R4 関西広域連合 第3章 主な医薬品とその作用 (問41-50)

問41
次の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適切なものを一つ選べ。

体力中等度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ、ときにねあせ、頭部の発汗、口の渇きがあるものの更年期障害、血の道症、不眠症、神経症、動悸、息切れ、かぜの後期の症状、気管支炎に適すとされる。
まれに重篤な副作用として、間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている。

1 温経湯
2 当帰芍薬散
3 桂枝茯苓丸
4 四物湯
5 柴胡桂枝乾姜湯


これは難しいので、直前期であれば、ある程度割り切って学習を。
まず、文章をサラッと読んで、更年期障害、血の道症があることから、婦人向けの漢方薬であることが推測されるが、選択肢の漢方薬はどれも婦人用薬の分野で登場するものであり、これでは選択肢を絞ることが出来ない。

試験的に最も外しやすいのは桂枝茯苓丸で、婦人用薬の中でな数少ない実証向け(「比較的体力があり・・」)であることを知っていれば除外できる。(他にキーワードとして、打ち身(打撲症)下腹部痛など)

そして、婦人用薬で登場する漢方の中で、しばり表現の中に「かぜ」に関する記載があるのは、五積散と柴胡桂枝乾姜湯のみで、さらに「かぜの後期の症状、気管支炎」を記載されているのは柴胡桂枝乾姜湯となる。(ちなみに、どちらも婦人用薬としての知名度は低い)

正解・・・5


問42
車で通勤する30歳女性が、仕事中に咳がひどく、周りに迷惑がかからないように咳を鎮めたいため、次の成分の一般用医薬品の鎮咳去痰薬を購入する目的で店舗を訪れた。

60mL中:
成分 分量
ジヒドロコデインリン酸塩 30 mg
グアイフェネシン 170 mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 12 mg
無水カフェイン 62 mg

この女性に対する登録販売者の対応に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a この医薬品は12歳未満の小児には使用できないことから、本人が使用することを確認した。

b 授乳中の人は、この医薬品を服用しないか、服用する場合は授乳を避ける必要があると購入者に説明した。

c この医薬品には、鎮咳成分、去痰成分及び抗ヒスタミン成分が含まれることを説明した。

d この医薬品を服用した後は、乗物又は機械類の運転操作を避けるよう説明した。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 誤 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 正 正 誤 誤
5 正 誤 正 誤


a 正しい。麻薬性鎮咳成分のジヒドロコデインリン酸塩は12歳未満の小児は服用できない。
b 正しい。麻薬性鎮咳成分のジヒドロコデインリン酸塩は授乳中の人は服用しないか、授乳を避ける。
c 正しい。グアイフェネシンは去痰成分。クロルフェニラミンマレイン酸塩は抗ヒスタミン成分。
d 正しい。ジヒドロコデインリン酸塩やクロルフェニラミンマレイン酸塩は、眠気が出る恐れがあり、服用した後は、乗物又は機械類の運転操作を避ける。

正解・・・1


問43
一般用医薬品の鼻炎用内服薬に配合されている成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a プソイドエフェドリン塩酸塩が配合されている場合は、長期間にわたって連用した場合、薬物依存につながるおそれがある。

b 鼻腔における副交感神経の働きを抑えることで、鼻汁の分泌やくしゃみを抑えることを目的として、ベラドンナ総アルカロイドが配合されている場合がある。

c クレマスチンフマル酸塩が配合されている場合は、抗ヒスタミン作用以外にコリン作用(アセチルコリンに類似した作用)も示すため、使用には注意が必要である。

d 鼻粘膜の血管を拡張させることによって鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として、フェニレフリン塩酸塩が配合されている場合がある。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 正


a 正しい。プソイドエフェドリン塩酸塩は、濫用等の恐れのある医薬品に指定されている。
b 正しい。ベラドンナ総アルカロイドは抗コリン成分。

c 誤り。「コリン作用(アセチルコリンに類似した作用)」ではなく、「コリン作用」である。参考記事:抗ヒスタミン薬の抗コリン作用
d 誤り。「鼻粘膜の血管を拡張」ではなく、「鼻粘膜の血管を収縮」させる。フェニレフリン塩酸塩はアドレナリン作動成分。

