を検出する。


正答・・・4

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