R5 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第5章 医薬品の適正使用・安全対策(問101-110)
次の症状がある人・相談すること(問106)は捨てても良い
問101
一般用医薬品(人体に直接使用しない検査薬を除く。)の添付文書に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 重要な内容が変更された場合には、改訂年月を記載するとともに改訂された箇所を明示することとされている。
b 紙の添付文書の同梱は廃止され、注意事項等情報は電子的な方法により提供されることとなった。
c 添付文書に記載されている適正使用情報は、医薬品の販売等に従事する専門家が正確に理解できるよう、専門的な表現となっている。
d 製造販売業者の名称及び所在地が記載されているが、販売を他社に委託している場合には、販売を請け負っている販社等の名称及び所在地も併せて記載されることがある。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 正 誤 正
一般用医薬品の添付文書等に関する問題。
dの医療用医薬品の添付文書の電子的方法による提供は令和4年度改訂点から出題で、前年も出題されています。
a 正
b 誤 これは一般用医薬品ではなく医療用医薬品に関する記述。
令和3年8月1日から、医療用医薬品への紙の添付文書の同梱を廃止し、注意事項等情報は電子的な方法により提供されることとなった。一方で、一般用医薬品等の消費者が直接購入する製品は、使用時に添付文書情報の内容を直ちに確認できる状態を確保する必要があるため、引き続き紙の添付文書が同梱されている。
c 誤 適正使用情報は、一般の生活者に理解しやすい平易な表現でなされている。
d 正
正解・・・2
問102
一般用医薬品の製品表示の記載に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 添加物として配合されている成分の記載については、外箱等は記載スペースが限られることから、アレルギーの原因となり得ることが知られているもの等、安全対策上重要なものを記載し、「(これら以外の)添加物成分は、添付文書をご覧ください」としている場合がある。
b 外箱には医薬品医療機器等法の規定による法定表示事項のみが記載され、他の法令に基づく製品表示がなされることはない。
c 専門家への相談勧奨に関する事項については、記載スペースが狭小な場合には、「使用が適さない場合があるので、使用前には必ず医師、歯科医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」等と記載されている。
d 使用期限の表示については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品において法的な表示義務はない。
a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 正 正
一般用医薬品の製品表示の記載に関する問題
a 正
b 誤 外箱には、医薬品医療機器等法の規定による法定表示のほか、他の法令に基づく製品表示がなされていることがある。
例えば、消毒用アルコール等、危険物に該当する製品の消防法に基づく注意事項や、エアゾール製品に対する高圧ガス保安法に基づく注意事項等は、法律上その容器への表示が義務づけられている。(添付文書にも「保管及び取り扱い上の注意」としても記載される。)
c 正
d 正 初学者は意外に感じるでしょうが、使用期限については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品において法的な表示義務はない。(確かに一昔前の漢方薬など、実際に使用期限の書かれていない製品が存在していた。)
さらに手引きには「(表示義務はなくても)流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常となっている。」とも書かれており、実際に表示がない製品は稀で、外箱等に記載されるのが通常です。
正解・・・5
問103
次の医薬品成分等を含有する内服用の胃腸薬である一般用医薬品の添付文書等において、長期間服用した場合に、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を発症したとの報告があるため、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に「透析療法を受けている人」と記載することとされている成分として、正しいものの組合せはどれか。
a アルジオキサ
b 次没食子酸ビスマス
c スクラルファート
d アカメガシワ
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題。これは第5章超頻出でサービス問題です。(令和2年、3年も同様な出題あり)
まず、添付文書の「使用上の注意」の中で「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」があることは区別できるように(標識マークも問われることがある)
第5章で「してはいけないこと」「透析療法を受けている人」のときたら、アルミニウムを含む胃腸薬・胃腸鎮痙薬をさがせばよい(長期間服用した場合に、アルミニウム脳症、アルミニウム骨症の恐れがあるため)。
頻出は胃腸薬のスクラルファート、そしてアルジオキサ。他に、合成ヒドロタルサイト、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム(アルミン~からアルミニウムが含有)、ケイ酸アルミニウムなども該当する。
↓スクラルファートを配合した胃腸薬
正解・・・2
問104
