R4 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第5章 医薬品の適正使用・安全対策(問111-120)

問112(浣腸・相談すること)は難しい。

問111
次の医薬品成分と、一般用医薬品の添付文書等において、「相談すること」の項目中に、「次の症状がある人」として記載することとされている症状の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。

医薬品成分 症状
a ビサコジル ―――――――――――― けいれん
b ロートエキス ――――――――――― 排尿困難
c ジフェニドール塩酸塩 ――――――― むくみ
d ロペラミド塩酸塩 ――――――――― 急性のはげしい下痢又は腹痛・腹部膨満感・吐きけ等の症状を伴う下痢

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


一般用医薬品の添付文書「相談すること」の「次の診断を受けた人」に関する問題。

a 誤り。ビサコジル(瀉下薬)に、そのような記載はない。なお、手引きで「けんれん」の症状がある人が「相談すること」と記載されているのは、ピペラジンリン酸塩(駆虫薬)を含む成分だが、余裕がなければ憶えなくて良いでしょう。
b 正しい。抗コリン成分のロートエキスは、排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり、尿の貯留を来すおそれがあるためである。
c 誤り。抗めまい成分のジフェニドール塩酸塩は、「排尿困難」の症状がある人は「相談すること」とされている。
d 正しい。ロペラミド塩酸塩は止瀉薬(下痢止め)であり、正しい記述である。

正解・・・2


問112
次の基礎疾患等のうち、グリセリンが配合された浣腸薬の添付文書等において、「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として記載することとされているものの正誤について、正しい組合せはどれか。

a 貧血
b 心臓病
c 腎臓病
d 糖尿病

  a b c d
1 正 正 正 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正


グリセリンが配合された浣腸薬の使用上の注意に関する問題。
これは難しい。貧血を選んでしまった受験生が多いかもしれません。

a 誤り。
b 正しい。排便直後に、急激な血圧低下等が現れることがあり、心臓病を悪化させるおそれがあるためである。
c 誤り。
d 誤り。
↓グリセリン浣腸液の使用上の注意


正解・・・4


問113
次の一般用医薬品の漢方処方製剤のうち、その添付文書等において、「相談すること」の項目中の「次の医薬品を使用(服用)している人」に「インターフェロン製剤で治療を受けている人」と記載することとされているものはどれか。

1 小青竜湯
2 防風通聖散
3 八味地黄丸
4 芍薬甘草湯
5 小柴胡湯


これは第5章では超頻出なので、サービス問題でしょう。
小柴胡湯については、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける必要がある。問115の小柴胡湯による間質性肺炎に関する緊急安全性情報(平成8年3月)も合わせて学習を。

正解・・・5


問114
一般用医薬品の製品表示の記載に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 1回服用量中0.1mLを超えるアルコールを含有する内服液剤(滋養強壮を目的とするもの)については、アルコールを含有する旨及びその分量が記載されている。

b 「保管及び取扱い上の注意」の項のうち、医薬品の保管に関する事項については、購入者が製品を開封して添付文書に目を通すことが重要であるため、その容器や包装には記載されていない。

c 適切な保存条件の下で製造後2年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品には、使用期限の法的な表示義務はない。

d エアゾール製品には、医薬品医療機器等法の規定による法定表示事項のほか、高圧ガス保安法に基づく「高温に注意」等の注意事項が表示されている。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 誤


一般用医薬品の製品表示の記載に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。購入者によっては、購入後すぐ開封せずにそのまま保管する場合や持ち歩く場合があるため、添付文書を見なくても適切な保管がなされるよう、その容器や包装にも、保管に関する注意事項が記載されている。
c 誤り。×2年⇒〇3年
初学者は意外に感じるでしょうが、使用期限については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品において法的な表示義務はない。確かに一昔前の漢方薬など、実際に使用期限の書かれていない製品が存在していた。
さらに手引きには「(表示義務はなくても)流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常となっている。」とも書かれている。
流通管理はもちろんのこと、今の時代に使用期限の書いていないような商品は消費者が敬遠するので、実際には使用期限の記載のない製品は殆どない。
d 正しい。

