H27 愛知県(東海・北陸地区共通) 第3章 主な医薬品とその作用(問21-30)

問27(乗り物酔い防止薬)、問28(小児鎮静薬)は幅広い知識が求められる。

問 21
かぜ及びかぜ薬に関する記述のうち、正しいもはどれか。

1 かぜ薬とは、ウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスを体内から除去することを目的として使用される医薬品の総称であり、総合感冒薬とも呼ばれる。

2 かぜ薬による重篤な副作用として、まれに、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、喘息、間質性肺炎が起こることがある。

3 インフルエンザ(流行性感冒)は、かぜと同様、ウイルスの呼吸器感染によるものであり、感染力が弱く、重症化することもない。

4 15歳未満の小児でインフルエンザにかかっているときは、サリチルアミドが配合されたかぜ薬を使用することが適切である。

かぜに関する問題。これは絶対に落とさないように。簡単な知識問題

1 誤り。かぜ薬とは、かぜの諸症状の緩和を目的として使用される医薬品の総称。ウイルスの増殖を抑えたり、除去するものではない。
2 正しい。
3 誤り。
4 誤り。サリチル酸系解熱鎮痛成分であるエテンザミドサリチルアミドについては、水痘(みずぼうそう)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける必要がある
なお、「アスピリンサザピリンは、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない」とは区別して理解しておく。

正答・・・2

問 22 次のうち、痰の切れを良くする目的でかぜ薬に配合される成分として、正しいものの組み合わせはどれか。

a ブロムヘキシン塩酸塩

b イブプロフェン

c グアイフェネシン

d ジフェンヒドラミン塩酸塩

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

かぜ薬、去痰薬に関する問題。頻出の成分が揃っており、必ず正答できるように。


ブロムヘキシン塩酸塩は去痰薬としては頻出なのですぐに気付きたい。テレビCMの中で名前を聞いたことがある人もいるでしょう。
一方グアイフェネシンはマイナーな去痰成分だが、頻出の解熱鎮痛成分のイブプロフェン、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン塩酸塩の判断できれば、消去法的に選択できる。

正答・・・2

問 23 かぜの症状緩和に用いられる漢方処方製剤のうち、構成生薬としてカンゾウを含まないものはどれか。

1 柴胡桂枝湯 
2 葛根湯 
3 半夏厚朴湯 
4 麻黄湯 
5 小青竜湯

漢方のかぜ薬に関する問題。一般用医薬品の販売現場でも、全て重要な漢方薬なので、基本的知識はそれぞれ押さえておきたい。

この中で「カンゾウ(甘草)を含まない漢方処方製剤」は半夏厚朴湯。ある程度過去問こなしている方はすぐに判断できたでしょう。半夏厚朴湯呉茱萸湯は、カンゾウを含まない漢方製剤として度々問われている

また、余裕があれば、それぞれの漢方薬の用途・特徴も一通り確認しておきましょう。
関連記事:柴胡桂枝湯 、葛根湯 、半夏厚朴湯 、麻黄湯 、小青竜湯

正答・・・3

問 24 一般用医薬品の解熱鎮痛薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a アセトアミノフェンは、主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、胃腸障害を生じやすく、空腹時に服用できる製品はない。

b 解熱鎮痛薬は、発熱や痛みの原因となっている病気や外傷を根本的に治すことができる。

c 月経そのものが起こる過程にプロスタグランジンが関わっていることから、月経痛(生理痛) には、解熱鎮痛薬の効果が期待できる。

d 一般用医薬品の解熱鎮痛薬は、複数の有効成分が配合されている製品が多く、他のかぜ薬や鎮静薬等が併用されると、同じ成分又は同種の作用を持つ成分が重複して、効き目が強く現れすぎたり、副作用が起こりやすくなったりするおそれがある。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

解熱鎮痛成分に関する問題。小児にも使用できる解熱鎮痛成分であるアセトアミノフェンの基本的知識は必ず押さえておく。超頻出である。

a 誤り。アセトアミノフェンは中枢作用により解熱・鎮痛効果をもたらすことは正しい内容。後半部分が誤りで、「胃腸障害は少なく、空腹時に服用できる製品もある」。具体的な製品として「タイレノール」があり、パッケージに「空腹時に飲めるやさしさで、効く」と書かれている。
b 誤り。あくまで対症療法です。常識的にも判断できるでしょう。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・3

問 25 アスピリン(別名アセチルサリチル酸)に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはど れか。

a アスピリンは、他の解熱鎮痛成分と比較して胃腸障害を起こしにくいとされている。

b アスピリンは、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがある。

c アスピリン喘息は、アスピリン特有の副作用であり、他の解熱鎮痛成分では起こらない。

d 医療用医薬品のアスピリンは、血栓ができやすい人に対する血栓予防薬の成分としても用いられる。

a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

アスピリン(別名アセチルサリチル酸)に関する問題。一般用医薬品では、バファリンAが代表品。

a 誤り。
b 正しい。
c 誤り。
d 正しい。

正答・・・4

問26 眠気防止薬に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量は500mg が上限とされている。

2 カフェインには、作用は弱いながら反復摂取により依存を形成するという性質があるため、 「短期間の服用にとどめ、連用しないこと」という注意喚起がなされている。

3 眠気防止薬は、一時的に精神的な集中を必要とするときに、眠気や倦怠感を除去する目的で使用されるほか、疲労の解消にも効果がある。

4 成長期の小児の発育には睡眠が重要であることから、小児用の眠気防止薬はないが、小・中 学生の試験勉強に効果があると誤解されて誤用事故を起こした事例も知られており、15歳未満の小児に使用されることがないよう注意が必要である。

