R1 福岡県(九州地区・沖縄共通) 第3章 主な医薬品とその作用 (問61-70)

問62(抗炎症成分)問68(眠気を促す薬)は難しい。

問61
かぜ薬に配合される成分及びその期待される主な作用の関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

成分 作用
ア グアヤコールスルホン酸カリウム ― 炎症による腫れを和らげる
イ メチルエフェドリン塩酸塩 ― 鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を拡げる
ウ ノスカピン ― 咳を抑える
エ クレマスチンフマル酸塩 ― 発熱を鎮め、痛みを和らげる

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)


かぜ薬に配合される成分に関する問題。この程度は容易に判断できるように。すべてそれなりに出題されている成分です。

ア 誤り。グアヤコールスルホン酸カリウムは去痰成分。
イ 正しい。メチルエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動性成分。
ウ 正しい。ノスカピンは頻出の麻薬性鎮咳成分。
エ 誤り。クレマスチンフマル酸塩は代表的な抗ヒスタミン成分でくしゃみや鼻水を抑える。医療用では「テルギンG」としても有名
↓クレマスチンフマル酸が配合された総合感冒薬


正答・・・3


問62
かぜ薬に含まれる炎症による腫れを和らげる成分(抗炎症成分)に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア セミアルカリプロティナーゼはタンパク質分解酵素で、体内で産生される炎症物質(起炎性ポリペプチド)を分解する作用がある。

イ ブロメラインは、炎症を生じた組織において、毛細血管やリンパ管に沈着したフィブリン類似の物質を分解して浸出物の排出を促し、炎症による腫れを和らげる。

ウ セミアルカリプロティナーゼは、痰粘液の粘り気を弱めて痰を切れやすくする働きがある。

エ トラネキサム酸は、凝固した血液を溶解しやすくする働きがあるため、血栓のある人にも使用できる。

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


かぜ薬に含まれる抗炎症成分に関する問題。
といってもトラネキサム酸以外は、現在配合されている製品は殆どない。トラネキサム酸は「喉の痛み・はれ」向けの製品に良く配合されている。セミアルカリプロティナーゼは今後も使用されることはない成分なので、直前期なら深追いしなくて良いでしょう。

ア 正しい。セミアルカリプロティナーゼに関する内容。
イ 正しい。なお、ブロメラインは今回第5章でも出題されています。
ウ 正しい。
エ 誤り。トラネキサム酸は「凝固した血液を溶解されにくくする働きもある」ため、血栓のある人等が使用する場合は、医師又は薬剤師に相談する。(但し実際には第3類医薬品扱いでそれほどリスクが高い訳ではない)

正答・・・1


問63
以下の記述にあてはまるかぜ薬の漢方処方製剤として、最も適切なものを下から一つ選びなさい。

体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れや
すい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症を生じることが知られている。

1 葛根湯
2 柴胡桂枝湯
3 小青竜湯
4 半夏厚朴湯
5 麻黄湯


かぜ薬の漢方処方製剤に関する問題。これはサービス問題でしょう。
「うすい水様の痰」「アレルギー性鼻炎」「花粉症」あたりのキーワードから容易に小青竜湯と判断できるように。

葛根湯のキーワードとしては「かぜの初期・頭痛・肩こり」辺りを押さえておく。
2 柴胡桂枝湯は、胃腸症状を伴うようなかぜの中期から後期の症状に適すとされている。
半夏厚朴湯は当試験では頻出。「カンゾウ(甘草)を含まない漢方薬」の問題でも良く登場する。

正答・・・3


問64
痛みや発熱が起こる仕組み及び解熱鎮痛薬の働きに関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア プロスタグランジンは、病気や外傷があるときに活発に産生されるようになり、体の各部位で発生した痛みが脳へ伝わる際に、そのシグナルを増幅することで痛みの感覚を強めている。