正解・・・3


問44
一般用医薬品のアレルギー用薬及びアレルギー症状の治療に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 鼻炎用内服薬と鼻炎用点鼻薬は、同じ成分または同種の作用を有する成分が重複することもあり、医薬品の販売等に従事する専門家はそれらが併用されることのないよう注意が必要である。

b アトピー性皮膚炎が疑われる場合やその診断が確定している場合は、医師の受診を勧めることが重要である。

c 皮膚感染症による湿疹の痒み症状に対しては、アレルギー用薬を使用して症状の緩和を図るのではなく、皮膚感染症そのものへの対処を優先する必要がある。

d 医療機関での検査によりアレルゲンを厳密に特定した場合は、医師の指導の下、減感作療法が行われることがある。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。減感作療法はアレルゲンに対して徐々に体を慣らしていく治療法で、(出題されないが)スギを対象としたシダキュア®による治療などがある。

正解・・・3


問45
一般用医薬品の鼻炎用点鼻薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑えることにより、鼻アレルギー症状を緩和することを目的として、配合されている場合がある。

b クロルフェニラミンマレイン酸塩は、肥満細胞から遊離したヒスタミンとヒスタミン受容体との結合を妨げることにより、鼻アレルギー症状を緩和することを目的として、配合されている場合がある。

c テトラヒドロゾリン塩酸塩は、鼻粘膜を通っている血管を拡張させる作用を示すため、鼻粘膜症状の緩和を目的として配合されている場合がある。

d アドレナリン作動成分を含む鼻炎用点鼻薬は、長期連用は避けることとされており、3日間位使用しても症状の改善がみられない場合には、使用を中止して医療機関を受診するなどの対応が必要である。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


a 正しい。なお、クロモグリク酸ナトリウムはアレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対しては「無効」である。
b 正しい。
c 誤り。「血管を拡張」ではなく「血管を収縮」。 テトラヒドロゾリン塩酸塩はアドレナリン作動成分。
d 正しい。関連記事:ナファゾリン塩酸塩

正解・・・1


問46
眼科用薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 一般用医薬品の点眼薬には、緑内障の症状を改善できるものはない。

b 点眼薬は、結膜嚢(結膜で覆われた眼瞼の内側と眼球の間の空間)に適用するものであるが、1滴の薬液量は結膜嚢の容積の50%程度に設定されている。

c 点眼薬は無菌的に製造されるが、法の規定により必ず防腐剤が配合されている。

d 点眼後は、しばらくまばたきを繰り返して、薬液を結膜嚢内に行き渡らせるとよい。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤


a 正しい。
b 誤り。1滴の薬液の量は約50μLであるのに対して、結膜嚢の容積は30μL程度とされている。
c 誤り。点眼薬は、通常無菌的に製造されているが、1回使い切りのタイプの点眼薬など、防腐剤を含まないものも販売されている。

d 誤り。点眼後は、しばらく眼瞼(まぶた)を閉じて、薬液を結膜嚢のう内に行き渡らせる。その際、目頭を押さえると、薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防ぐことができ、効果的とされる。

正解・・・5


問47
一般用医薬品の眼科用薬に配合される成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a ネオスチグミンメチル硫酸塩は、毛様体におけるアセチルコリンの働きを抑えることで、目の調節機能を改善する効果を目的として用いられる。

b ヒスタミンの働きを抑えることにより、目の痒かゆみを和らげることを目的として、ケトチフェンフマル酸塩が配合されている場合がある。

c パンテノールは、結膜の充血を改善するのに必須なビタミン成分である。

d イプシロン-アミノカプロン酸は、目の乾きを改善する有効成分として眼科用薬に用いられる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


a 誤り。「アセチルコリンの働きを抑える」ではなく、「アセチルコリンの働きを助ける」。
ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの働きを抑える作用を示し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善する効果を目的として用いられる。 

b 正しい。ケトチフェンフマル酸塩は抗ヒスタミン成分。なお、商品名ではザジテンブランドで知られる。
c 誤り。パンテノールは、自律神経系の伝達物質の産生に重要な成分で、目の調節機能の回復を促す効果を期待して用いられる。
d 誤り。イプシロン-アミノカプロン酸は、炎症の原因となる物質の生成を抑える作用を示し、目の炎症を改善する効果を期待して用いられる。