眠気防止薬というか、カフェインに関する問題。カフェインに関する問題は毎年出題されると考えて良い。

1 正しい。ちょっと多いかな?と感じた方もいるかもしれませんが、出題の手引きどおりです。なお、コーヒー1杯あたりのカフェイン量は約60㎎です。
2 正しい。
3 誤り。「疲労の解消」の効果は×
4 正しい。

正答・・・3

問 27 鎮暈薬(乗物酔い防止薬)に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 乗物酔い防止薬には、主として吐きけを抑えることを目的とした成分も配合されるため、つわりに伴う吐きけへの対処として使用することも推奨されている。

b ジフェニドール塩酸塩は、緑内障の診断を受けた人では、その症状を悪化させるおそれがある。

c ジメンヒドリナートは、ジフェンヒドラミンテオクル酸塩の一般名で、専ら乗物酔い防止薬に配合される抗ヒスタミン成分である。

d プロメタジンテオクル酸塩等のプロメタジンを含む成分については、外国において、乳児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制を生じたとの報告があるため、 15歳未満の小児では使用を避ける必要がある。

a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正

乗物酔い防止薬に関する問題。幅広い知識が求められている。

a 誤り。これは容易に判断できたでしょう。つわりに伴う吐きけに使用することは適当でない。
b 正しい。ジフェニドール塩酸塩は、抗ヒスタミン成分や抗コリン成分と同様な作用を示すことから、緑内障や排尿困難の症状のある方には注意が必要。なお、医療用では「セファドール」の商品名で知られる。
c 正しい。ジメンヒドリナートは超マイナーな成分。含有する製品の存在も不明。
d 正しい。プロメタジン(プロメタジンテオクル酸塩、プロメタジン塩酸塩など)は抗ヒスタミン成分であり、試験では乗物酔い防止薬として登場します。(医療用のPL配合顆粒では、主に鼻水を抑える成分として含まれている)

特に「外国において、乳児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制を生じたとの報告があるため、15歳未満の小児では使用を避ける必要がある。」の内容が問われる事が多い。

なお、一般用医薬品で配合されている製品の存在は不明。あくまで試験対策として割り切って憶えて下さい。

正答・・・5

問 28 小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬)に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 症状の原因となる体質の改善を主眼としているものが多く、比較的長期間(1ヶ月位)継続して服用されることがある。

2 発達段階の一時的な症状と保護者が達観することも重要であり、小児鎮静薬を保護者側の安眠等を図ることを優先して使用することは適当でない。

3 小児の疳を適応症とする主な漢方処方製剤としては、柴胡加竜骨牡蛎湯 、桂枝加竜骨牡蛎湯 、 抑肝散 、抑肝散 加陳皮半夏のほか、 小建中湯がある。

4 ジンコウは、ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬で、緊張や興奮を鎮める作用を期待して用いられる。

小児鎮静薬に関する問題。ジンコウ(沈香)の知識が無くても、消去法的に判断できるようにしたい。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。関連記事:抑肝散 ・抑肝散加陳皮半夏小建中湯
4 誤り。ジンコウ(沈香)は、動悸・きつけや、小児疳に用いられる「六神丸」の構成生薬の一つとして知られる。ジンチョウゲ科の材木中に黒色の樹脂が沈着したもので、「水に沈まない香木」という意味から「沈香」と名付けられた。

正答・・・4

問 29 コデインリン酸塩に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 気道の炎症を和らげることを目的として、咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)に 配合されている。

b 長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがあり、薬物依存につながるおそれがある。

c 妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部が血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行する ことが知られている。

d 胃腸の運動を亢進させる作用を示し、副作用として下痢が現れることがある。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

コデインリン酸塩は一般用医薬品にける代表的な麻薬性鎮咳成分の一つ。同効薬のジヒドロコデインリン酸塩とともに超頻出である。

a 誤り。抗炎症作用はない。
b 正しい。コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩の依存性・習慣性は良く問われる。
c 正しい。
d 誤り。コデインリン酸塩ジヒドロコデインリン酸塩は胃腸の運動を低下させる作用もあり、副作用として便秘が現れることがある。

正答・・・2

問 30 鎮咳去痰薬に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 ノスカピン塩酸塩はモルヒネと同じ基本構造を持ち、依存性がある成分であり、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。

2 メチルエフェドリン塩酸塩は、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めることを目的として用いられる。

3 カンゾウは、鎮咳去痰薬以外の医薬品に配合されていることもあるが、一般食品に用いられることはない。

4 鎮咳成分や気管支拡張成分、抗炎症成分の働きを助ける目的で、カルボシステインが配合されている場合があるが、気道粘膜での粘液分泌を抑制するため、痰が出にくくなることがある。

鎮咳去痰薬に関する問題。すべて頻出の成分なので、それぞれしっかり理解しておきたい。

1 誤り。ノスカピン塩酸塩は非麻薬性の鎮咳成分。市販薬でも良く用いられている。
2 正しい。メチルエフェドリン塩酸塩も、総合感冒薬で用いられる代表的なアドレナリン作動性成分。
3 誤り。甘味料として食品に含まれることがある。
4 誤り。カルボシステインは代表的な去痰成分であり、痰の粘度を下げる働きがある。医療用では「ムコダイン」として知られる。

正答・・・2
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