R3 関西広域連合 第4章 薬事に関する法規と制度(問91-100)

問100(改善命令、緊急命令)は難しい。

問91
薬局に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 薬局で一般用医薬品を販売するためには、薬局の開設の許可に加えて、医薬品の店舗販売業の許可も必要となる。

b 薬局開設者は、薬剤師不在時間内は、調剤室を閉鎖するとともに、調剤に従事する薬剤師が不在のため調剤に応じることができない旨等を掲示しなければならない。

c 医療法では、調剤を実施する薬局は、医療提供施設に位置づけられている。

d 医薬品を取り扱う場所であって、薬局として開設の許可を受けていないものについては、病院又は診療所の調剤所を除き、薬局の名称を付してはならない。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正


薬局に関する問題。
薬剤師不在時間」とは、例えば、緊急時の在宅対応や急遽日程の決まった退院時カンファレンスへの参加のため、一時的に(予定されたものではない)当該薬局において薬剤師が不在となる時間が該当する。
なお、単に薬剤師のシフト都合や、定期的な業務(定期在宅患者訪問、学校薬剤師業務)は、この定義には含まれません。

a 誤り。薬局であれば、医療用医薬品の他に(店舗販売業の許可なく)要指導医薬品及び一般用医薬品を取り扱うことができる。
b 正しい。関連記事:薬剤師不在時間

c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4


問92
一般用医薬品のリスク区分に応じた情報提供等に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。

a 薬局開設者は、要指導医薬品を購入しようとする者から、説明を要しない旨の意思の表明があり、その薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師が、当該要指導医薬品が適正に使用されると認められると判断した場合には、必要な情報を提供せずに販売することが認められている。

b 店舗販売業者が、第一類医薬品を販売する場合には、その店舗において医薬品の販売に従事する薬剤師又は登録販売者に、書面を用いて必要な情報を提供させなければならない。

c 配置販売業者が、第二類医薬品を配置する場合には、医薬品の配置販売に従事する薬剤師又は登録販売者に、必要な情報を提供させるよう努めなければならない。

d 店舗販売業者は、その店舗において第三類医薬品を購入した者から、相談があった場合には、その店舗において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、必要な情報を提供させなければならない。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)


一般用医薬品のリスク区分に応じた情報提供等に関する問題。
第一類の「説明を要しない」販売ケースは、まだあまり問われていないので注意。

a 誤り。これは要指導医薬品ではなく、第一類医薬品の販売に関する内容。
まず前提として、第一類医薬品は(要指導医薬品と同様に)情報提供の内容を理解したことを確認した後でなければ、販売・授与してはならないとされている。
ただし、(購入希望者より)説明を要しない旨の意思の表明があり、薬剤師が適正に使用されると認められると判断した場合には、適用しない(つまり情報提供を簡素化・省略できる)こととされている。
例としては、第一類の発毛剤を販売する際、顔なじみの購入者でリピート購入しており、かつ注意事項もよく理解されているケース等を思い浮かべればよい。
b 誤り。第一類医薬品の販売・情報提供は(薬剤師又は登録販売者ではなく)「薬剤師」が「書面」を用いて行う。(なお、要指導医薬品では更に「対面」も必須=ネット販売出来ない)
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4


問93
店舗販売業者に求められている要指導医薬品及び一般用医薬品のリスク区分に応じた情報提供並びに陳列等に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 第一類医薬品を販売した場合、医薬品の購入者等が情報提供の内容を理解したことの確認の結果等を書面に記載し、5年間保存しなければならない。

b 第二類医薬品又は第三類医薬品の販売に関しては、薬剤師のほかに、登録販売者が購入者への情報提供や相談があった場合の対応を行うことができる。

c 購入者の利便性等を考慮し、薬効分類が同じである第一類医薬品と要指導医薬品を、区別することなく陳列することができる。

d 指定第二類医薬品を、鍵をかけた陳列設備に陳列する場合、情報提供を行うための設備から7メートル以内の範囲に陳列する必要はない。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


リスク区分に応じた情報提供並びに陳列等に関する問題。

a 誤り。✖5年間⇒〇2年間。関連記事:要指導医薬品又は第一類医薬品の販売記録
 
b 正しい。第二類、第三類なので登録販売者もOK。
c 誤り。薬効分類に関わらず、第一類医薬品と要指導医薬品は区分して陳列しなければならない。
d 正しい。まず、指定第2類医薬品の「情報提供を行うための設備から7メートル以内の範囲に陳列」「禁忌事項の確認」については頻出なのでしっかり押さえておく。そして、このケースではかぎをかけた陳列設備なので、7メートルを超え離れていてもOKである。