次の医薬品成分のうち、一般用医薬品の添付文書等において、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に「本剤又は本剤の成分、牛乳によるアレルギー症状を起こしたことがある人」と記載することとされている成分はどれか。
1 硫酸ナトリウム
2 リドカイン
3 ジプロフィリン
4 タンニン酸アルブミン
5 セトラキサート塩酸塩
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題。これも第5章超頻出のサービス問題です。
この試験で、牛乳アレルギーときたら、タンニン酸アルブミンをすぐに思いつくように。(理由:タンニン酸アルブミンは、乳製カゼインを由来としているため)
さらに、近年は添加物扱いのカゼイン、カゼインナトリウム等も出題されることがあるので注意。(令和2年に出題あり)
正解・・・4
問105
一般用医薬品の添付文書等の「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」と記載することとされている医薬品成分等と基礎疾患等の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。
医薬品成分等 基礎疾患等
a サントニン ―――――――――― 甲状腺機能亢進症
b エテンザミド ――――――――― 肝臓病
c メチルエフェドリン塩酸塩 ――― 心臓病
d マオウ ―――――――――――― 貧血
a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 誤 誤
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題。これは幅広い知識が求められ迷う。
a 誤 駆虫薬のサントニンは主に肝臓で代謝されるが、肝臓病の診断を受けた人では、肝機能障害を悪化させるおそれがあるため、「相談すること」とされている。
b 正 サリチル酸系解熱鎮痛成分のエテンザミドは、肝臓病の診断を受けた人では、肝機能障害を悪化させるおそれがあるため、「相談すること」とされている。他に、「胃・十二指腸潰瘍」についても「相談すること」とされている。
c 正 アドレナリン作動成分のメチルエフェドリン塩酸塩は、心臓病の診断を受けた人では、心臓に負担をかけ、心臓病を悪化させるおそれがあるため、 「相談すること」とされている。
d 誤 アドナリン作動成分やマオウ(麻黄)については、交感神経系への刺激作用によって、心臓血管系や、肝臓でのエネルギー代謝等にも影響が生じることが考えられる。心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがあり、「相談すること」とされている。(但し、プソイドエフェドリン塩酸塩は(より厳しい)「してはいけないこと」なので注意)
正解・・・3
問106
一般用医薬品の添付文書等の「相談すること」の項目中に「次の症状がある人」と記載することとされている医薬品成分等と症状の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。
医薬品成分等 症状
a ロペラミド塩酸塩 ――――――― けいれん
b ジフェニドール塩酸塩 ――――― むくみ
c イソプロパミドヨウ化物 ―――― 吐き気・嘔吐
d 小児五疳薬 ―――――――――― はげしい下痢
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題で、「相談すること」において「次の症状がある人」の項目からの出題である。
かなりの難問であり、直前期であれば捨て問と捉えて良い。特にa、cについてはピンとこない受験生も多いと思われ、余裕が無ければスルーして良いでしょう。
まず、 「小児五疳薬」という言葉が出題されることは珍しい。
小児五疳薬は、手引きには明確に定義は記載されていませんが、ほぼ小児鎮静薬と同義で捉えても差支えないでしょう。
いわゆる小児の「疳の虫」や「夜泣き」「ひきつけ」等に適応を持つ生薬製剤で、身体や神経の成長が未発達な乳幼児において、臓器の働きを高めたり、五臓のバランスを整えることで薬効を表すと言われています。
また、小児鎮静薬(小児五疳薬)では、ほかにも、小児における虚弱体質、消化不良などの改善も適応に含まれています。(現代では、そのような目的で購入する保護者は大分少なくなりましたが、昔祖父母などに飲まされた人はいるかもしません)
具体的製品としては「六神丸」「宇津救命丸」「樋屋奇応丸」などが該当します。
a 誤 けいれんを起こしたことがある人では、発作を誘発する可能性があるため、駆虫薬のピペラジンを含む成分については「相談すること」と記載されている。
また、発熱している小児、けいれんを起こしたことがある小児 については、けいれんを誘発するおそれがあるため、気管支拡張成分のテオフィリン、アミノフィリン水和物の服用については「相談すること」と記載されている。
b 誤 むくみのある人は、偽アルドステロン症の発症のおそれが特にあるため、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、カンゾウ等のグリチルリチン酸を含む成分については「相談すること」とされている。
c 誤 吐き気・嘔吐のある人では、急性腹症の可能性があり、瀉下薬や浣腸薬の配合成分の刺激によって、その症状を悪化させるおそれがあるため、瀉下薬(ヒマシ油、マルツエキスは除く)や浣腸薬、ビサコジルを主薬とする坐薬の使用については「相談すること」とされている。
d 正 はげしい下痢のある人では、大腸炎等の可能性があるため、(虚弱体質や消化不良にも適応をもつ)小児五疳薬の服用については「相談すること」と記載されている。
正解・・・5
問107