イ プロスタグランジンが脳の下部にある体温を調節する部位(温熱中枢)に作用して、体温を通常より低く維持するように調節する。

ウ 解熱鎮痛成分によりプロスタグランジンの産生が抑制されると、逆に肝臓での炎症が起こりやすくなる可能性がある。

エ プロスタグランジンの作用が解熱鎮痛成分によって妨げられると、胃酸分泌が低下するとともに胃壁の血流量が増加して、胃粘膜障害を起こしやすくなる。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 誤


プロスタグランジンと解熱鎮痛薬の働きに関する問題。

ア 正しい。
イ 誤り。プロスタグランジンは・・体温を通常より高く維持するように調節する。
ウ 正しい。
エ 誤り。プロスタグランジンの作用が妨げられると、胃酸分泌が「増加」するとともに胃壁の血流量が「低下」して、胃粘膜障害を起こしやすくなる。(なお、整形外科で長期に鎮痛薬が処方される場合は胃粘膜保護成分とセットで処方されることが一般的)

正答・・・3


問65
解熱鎮痛薬に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア アスピリンは、15歳未満の小児に対しては、一般用医薬品として使用してはならない。

イ 出産予定日12週間以内の妊婦がアスピリンの使用を避けなければならない理由は、アスピリンに血液を凝固しにくくさせる作用があるためである。

ウ エテンザミドは、水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しても安全に使用できる。

エ エテンザミドは、痛みの発生を抑える働きが作用の中心となっている他の解熱鎮痛成分に比べ、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強いため、解熱鎮痛成分としては、単独で使用されることが多い。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)


解熱鎮痛薬に関する問題。変な問題。

ア 正しい。「アスピリン(アスピリンアルミニウムも同様)、サザピリンは、(急性脳症の症状がでる)ライ症候群の発生が示唆されており、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない
次に(アスピリンと同じくサリチル酸系の)「エテンザミド及びサリチルアミドについては、水痘(水疱瘡 )又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける」ことも区別して理解しておく。
イ 正しい。
ウ 誤り。アの解説の通り。
エ 誤り。エテンザミドは他の解熱鎮痛成分に比べ、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強いため、作用の仕組みの違いによる相乗効果を期待して、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることが多いという特徴がある。

正答・・・1


問66
解熱鎮痛薬に含まれる成分に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア イブプロフェンは、全身性エリテマトーデス又は混合性結合組織病のある人において無菌性髄膜炎を生じやすい。

イ サザピリンは、一般用医薬品で唯一のピリン系解熱鎮痛成分となっている。

ウ ショウキョウは、ツヅラフジ科のオオツヅラフジの蔓性の茎及び根茎を、通例、横切したものを基原とする生薬で、鎮痛、尿量増加(利尿)等の作用を期待して用いられる。

エ メトカルバモールには骨格筋の緊張をもたらす脊髄反射を抑制する作用があり、骨格筋の異常緊張、痙攣・疼痛を伴う腰痛、肩こり、筋肉痛、関節痛、神経痛、打撲、捻挫等に用いられる。

1(ア、ウ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(イ、エ)


解熱鎮痛薬に含まれる成分に関する問題。

ア 正しい。この試験の中で無菌性髄膜炎をおこしやすい成分が問われたらイブプロフェンだと思ってよい。
イ 誤り。一般用医薬品で「ピリン系解熱鎮痛成分」ときたら、イソプロピルアンチピリンである。
ウ 誤り。これはショウキョウ(生姜)ではなくボウイ(防已)に関する内容。
エ 正しい。

↓アマゾンサイト


正答・・・2


問67
眠気を促す薬の成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬は、一時的な睡眠障害(寝つきが悪い、眠りが浅い)の緩和には使用されず、慢性的に不眠症状がある人や、医療機関において不眠症の診断を受けている人に使用される。