正答・・・4


問94
店舗販売業者が、当該店舗の見やすい位置に掲示板で掲示しなければならない事項の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 相談時及び緊急時の電話番号その他連絡先

b 店舗に勤務する者の名札等による区別に関する説明

c 指定第二類医薬品を購入し、又は譲り受けようとする場合は、当該指定第二類医薬品の禁忌を確認すること及び当該指定第二類医薬品の使用について薬剤師又は登録販売者に相談することを勧める旨

d 店舗に勤務する薬剤師の薬剤師名簿の登録番号及び登録販売者の登録販売者名簿の登録番号

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


店舗販売業における掲示に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。「勤務する薬剤師又は登録販売者の別、その氏名と担当業務」を掲示すればよい。免許・登録番号は必要ない。今回問われていないが、顔写真も必要ない。

正答・・・1


問95
特定販売に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。

a 店舗販売業者は、当該店舗に貯蔵又は陳列している一般用医薬品に限り特定販売を行うことができる。

b 特定販売を行うことについて広告するときは、医薬品の薬効群ごとに表示しなければならない。

c 特定販売を行うことについてインターネットを利用して広告をするときは、ホームページに、勤務している薬剤師又は登録販売者の顔写真を見やすく表示しなければならない。

d 特定販売を行うことについてインターネットを利用して広告をするときは、都道府県知事及び厚生労働大臣が容易に閲覧できるホームページで行わなければならない。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)


特定販売(いわゆるネット販売)に関する問題。
初めての受験生は、実際にネット販売を行っているサイトを確認してみると良い。
但し、bの内容はイマイチピンとこない筈だが、割り切って憶える。

a 正しい。実店舗で貯蔵又は陳列していない医薬品は販売できない。(販売サイトだけ作成し、配送等は外部に委託するような販売は認められていない)
なお、実店舗を持っていることを証明するため、ホームページには一般用医薬品の陳列の状況を示す写真はもちろん、薬局の主要な外観の写真も表示する必要がある。
b 正しい。
b 誤り。特定販売を行うことについて広告をするときは、第一類医薬品、指定第二類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品及び薬局製造販売医薬品の区分ごとに表示することになっている。(但し、実際には検索・表示された医薬品の区分わかるようになっていれば十分のようです)
c 誤り。写真を表示する必要はない。なお、薬剤師又は登録販売者の別、氏名は掲載する必要がある。
d 正しい。

正答・・・2


問96
次の成分(その水和物及び塩類を含む)を有効成分として含有する製剤のうち、濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品(平成26年厚生労働省告示第252号)の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a ノスカピン
b エフェドリン
c カルボシステイン
d ジフェンヒドラミン

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


厚生労働大臣が指定する濫用の恐れがある医薬品に関する問題。これはサービス問題でしょう。

濫用のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品は以下のとおり(その水和物及びそれらの塩類を有効成分として含有する製剤も含む)。

・エフェドリン
コデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
ブロモバレリル尿素
プソイドエフェドリン
メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る。)

他に試験対策として、確認事項「(購入者が)若年者である場合にあっては、当該者の氏名及び年齢」もしっかり憶えておきたい。

a 誤り。ノスカピンは非麻薬性鎮咳成分
b 正しい。
c 誤り。カルボシステインは去痰成分。
d 誤り。ジフェンヒドラミン塩酸塩は抗ヒスタミン成分。

正答・・・3


問97
医薬品の広告に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 医薬品等の販売広告に関しては、法による保健衛生上の観点からの規制のほか、不当な表示による顧客の誘引の防止等を図るため、「不当景品類及び不当表示防止法」や「特定商取引に関する法律」の規制もなされている。

b 法令等において、一般人が認知できる状態であり、顧客を誘引する意図が明確であれば、特定の医薬品の商品名が明らかにされていなくても医薬品の広告に該当するものと判断されている。

c 法第66条の規定による誇大広告等の禁止及び第68条の規定による承認前の医薬品等の広告の禁止は、広告等の依頼主だけではなく、その広告等に関与するすべての人が対象となる。

d 店舗販売業において、販売促進のため用いられるポスターなどのPOP広告(Point of Purchase:購買時点広告)は、一般用医薬品の販売広告に含まれない。