次の医薬品成分等のうち、一般用医薬品の添付文書等において、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に「妊婦又は妊娠していると思われる人」と記載することとされているものの正誤について、正しい組合せはどれか。
a デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
b ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする催眠鎮静薬(睡眠改善薬)
c カゼイン
d オキセサゼイン
a b c d
1 誤 正 誤 正
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 正 正
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 正
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題。
まず、「相談すること」ではなく、(より厳しい)「してはいけないこと」に記載されていることを理解しておく必要がある。
第5章別表より、当試験で「してはないけないこと(使用しないこと)」に「妊婦又は妊娠していると思われる人」と記載される成分については、ヒマシ油、エチニルエストラジオール・エストラジオール、ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする催眠鎮静薬、オキセサゼインの4つがある。
a 誤 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は非麻薬性鎮咳成分
b 正
c 誤 なお、カゼインは牛乳タンパクの主成分であり、牛乳アレルギーのアレルゲンとなる可能性があるため、牛乳アレルギーの人は使用を避ける。
d 正 オキセサゼインは局所麻酔成分で、胃薬の分野で登場します。
正解・・・1
問108
内服用の一般用医薬品の添付文書等の「してはいけないこと」の項目中に「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」と記載することとされている成分として、正しいものの組合せはどれか。
a ピレンゼピン塩酸塩水和物
b テオフィリン
c スコポラミン臭化水素酸塩水和物
d ウルソデオキシコール酸
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題。
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」から、眠気が出る恐れがある鎮静成分や、抗コリン成分、抗コリン作用も示す抗ヒスタミン成分、ジヒドロコデインリン酸塩などの麻薬性鎮咳成分などを選べばよい。
a 正 ピレンゼピン塩酸塩は胃液分泌抑制成分で、消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑える作用を示すとされるが、消化管以外では一般的な抗コリン作用のため、目のかすみや、異常なまぶしさ等の副作用を生じることがある。
b 誤 なお、テオフィリンは第5章別表のみに登場し、キサンチン系成分である(気管支を拡張させる成分で、主に咳症状に用いられる)。第5章では時折出題される。
c 正 スコポラミン臭化水素酸塩水和物は乗物酔い防止薬として使用される抗コリン成分で、眠気、目のかすみ、異常なまぶしさ等を生じることがある。
d 誤
正解・・・2
問109
次の一般用医薬品の漢方製剤のうち、その添付文書等において、うっ血性心不全、心室頻拍の副作用が現れることがあるため、「してはいけないこと」の項目中に「症状があるときのみの服用にとどめ、連用しないこと」と記載することとされているものはどれか。
1 防風通聖散
2 響声破笛丸
3 柴胡桂枝湯
4 芍薬甘草湯
5 麻子仁丸
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題で、「してはいけないこと」の「連用の注意」の項目からの出題である。
この漢方処方製剤の中で、うっ血性心不全、心室頻拍の副作用が現れることがあるため、「連用しないこと」とされているのは芍薬甘草湯である。
これは、芍薬甘草湯が、他の漢方に比べて多くのカンゾウ(甘草)を含んでおり、むくみや偽アルドステロン症を生じるリスクが高く、心臓に負担がかかる恐れがあることから結びつけると良い。
なお、芍薬甘草湯は、「してはいけないこと」の「次の診断を受けた人」の項目で「心臓病」と記載されている。
正解・・・4
問110
一般用医薬品の添付文書の「してはいけないこと」の項目中に「次の部位には使用しないこと」と記載することとされている薬効群等とその理由に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 殺菌消毒薬(液体絆創膏)は、湿潤した患部に用いると、分泌液が貯留して症状を悪化させることがあるため、ただれ、化膿している患部には使用しない。
b うおのめ・いぼ・たこ用薬は、角質溶解作用の強い薬剤であり、誤って目に入ると障害を与える危険性があるため、目の周囲には使用しない。
c 外用鎮痒消炎薬(エアゾール剤に限る)は、特定の局所に使用することが一般に困難であり、目などに薬剤が入るおそれがあるため、目の周囲、粘膜等には使用しない。
d みずむし・たむし用薬は、皮膚刺激成分により、強い刺激や痛みを生じるおそれがあるため、目や目の周囲、粘膜(例えば、口腔、鼻腔、膣等)には使用しない。
a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 正
添付文書等における「使用上の注意」に関する問題で、「してはいけないこと」の「次の部位には使用しないこと」の項目からの出題である。これは常識的に読み取るだけでも判断できるでしょう。
a 正
b 正
c 正
d 正
正解・・・1