R5 関西広域連合 第5章 医薬品の適正使用と安全対策(問111-120)
問111
医薬品副作用被害救済制度の給付に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 遺族年金の給付は、請求期限がない。
b 葬祭料の給付は、請求期限がない。
c 医療手当の給付の請求期限は、請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内である。
d 障害年金は、医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償等を目的として給付されるものである。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤
医薬品副作用被害救済制度に関する問題。
給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料があるが、全て細かく憶えようとすると結構大変である。
出題ポイントとしては、給付の請求の期限、定額がどうかが問われる事が多い。
詳細に憶える時間がなければ、最低限以下のポイントは押さえておきたい。
請求の期限なし・・・障害年金、障害時養育年金
請求の期限・・・(〇〇から)5年以内
給付額が定額ではない・・・医療費
なお、障害年金は18歳以上の障害が残った人に支払われるもの、障害児養育年金は、18歳未満の障害の残った方を養育する人に支払われるものである。
また、請求の期限は、様々な例外条件も書かれているが、とりあえず「5年以内」で最低限憶えておく。
a 誤 遺族年金の給付は、死亡のときから5年以内であり、遺族年金を受けることができる先順位者が死亡した場合には、その死亡
のときから2年以内である。
b 誤 遺族年金と同じ条件です。
c 正
d 正
PMDAチャンネル↓
正解・・・4
問112
医薬品等を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって一定程度以上の健康被害が生じた場合に、医薬品副作用被害救済制度の対象となるものの正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 一般用医薬品の胃腸薬
b いわゆる健康食品として販売されたもの
c 一般用医薬品の殺菌消毒剤(人体に直接使用するもの)
d ワセリン(日本薬局方収載医薬品)
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正
医薬品副作用被害救済制度の対象となる医薬品関する問題。
救済制度の対象外医薬品が定められており、要指導医薬品・一般用医薬品では、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)が該当する。
なお、cの人体に直接使用する一般用医薬品の殺菌消毒剤の例としては、殺虫成分のフェノトリンがあり、シラミの駆除を目的した製品(シャンプー)にも使用され、殺虫成分でも人体に直接適用されるものです。
a 正
b 誤 健康食品は対象外である。
c 正 殺虫剤でも、人体に直接使用するもの(例:シラミ駆除のフェノトリンなど)は対象となる。
d 誤 ワセリンや精製水等は対象外である。
正解・・・2
問113
一般用医薬品の安全対策に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a アンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用(ショック)で死亡例が発生したことから、1965年に厚生省(当時)は関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収を要請した。
b 塩酸フェニルプロパノールアミンが配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告されたことから、厚生労働省は、代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩等への速やかな切替えを指示した。
c 慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎を発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、1996年に厚生省(当時)は関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布を指示した。
d 一般用かぜ薬の使用によると疑われる肝機能障害の発生事例が報告されたことを受けて、2003年に厚生労働省は一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示した。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
一般用医薬品の安全対策に関する問題
a 正 アンプル剤は他の剤形に比べて吸収が速く、血中濃度が急速に高値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認され、1965年、厚生省(当時)より関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収が要請された。
b 正
c 正 1994年1月、インターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨の使用上の注意の改訂がなされた。しかし、それ以降も慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎が発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、1996年3月、厚生省(当時)より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指示された。
d 誤 「肝機能障害」ではなく「間質性肺炎」の発生事例の報告である。
正解・・・1
問114
次の表は、ある一般用医薬品の解熱鎮痛薬に含まれている成分の一覧である。
2錠中:
成分 分量
イブプロフェン 144 mg
エテンザミド 84 mg
ブロモバレリル尿素 200 mg
無水カフェイン 50 mg
この解熱鎮痛薬の添付文書等の「相談すること」の項目中において、「次の診断を受けた人」と記載されている基礎疾患の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 緑内障
b 腎臓病
c てんかん
d 肝臓病
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正
「相談すること」の項目中において、「次の診断を受けた人」と記載されている基礎疾患に関する問題
