R1 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 (問81-90)

問83(泌尿器用薬)は難しい。サービス問題もほぼ無く難易度は高い。

問81
循環器用薬に配合されるユビデカレノンに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 肝臓や心臓などの臓器に多く存在し、エネルギー代謝に関与する酵素の働きを助ける成分である。

b 摂取された栄養素からエネルギーが産生される際にビタミンB群とともに働く。

c 副作用として、胃部不快感、食欲減退、吐きけ、下痢、発疹・痒みが現れることがある。

d ニコチン酸が遊離し、そのニコチン酸の働きによって末梢の血液循環を改善する作用を示すとされる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 正 正
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 誤


循環器用薬に関する問題。一般用医薬品ではピンとこない分野だが、ユビデカレノン(別名:コエンザイムQ10)は頻出。

a 正しい。
b 正しい。ビタミンB群で正しい。ビタミンCなど、他のビタミンでひっかけの場合が多いので注意。
c 正しい。
d 誤り。これは同じ循環器用薬の分野で登場するヘプロニカート、イノシトールヘキサニコチネートに関する記述。

正答・・・1


問82
外用痔疾用薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ジブカイン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。

b 痔による肛門部の創傷の治癒を促す効果を期待して、アラントインが用いられる。

c ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤及び注入軟膏では、その含有量によらず長期連用を避ける必要がある。

d シコンはシソ科のコガネバナの根を基原とする生薬で、止血効果を期待して用いられる。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 誤 正
5 正 正 正 誤


外用痔疾用薬に関する問題。この程度の問題は正答できるように。

a 正しい。ジブカイン等の局所麻酔成分のアナフィラキシーの恐れは出題率は高め。(H29 問81でも出題あり)ジブカインだけでなく、リドカインアミノ安息香酸エチルについても同様の記載がある。
b 正しい。アラントインは 組織修復成分に分類される。
c 正しい。外用痔疾患用薬に用いられるステロイド性抗炎症成分としてはプレドニゾロン等がある。

d 誤り。シコン(紫根)は頻出。ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等を期待して用いられ、紫雲膏の主薬でもある。


正答・・・5


問83
次の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適切なものはどれか。

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、尿漏れに適すとされるが、胃腸の弱い人、下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢の副作用が現れるおそれがあるため使用を避ける必要があり、また、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、のぼせ、動悸等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

1 牛車腎気丸
2 八味地黄丸
3 六味丸
4 猪苓湯
5 竜胆瀉肝湯


泌尿器用薬に関する問題。これはかなりの難問。
同じような「しばり表現」「効能」を持つ、牛車腎気丸と八味地黄丸の両方が選択肢に含まれているので難問。
どちらも男性のオシッコトラブル向けの漢方として知られいるが、試験テクニック的な鑑別ポイントは「夜間尿」「尿漏れ」があるかないか。あとはCMでも良く見かけた「ハルンケア」=八味地黄丸と結び付けると記憶は定着しやすいかもしれない。
但し、手引きの記載も似たような漢方なので、このような形で2択をせまるは酷な問題でしょう。
ちなみに、牛車腎気丸の手引きの記載は以下のとおり
「体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少し、むくみがあり、ときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、胃部不快感、腹痛、のぼせ、動悸等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。」

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正答・・・2


問84
婦人薬及びその適用対象となる体質・症状に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 月経の約10~3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、抑鬱などの精神症状を主体とするものを、月経前症候群という。

b 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では、エストラジオールを含有する医薬品の使用を避ける必要がある。

c 桂枝茯苓丸は、体力中等度又はやや虚弱で冷えがあるものの胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。

d 当帰芍薬散は、体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 誤 正


婦人用薬に関する問題。

a 正しい。月経前症候群に関する内容。
b 正しい。余裕があればエストラジオールの記事も確認を。この内容は第5章でも良く登場します。
c 誤り。これは五積散に関する内容。桂枝茯苓丸が、婦人用薬の中でも「比較的体力がある」(実証)向けの漢方薬であることを知っていれば、容易に誤りと判断できる。他に打撲症のキーワードも有無も。
d 誤り。この試験で「打撲症」のキーワードがあれば桂枝茯苓丸桃核承気湯。さらに「便秘」の記述もあることから桃核承気湯に絞りこめるように。当帰芍薬散は婦人向け漢方の代表格で「更年期障害、月経不順、冷え症、産前産後」等がキーワードとなる。
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正答・・・1