正解・・・2


問115
医薬品等の緊急安全性情報に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 厚生労働省からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成される。

b 独立行政法人医薬品医療機器総合機構による医薬品医療機器情報配信サービスによる配信、製造販売業者から医療機関や薬局等への直接配布、ダイレクトメール、ファックス、電子メール等による情報提供(1ヶ月以内)等により情報伝達されるものである。

c ブルーレターとも呼ばれる。

d 医療用医薬品や医家向け医療機器についての情報伝達であり、一般用医薬品に関する緊急安全性情報が発出されたことはない。

  a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 誤 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 誤 正 正 誤
5 正 正 誤 誤


緊急安全性情報(イエローレター)に関する出題だが、安全性速報(ブルーレター)との違いはしっかり区別できるようにセット学習を。

a 正しい。緊急安全性情報安全性速報ともに、厚生労働省からの命令、指示製造販売業者の自主決定等に基づいて作成される。
b 正しい。
c 誤り。これは安全性速報に関する内容。緊急安全性速報は、A4サイズの黄色地の印刷物で、イエローレターとも呼ばれる。
d 誤り。これは頻出。小柴胡湯による間質性肺炎に関する緊急安全性情報(平成8年3月)のように、一般用医薬品にも関係する緊急安全性情報が発出されたこともある。

正解・・・5


問116
医薬品の副作用情報等の収集、評価及び措置に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度は、都道府県が全ての医薬関係者から副作用報告を受ける「医薬品副作用モニター制度」としてスタートした。

b 既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合された医薬品については、5年を超えない範囲で厚生労働大臣が承認時に定める一定期間、再審査制度が適用される。

c 製造販売業者には、医療用医薬品で使用されていた有効成分を要指導医薬品で初めて配合したものについては、承認後一律で5年間、安全性に関する調査及び調査結果の厚生労働省への報告が求められている。

d 収集された副作用等の情報は、その医薬品の製造販売業者等において評価・検討され、必要な安全対策が図られる。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 誤 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 正 誤 正 誤


医薬品の副作用情報等の収集、評価及び措置に関する問題。

a 誤り。医薬品・医療機器等安全性情報報告制度は、1967年3月より、約3000の医療機関をモニター施設に指定して、厚生省(当時)が直接副作用報告を受ける「医薬品副作用モニター制度」としてスタートした。
b 誤り。×5年⇒〇10年。前年も同じ内容が問われています。
医薬品の再審査制度に関する問題だが、既存の医薬品と明らかに異なる有効成分(いわゆるダイレクトOTC)が配合されたものについては、10年を超えない範囲で厚生労働大臣が承認時に定める一定期間(概ね8年)承認後の使用成績等を製造販売業者等が集積し、厚生労働省へ提出する制度再審査制度が適用される。
↑具体的な製品(ダイレクトOTC)としては発毛剤のリアップ🄬(ミノキシジル)をイメージしてもらえればOKです。
c 誤り。×承認後一律で5年間⇒承認後の一定期間(概ね3年) 前前年も同じ内容が問われています。
医療用医薬品で使用されていた有効成分を要指導医薬品・一般用医薬品で初めて配合したもの(いわゆるスイッチOTC)については、承認条件として承認後の一定期間(概ね3年)、安全性に関する調査及び調査結果の報告が求められている。
↑最近のものだと、花粉症向けのアレグラFX(フェキソフェナジン)やロキソニンS(ロキソプロフェン)をイメージしてもらればOKです。

d 正しい。

正解・・・3


問117
医薬品医療機器等法第68条の10第1項の規定に基づき、医薬品の製造販売業者が、その製造販売した医薬品について行う副作用等の報告において、15日以内に厚生労働大臣に報告することとされている事項に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、使用上の注意から予測できるもので、死亡に至った国内事例