なお、実在する製品(ナロンエースT)と同じ成分量となっている。
a 誤 抗コリン成分は含まれておらず、緑内障については記載されていない。
b 正
c 誤 てんかんについては記載されていない。なお、「てんかん」について記載されているのは、ジプロフィリンである。(この試験で「てんかん」が登場したら、ジプロフィンについて問われていると思って良い)
d 正
正解・・・4
問115
次硝酸ビスマスが配合された内服用の一般用医薬品の添付文書等において、「相談すること」の項目中に「胃・十二指腸潰瘍の診断を受けた人」と記載される主な理由について、最も適切なものを一つ選べ。
1 下痢症状の副作用が発現するおそれがあるため。
2 ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の無機塩類の排泄が遅れることで、副作用が発現するおそれがあるため。
3 本剤の吸収が高まり、血中に移行する量が多くなり、本剤による精神神経障害等が発現するおそれがあるため。
4 胃液の分泌が亢進し、胃・十二指腸潰瘍の症状を悪化させるおそれがあるため。
5 消化管粘膜の防御機能が低下し、胃・十二指腸潰瘍の症状を悪化させるおそれがあるため。
次硝酸ビスマスが配合された内服薬における、添付文書の「相談すること」の項目に関する問題
次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス等のビスマスを含む成分は、止瀉薬(下痢止め)の分野で登場する収斂成分。
頻出の「海外において長期連用した場合に精神神経症状(不安、記憶力減退、注意力低下、頭痛等)が現れたとの報告があり、1週間以上継続して使用しないこと」を知っていれば正答できたと思われる。
1 誤
2 誤
3 正
4 誤
5 誤
正解・・・3
問116
一般用医薬品の添付文書等において、生じた血栓が分解されにくくなるため、「相談すること」の項目中に「血栓のある人(脳血栓、心筋梗塞、血栓静脈炎等)、血栓症を起こすおそれのある人」と記載することとされている内服薬の成分を一つ選べ。
1 アスピリン
2 トラネキサム酸
3 アセトアミノフェン
4 タンニン酸アルブミン
5 グリチルリチン酸二カリウム
添付文書の「相談すること」の項目に関する問題
トラネキサム酸(内服)、(体内で代謝されてトラネキサム酸になる)セトラキサート塩酸塩については、血栓のある人(脳血栓、心筋梗塞、血栓静脈炎等)、血栓症を起こすおそれのある人では、生じた血栓が分解されにくくなるため「相談すること」と記載されている。
正解・・・2
問117
プソイドエフェドリン塩酸塩が配合された一般用医薬品の鼻炎用内服薬の添付文書等において、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に記載することとされている対象者の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 糖尿病の診断を受けた人
b 心臓病の診断を受けた人
c 吐き気・嘔吐の症状がある人
d 前立腺肥大による排尿困難の症状がある人
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正
プソイドエフェドリン塩酸塩は第5章で超頻出。「心臓病」「高血圧」「甲状腺機能障害」「糖尿病」の診断を受けた人の他、「前立腺肥大による排尿困難 」の症状のある人も使用しないことと記載されている。
a 正
b 正
c 誤
d 正
正解・・・5
問118
一般用医薬品の胃腸薬の添付文書等において、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を生じるおそれがあるため、「長期連用しないこと」と記載することとされている成分の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a アルジオキサ
b テプレノン
c ロートエキス
d 合成ヒドロタルサイト
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 正 誤 誤
5 正 誤 誤 正
「透析療法」や「アルミニウム脳症」ときたら、アルミニウムを含有するスクラルファート、アルジオキサ、合成ヒドロタルサイトはすぐに思いつくように
a 正
b 誤 テプレノンは胃粘膜保護・修復成分。
c 誤 ロートエキスは抗コリン成分。
d 正
正解・・・5
問119
一般用医薬品の添付文書等において、「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として記載することとされている基礎疾患等と医薬品成分・薬効群等との関係の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
基礎疾患等 / 医薬品成分・薬効群等
a 肝臓病 / アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬
b 高血圧 / スクラルファートを含む胃腸薬
c 甲状腺機能障害 / メトキシフェナミン塩酸塩を含む鎮咳去痰薬
d 腎臓病 / 酸化マグネシウムを含む瀉下薬
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正
「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として記載することとされている基礎疾患に関する問題
a 正 アセトアミノフェンやアスピリン、イブプロフェン等の解熱鎮痛成分では、肝機能障害を悪化させるおそれがあるため、記載されている。
b 誤
c 正 メトキシフェナミン塩酸塩はアドレナリン作動成分。甲状腺機能亢進症の主症状は、交感神経系の緊張等によってもたらされており、交感神経系を興奮させる成分は、症状を悪化させるおそれがあるため、記載されている。
d 正 ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の無機塩類の排泄が遅れたり、体内貯留が現れやすいため、記載されている。
正解・・・2
問120
一般用医薬品の添付文書等において、眠気、目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがあるため、「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」と記載することとされている成分等を一つ選べ。
1 スコポラミン臭化水素酸塩水和物
2 イブプロフェン
3 メチルエフェドリン塩酸塩
4 芍薬甘草湯
5 ビサコジル
「眠気、目のかすみ、異常なまぶしさ」、特に「異常なまぶしさ」は、散瞳の副作用と関連していると考え、抗コリン成分を選べばよい。
この中で、該当するのは乗物酔い防止薬に使用される抗コリン成分の、スコポラミン臭化水素酸塩水和物である。
正解・・・1