正解・・・3 


問48
次の成分を含む鎮痛消炎貼付剤に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

100g中:
成分 分量
サリチル酸グリコール 2.0 g
トコフェロール酢酸エステル 1.0 g
メントール 1.0 g

a サリチル酸グリコールは、局所刺激により患部の血行を促し、また末梢の知覚神経に軽い麻痺を起こすことにより、鎮痛作用をもたらす。

b トコフェロール酢酸エステルは、患部局所の血行を促す目的で配合されているが、血液凝固を抑える働きもあるため、血友病などの出血性血液疾患の診断を受けた人では使用を避ける。

c メントールは、冷感刺激成分であり、患部の血行を促す効果や鎮痛・鎮痒効果を期待して配合されている。

d 本剤は、打撲や捻挫などの急性の腫れや熱感を伴う症状には適さない。
  
  a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 正 正 正 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


ハリックス55のような製品をイメージすれば良い。
↓アマゾンサイト


a 正しい。
b 誤り。「血液凝固を抑える働きもあるため、血友病などの出血性血液疾患の診断を受けた人では使用を避ける」はぺパリン類似物質に関する記述。なお、トコフェロール酢酸エステルはビタミンE。
↓ヘパリン類似物質含有製品の使用上の注意

c 正しい。
d 誤り。メントールは冷感刺激成分だが、打撲や捻挫などの急性の腫れや熱感を伴う症状に対しては、冷感刺激成分が配合された外用鎮痛薬が適すとされている。

正解・・・4


問49
外皮用薬及びその配合成分に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。

a 紫雲膏は、ひび、あかぎれ、しもやけ、うおのめ、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎に適すとされる。

b ナファゾリン塩酸塩は、創傷面に浸透して、血管を収縮させることによって創傷面からの出血を抑制する効果がある。

c サリチル酸は、皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用を示す。

d イブプロフェンの誘導体であるイブプロフェンピコノールは、吹き出物に伴う皮膚の発赤や腫れを抑えるほか、鎮痛作用も期待して配合される。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


bは手引きによると正しい記述だが、実際にそのような目的で配合されている外用薬が現在あるかは不明でした。

a 正しい。関連記事:紫雲膏

b 正しい。きり傷、擦り傷、掻き傷等の創傷面からの出血を抑えることを目的として、ナファゾリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分が配合されている場合がある。この場合、創傷面に浸透して、血管を収縮させることによる止血効果を期待して用いられる。 
c 誤り。これは「イオウ」に関する記述。サリチル酸は角質成分を溶解することにより角質軟化作用を示す。(イボコロリに使用されています)
d 誤り。イブプロフェンピコノールは イブプロフェンの誘導体であるが、外用での鎮痛作用はほとんど期待されない

正解・・・1


問50
外皮用薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 貼付剤は、同じ部位に連続して貼付すると、かぶれ等を生じやすくなる。

b スプレー剤やエアゾール剤は、できるだけ吸入しないよう、口や鼻から遠ざけ、患部の至近距離から噴霧することが望ましい。

c 一般的に、じゅくじゅくと湿潤している患部には、有効成分の浸透性が高い液剤が適している。

d 温感刺激成分が配合された外皮用薬は、貼付部位をコタツ等の保温器具で温めると強い痛みを生じやすくなるほか、いわゆる低温やけどを引き起こすおそれがある。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正


a 正しい。
b 誤り。スプレー剤・エアゾール剤 を、至近距離から噴霧したり、同じ部位に連続して噴霧すると、凍傷を起こすことがある。
c 誤り。(水虫薬などについて)一般的に、じゅくじゅくと湿潤している患部には軟膏が適すとされる(液剤だと刺激が強い)。なお、皮膚が厚く角質化している部分には、液剤が適している。
d 正しい。

正解・・・4

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