b 医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、使用上の注意から予測できないもので、非重篤な国内事例

c 医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、発生傾向の変化が保健衛生上の危害の発生又は拡大のおそれを示すもので、重篤(死亡含む)な国内事例

d 医薬品によるものと疑われる感染症症例のうち、使用上の注意から予測できないもので、非重篤な国内事例

  a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 誤


企業からの副作用症例・感染症症例の報告に関する問題。

ポイントとしては、重篤性予測性から、報告期限は「15日以内」「30日以内」「定期報告」があることは押さえておく。試験対策の第一歩として、とりあえず「死亡」例は「15日以内」と憶えてしまって良いでしょう。

a 正しい。15日以内
b 誤り。定期報告でよい。
c 正しい。15日以内
d 正しい。15日以内

正解・・・1


問118
医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定に基づき、医薬関係者に義務付けられている医薬品の副作用等の報告に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品との因果関係が必ずしも明確でない場合であっても、報告の対象となり得る。

b 安全対策上必要があると認めるときは、医薬品の過量使用や誤用等によるものと思われる健康被害についても、報告がなされる必要がある。

c 保健衛生上の危害の発生又は拡大防止の観点から、報告の必要性を認めた日から起算して、15日以内に報告しなければならない。

d ウェブサイトに直接入力することによる電子的な報告が可能である。

  a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 正 正
5 正 正 誤 正


毎年出題されている医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に関する問題。
なお、この制度による報告は、登録販売者を含む医療関係者にとって「義務」である。(但し、実際にはあまり報告されていないが・・)


a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。報告期限は特に定められていない。ただし、報告の必要性を認めた場合においては、適宜速やかに、郵送、ファクシミリ又は電子メールにより、報告書を総合機構に送付することとされている。
d 正しい。なお、ウェブサイトからの入力については、令和4年改訂で追加された。



正解・・・5


問119
医薬品副作用被害救済制度に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医療機関での治療を要さずに寛解したような軽度のものについても救済給付の対象となる。

b 一般用医薬品のうち殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く。)、一般用検査薬、一部の日本薬局方収載医薬品(精製水、ワセリン等)は、救済制度の対象とならない。

c 個人輸入により入手された医薬品による重篤な健康被害は、救済制度の対象となる。

  a b c
1 正 誤 正
2 正 誤 誤
3 誤 正 正
4 誤 正 誤
5 誤 誤 正


医薬品副作用被害救済制度に関する問題。前年同様、給付の種類は今回も問われませんでした。

a 誤り。救済給付の対象となる健康被害の程度としては、入院を必要とする程度の医療(やむをえず自宅療養を行った場合も含まれる。)を受ける場合や、副作用による重い後遺障害が残った場合であり、特に医療機関での治療を要さずに寛解したような軽度のものは給付対象に含まれない。 
b 正しい。
c 誤り。無承認無許可医薬品(いわゆる健康食品や、個人輸入医薬品を含む。)の使用による健康被害は対象外。
PMDAチャンネル↓

正解・・・4


問120
医薬品PLセンターに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品副作用被害救済制度の対象とならないケースのうち、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合には、「医薬品PLセンター」への相談が推奨される。

b 医薬品、医薬部外品及び医療機器に関する苦情の相談を受け付けている。

c 消費者の代理人として、裁判を迅速に終了させることを目的としている。

  a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 正 誤
5 誤 誤 正


医薬品PLセンターに関する問題も毎年出題されている。
医薬品PLセンターは医薬品又は医薬部外品に関する苦情を受け付けているが、医療機器化粧品は対象外である点は頻出。

a 正しい。
b 誤り。医薬品又は医薬部外品に関する苦情を受け付けているが、医療機器化粧品は対象外(前年も同様な出題あり)
c 誤り。「消費者の代理人」が不適切。消費者が、製造販売元の企業と交渉するに当たって、公平・中立な立場で申立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行い、裁判によらずに迅速な解決に導くことを目的としている。

正解・・・3

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