問85
アレルギー(過敏反応)、内服アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む。)及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ジフェンヒドラミン塩酸塩は、吸収されたジフェンヒドラミンの一部が乳汁に移行して乳児に昏睡を生じるおそれがあるため、母乳を与える女性は使用を避けるか、使用する場合には授乳を避ける必要がある。

b アレルゲン(抗原)が皮膚や粘膜から体内に入り込むと、その物質を特異的に認識したヒスタミンによって脂肪細胞が刺激され、細胞間の刺激の伝達を担う生理活性物質である免疫グロブリン(抗体)が遊離する。

c 辛夷清肺湯は、体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症に適するとされている。

d ケイガイは、ハクモクレン等の蕾を基原とする生薬で、鎮静、鎮痛の作用を期待して用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)


内服アレルギー薬に関する問題。
bはあまり出題されていない内容なので、判断に迷うかも。

a 正しい。ジフェンヒドラミン塩酸塩の授乳回避については頻出。母乳中に移行し、乳児に昏睡を起こすおそれがあるため、服用中は授乳を避ける(第5章でも出題される)
b 誤り。「アレルゲンが・・・体内に入り込むと、その物質を特異的に認識した免疫グロブリン(抗体)によって肥満細胞が刺激され・・・生理活性物質であるヒスタミンやプロスタグランジン等の物質が遊離する」
c 正しい。辛夷清肺湯は鼻づまり向けの漢方として知られる。
d 誤り。ケイガイ(荊芥)はシソ科のケイガイの花穂を基原とする生薬で、鼻閉への効果を期待して用いられる。例えば荊芥連翹湯の主薬である。

正答・・・2


問86
鼻炎用点鼻薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a テトラヒドロゾリン塩酸塩は、交感神経系を刺激して鼻粘膜を通っている血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として用いられる。

b クロモグリク酸ナトリウムは、アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対して有効である。

c セチルピリジニウム塩化物は、ヒスタミンの働きを抑える作用を期待して用いられる。

d リドカインは、鼻粘膜の過敏性や痛みや痒みを抑えることを目的として配合されている。

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


a 正しい。テトラヒドロゾリン塩酸塩はアドレナリン作動性成分。目薬の成分としてもよく登場し、眼の充血の緩和に用いられる。
b 誤り。。クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑える作用を示し、花粉、 ハウスダスト等による鼻アレルギー症状を抑える(抗アレルギー成分)。なお、「通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合される」のフレーズも良く問われている。
c 誤り。 セチルピリジニウム塩化物は殺菌消毒成分。トローチの成分としても知られる。
d 正しい。リドカインは局所麻酔成分。痔の薬でも登場する。


正答・・・2


問87
眼科用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a プラノプロフェンは、炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促すことを目的として用いられる。

b ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの働きを抑える作用を示し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善する効果を目的として用いられる。

c ヒアルロン酸ナトリウムは、眼粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成することで、外部の刺激から保護することを目的として用いられる。

d サルファ剤は、細菌感染(ブドウ球菌や連鎖球菌)による結膜炎やものもらい(麦粒腫)、眼瞼炎などの化膿性の症状の改善を目的として用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)


眼科用薬は2問出題されることが多いが、今年は1問のみでした。
硫酸亜鉛水和物以外は良く出題されている成分なので、落とさないように。

a 誤り。プラノプロフェンは点眼薬に用いられる非ステロイド性抗炎症成分。組織修復成分には分類されない。

b 正しい。ネオスチグミンメチル硫酸塩はピント調節機能改善成分。コリンエステラーゼの働きを抑え毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善するとされる。「疲れ目に」と書かれた目薬には、大抵配合されている。
 
c 誤り。これは硫酸亜鉛水和物に関する記述。ヒアルロン酸ナトリウムは市販薬では有効成分としてではなく添加物(粘稠化剤)として使用されている。
d 正しい。例えば、サルファ剤のスルファメトキサゾールは細菌感染による結膜炎やものもらいなどの化膿性の症状の改善を目的に使用される。