イ ブロモバレリル尿素は、催眠鎮静薬以外の一般用医薬品や医療用医薬品にも配合されていることがある。

ウ ブロモバレリル尿素は胎児に障害を引き起こす可能性があるため、妊婦又は妊娠していると思われる女性は使用を避けるべきである。

エ 生薬成分のみからなる鎮静薬は、作用が穏やかなため、複数の鎮静薬と併用して、長期連用する必要がある。

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正


眠気を促す薬の成分に関する問題。今回、成分名まで問われていないが、市販の睡眠改善薬に使用される抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミン塩酸塩であることも押させておきたい。(代表例:ドリエル)
 
ア 誤り。慢性の不眠は対象外。
イ 正しい。例えば頭痛薬に鎮静補助成分として配合されている製品がある。
ウ 正しい。ブロモバレリル尿素は、妊婦又は妊娠していると思われる女性は使用を避ける。
エ 誤り。

正答・・・4


問68
以下の生薬成分のうち、眠気を促す薬に含まれるものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア ホップ
イ ブシ
ウ カノコソウ(別名キッソウコン)
エ ヨクイニン

1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)


眠気を促す薬に関する問題。これは難しい。実務的にも重要度は高くない知識なので直前期なら飛ばしてOK

ア 正しい。
イ 誤り。ブシ(附子)は3章後半で割と出題されています。
ウ 正しい。
エ 誤り。

正答・・・2


問69
眠気を防ぐ薬に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 カフェインには、作用は弱いながら反復摂取により依存を形成するという性質があるため、「短期間の服用にとどめ、連用しないこと」という注意喚起がなされている。

2 眠気防止薬は、一時的に精神的な集中を必要とするときに、眠気や倦怠感を除去する目的で使用されるものであり、疲労の解消や睡眠が不要になるという効果がある。

3 眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量はカフェインとして500mgが上限とされている。

4 定期的な睡眠によって、生体は正常な状態に維持され、成長することができるため、特に成長期の小児の発育には睡眠が重要であることから、小児用の眠気防止薬はない。


眠気を防ぐ薬に関する問題。

1 正しい。眠気防止薬としても使用されるカフェインに関する内容。
2 誤り。明らかにおかしい内容。手引きには、カフェインの働きとして「脳に軽い興奮状態を引き起こし、一時的に眠気や倦怠感を抑える効果がある」と書かれている。
3 正しい。眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量200mg、1日摂取量は500mg が上限とされている。(数値の穴埋めも出題されたことがあるので、数値も憶えておく)
4 正しい。

正答・・・2


問70
鎮暈薬(乗り物酔い防止薬)に配合される成分及びその作用に関する以下の関係の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

成分 作用
ア ジフェニドール塩酸塩 ― 抗めまい作用
イ スコポラミン臭化水素酸塩水和物 ― 抗ヒスタミン作用
ウ アミノ安息香酸エチル ― 抗コリン作用
エ ジメンヒドリナート ― 中枢神経系を興奮させる作用

  ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 正 正


鎮暈薬(乗り物酔い防止薬)に配合される成分に関する問題。

ア 正しい。ジフェニドール塩酸塩は抗めまい成分。なお、抗ヒスタミン薬と類似の薬効を示すことから、「相談すること」に排尿困難や緑内障に関する注意が記載されている。
イ 誤り。スコポラミン臭化水素酸塩は抗コリン成分(抗ヒスタミンではない)。古くから乗物酔い防止薬に使われている。
ウ 誤り。アミノ安息香酸エチルは局所麻酔成分。局所麻酔作用で胃粘膜の知覚を麻痺させ、反射性嘔吐を予防します。「アネロンニスキャップ」等に配合されている。今回5章で問われるが、6歳未満の小児には使用を避ける(メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため)点も合わせて憶えておきたい。
エ 誤り。ジメンヒドリナートは、ジフェンヒドラミンテオクル酸塩の一般名で抗ヒスタミン薬。専ら乗物酔い防止薬に配合される。

正答・・・3

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