  a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 正 正 誤 正


医薬品の広告に関する問題
医薬品の広告に該当するか否かについては、①顧客を誘引する意図が明確であること、②特定の医薬品の商品名(販売名)が明らかにされていること、③一般人が認知できる状態であることの要件を満たす場合に、①②③いずれの要件も満たす場合(×いずれかの)には、広告に該当するものと判断されている。
(出題は「いずれの要件」とわかりづらい表現ですが、①②③すべてを満たして「医薬品の広告」と判断されるということ)

a 正しい。
b 誤り。上記説明の通り、医薬品の広告には該当しない。
c 正しい。
d 誤り。POP広告も一般用医薬品の販売広告に含まれる。

正答・・・2


問98
医薬品等適正広告基準に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 医薬品の効能効果又は安全性について、使用前・使用後を示した図面・写真等を掲げて、確実であることを保証する広告をすることができる。

b 一般用医薬品について、糖尿病の自己治療が可能であるかのような広告表現は認められない。

c 漢方処方製剤の広告を作成する場合、配合されている個々の生薬の作用を個別に挙げて説明しなければならない。

d 医薬品において、「天然成分を使用しているので副作用がない」といった事実に反する広告表現は、過度の消費や乱用を助長するおそれがあるだけでなく、虚偽誇大な広告にも該当する。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


医薬品等適正広告基準に関する問題。

a 誤り。いわゆるビフォー・アフターのような写真等による表現は不適当(実際にはグレーな広告もあるが・・)
b 正しい。
c 誤り。漢方処方製剤の効能・効果は、個々の生薬成分が相互に作用しているため、構成生薬の作用を個別に挙げて説明することは不適当。(実際にはグレーで広告も見かける)
d 正しい。

正答・・・3


問99
医薬品の販売方法に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 店舗販売業において、許可を受けた店舗以外の場所に医薬品を貯蔵又は陳列し、そこを拠点として販売等に供するようなことは認められていない。

b 在庫処分等の販売側の都合で、異なる複数の医薬品をあらかじめ組み合わせて販売してもよいとされている。

c 組み合わせ販売をする場合、組み合わせた個々の医薬品の外箱等に記載された法に基づく記載事項は、組み合わせ販売のため使用される容器の外から明瞭に見えるようになっている必要がある。

d 配置販売業において、医薬品を先用後利によらず現金売りを行うことは、配置による販売行為に当たらないため、法の規定に違反する。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


医薬品の販売方法に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。販売側の都合による抱き合わせ、在庫処分等の目的で組み合わせを行うことは、厳に認められない。
c 正しい。
d 正しい。関連記事:配置販売業(いわゆる置き薬)

正答・・・5


問100
薬局開設者又は医薬品の販売業者に対する、行政庁の法に基づく監視指導及び処分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、薬事監視員に無承認無許可医薬品、不良医薬品又は不正表示医薬品等の疑いのある物品を、試験のため必要な最少分量に限り、収去させることができる。

b 都道府県知事は、配置販売業者に対して、その構造設備が基準に適合せず、その構造設備によって不良医薬品を生じるおそれがある場合においては、その構造設備の改善を命ずることができる。

c 登録販売者は、薬事監視員の質問に対して正当な理由なく答弁しなかったり、虚偽の答弁を行った場合でも、法に基づく罰則を科せられることはない。

d 厚生労働大臣は、医薬品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、医薬品の販売又は授与を一時停止することその他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための応急措置を採るべきことを命ずることができる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正


薬局・店舗販売業者に対する行政庁の監視指導及び処分に関する問題。
これは難しい。
bの判断は間違ってもしょうがないでしょう。また、dもこれまで殆ど問われたことがなく難易度が高い。

a 正しい。薬事監視員に無承認無許可医薬品、不良医薬品又は不正表示医薬品等の疑いのある物品を、試験のため必要な最少分量に限り、収去(持ち帰り)させることはできる。一方で、帳簿書類は「検査」することはできるが、収去まで定められていないことも押さえておく。
b 誤り。構造設備の改善命令の対象は、薬局開設者又は医薬品の販売業者(配置販売業者を除く)であり、配置販売業は対象外
c 誤り。罰則があり「五十万円以下の罰金」とされている。
d 正しい。行政処分に関しては、改善命令や業務停止命令など「都道府県知事」が命令するものが多く、釣られて「誤り」とした受験生も多かったでしょう。
これはいわゆる「緊急命令」に関する内容であり、命令するのは(都道府県知事ではなく)「厚生労働大臣」で正しい。

正答・・・4

(Visited 1,236 times, 1 visits today)

Follow me!