正答・・・4


問88
外皮用薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ヘパリン類似物質は、創傷面に浸透して、その部位を通っている血管を収縮させることによる止血効果を期待して用いられる。

b 酸化亜鉛は、患部のタンパク質と結合して皮膜を形成し、皮膚を保護する作用を示すため、患部が浸潤又は化膿している場合に用いられる。

c 尿素は、皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることによる角質軟化作用を期待して用いられる。

d カンフルは、軽い炎症を起こして反射的な血管の拡張による患部の血行を促す効果を期待して、また、知覚神経を麻痺させることによる鎮痛・鎮痒の効果を期待して用いられる。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 誤 正


外皮用薬の配合成分に関する問題。

a 誤り。ヘパリン類似物質は血行促進や保湿を目的に用いられる(医療用ではヒルドイドが超有名)。血液凝固を抑える働きがあるため、出血しやすい人、出血が止まりにくい人、出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑症など)の診断を受けた人では、使用を避ける。

b 誤り。酸化亜鉛は、患部のタンパク質と結合して皮膜を形成し、皮膚を保護する作用を示す。
c 誤り。これはイオウに関する内容。尿素OTCでは代表的な保湿成分であり、角質層の水分保持量を高め、皮膚の乾燥を改善する。保湿成分としては尿素の他、グリセリンやオリーブ油、ワセリン、ヘパリン類似物質がある。
d 正しい。
↓「キンカン」にもカンフルが含まれています。


正答・・・5


問89
外皮用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a インドメタシンは、皮膚の下層にある骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を促す作用を示す。

b ウフェナマートは、炎症を生じた組織に働いて、細胞膜の安定化、活性酸素の生成抑制などの作用により、抗炎症作用を示すと考えられている。

c ステロイド性抗炎症成分は、体の一部分に生じた湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等の一時的な皮膚症状(ほてり・腫れ・痒み等)の緩和を目的として用いられる。

d フェルビナクには、殺菌作用があり、皮膚感染症に効果があるため、みずむし、たむし等又は化膿している患部への使用が適している。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


a 誤り。×プロスタグランジンの産生を促す→○~の産生を抑える。関連記事:インドメタシン

b 正しい。 ウフェナマートステロイド性抗炎症成分で、皮膚の炎症や痒み向けの成分。おむつかぶれにも使用できるような「ノンステロイド」を訴求した商品に良く使用されている。今回のように作用機序が問われると結構迷ったかもしれない。
c 正しい。
(例)↓ステロイド性抗炎症成分であるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有した製剤

d 誤り。フェルビナクは外用薬に用いられる非ステロイド性抗炎症成分で、筋肉痛、関節痛、打撲、捻挫等による鎮痛等を目的にした湿布(特にパップ剤と呼ばれる白いタイプ)によく使用されている。
↓フェルビナクを配合した医療用湿布


正答・・・3


問90
抗真菌作用を有する外皮用薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 一般的に、じゅくじゅくと湿潤している患部には、軟膏又はクリームが適すとされる。

b 液剤は、有効成分の浸透性が低いため、患部に対する刺激が弱い。

c 湿疹か皮膚糸状菌による皮膚感染かはっきりしない場合、抗真菌成分が配合された医薬品を使用することが適当である。

d シクロピロクスオラミンは、皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げ、その増殖を抑える。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


抗真菌作用を有する外皮用薬(いわゆる水虫薬)に関する問題。
シクロピロクスオラミンはマイナーで出題頻度も低く迷ったでしょう。

a 正しい。
b 誤り。液剤は浸透性が高いが、患部に対する刺激が強い。皮膚が厚く角質化している部分には適している。 
c 誤り。手引きには「湿疹か皮膚糸状菌による皮膚感染かはっきりしない場合に、抗真菌成分が配合された医薬品を使用することは適当でない」と書かれている。 
d 正しい。シクロピロクスオラミンに関する内容。

正答・・・2

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