R5 関西広域連合 第3章 主な医薬品とその作用 (問41-50)

問41
貧血用薬(鉄製剤)及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12の構成成分である銅が配合されている場合がある。

b 消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つことを目的として、ビタミンCが配合されていることがある。

c 服用後、便が黒くなる場合には、重大な副作用の可能性があるため直ちに服用を中止する。

d 貧血の症状がみられる以前から予防的に使用することが適当である。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


貧血用薬(鉄製剤)及びその配合成分に関する問題

a 誤 「銅」ではなく、「コバルト」に関する記述である。
b 正
c 誤 鉄製剤を服用すると便が黒くなることがある。これは使用の中止を要する副作用等の異常ではないが、鉄製剤の服用前から便が黒い場合は貧血の原因として消化管内で出血している場合もあるため、服用前の便の状況との対比が必要である。 
d 誤 貧血の症状がみられる以前から予防的に貧血用薬(鉄製剤)を使用することは適当でない

正解・・・3


問42
次の成分を含む一般用医薬品の外用痔疾用薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

坐剤1個(1.75g)中:
成分 分量
リドカイン 60 mg
グリチルレチン酸 30 mg
アラントイン 20 mg
トコフェロール酢酸エステル 50 mg

a リドカインは、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。

b グリチルレチン酸は、比較的緩和な抗炎症作用を示す成分である。

c アラントインは、痛みや痒みを和らげることを目的として配合される局所麻酔成分である。

d トコフェロール酢酸エステルは、出血を抑えることを目的として配合される止血成分である。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 正 正


一般用医薬品の外用痔疾用薬に関する問題

a 正 リドカインは局所麻酔成分。ボラギノールAにも配合されている。リドカインのアナフィラキシーに関する内容は頻出です。

b 正 あまり出題されている内容ではないが、正しい記述である。関連記事:グリチルレチン酸
c 誤 アラントインは組織修復成分である。
d 誤 ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)は、肛門周囲の末梢血管の血行を改善する作用を期待して用いられる。

正解・・・1


問43
婦人薬として用いられる漢方処方製剤のうち、カンゾウを含むものの組合せを一つ選べ。

a 当帰芍薬散
b 加味逍遙散
c 桂枝茯苓丸
d 桃核承気湯

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


関西広域連合ブロックでは、婦人用薬として用いられる漢方薬は頻出であるが、今回は2問出題されている。
まずは、カンゾウを含まない婦人用薬を選ぶ問題。

この中で、カンゾウ(甘草)を含まない漢方処方製剤は、当帰芍薬散桂枝茯苓丸である。

なお、桂枝茯苓丸は令和2年度にも正解として出題されている。

正解・・・4


問44
次の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適切なものを一つ選べ。

比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきびに適すとされる。

1 桂枝茯苓丸
2 温清飲
3 桃核承気湯
4 当帰芍薬散
5 四物湯


前年は五積散が出題され難問だったが、今回は、過去問で対策していれば対応は可能である。

まず、文章をサラッと読んで、更年期障害、血の道症があることから、婦人向けの漢方薬であることが推測されるが、選択肢の漢方薬はどれも婦人用薬の分野で登場するものであり、これでは選択肢を絞ることが出来ない。

次に、出題される婦人用薬の中でも特徴を掴みやすいは桂枝茯苓丸において、婦人用薬の中では数少ない実証向け(「比較的体力があり・・」)であることを知っていれば選択できる。他に特徴的なキーワードとしては、「打ち身」がある。(手引きには「打ち身(打撲症)」と記載されているが、打撲症は消されている)
なお、桂枝茯苓丸は令和2年度にも正解として出題されている。

他に、迷いやすい選択肢としては桃核承気湯(「体力中等度以上で」「打撲」「便秘」(ダイオウを含む)等がキーワード)

正解・・・1


問45
鼻炎用内服薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a メチルエフェドリン塩酸塩は、依存性がある抗コリン成分であり、長期間にわたって連用された場合、薬物依存につながるおそれがある。

b ロラタジンは、肥満細胞から遊離したヒスタミンが受容体と反応するのを妨げることにより、ヒスタミンの働きを抑える作用を示す。

c トラネキサム酸は、皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげることを目的として用いられる。

d クレマスチンフマル酸塩が配合された内服薬を服用した後は、乗物又は機械類の運転操作を避けることとされている。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


鼻炎用内服薬及びその配合成分に関する問題

a 誤 メチルエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動成分である。
b 正 ロラタジンは令和4年手引き改訂で追加された抗ヒスタミン成分である。
c 正 トラネキサム酸は抗炎症成分
d 正 クレマスチンフマル酸塩は抗ヒスタミン成分であり、眠気を生じる恐れがある。

正解・・・4


問46
鼻炎用点鼻薬の配合成分に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。

a ナファゾリン塩酸塩は、鼻粘膜を通っている血管を拡張させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげる。

b ケトチフェンフマル酸塩は、ヒスタミンの働きを抑えることにより、くしゃみや鼻汁等の症状を緩和する。

c クロモグリク酸ナトリウムは、アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対しても有効である。

d リドカイン塩酸塩は、鼻粘膜の過敏性や痛みや痒みを抑えることを目的として配合される場合がある。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


鼻炎用点鼻薬の配合成分に関する問題

a 誤 ナファゾリン塩酸塩はアドレナリン作動成分で、鼻粘膜を通っている血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげる。
b 正
c 誤 クロモグリク酸ナトリウムは、抗アレルギー成分であり、アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対しては無効である。肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑える作用を示し、花粉、ハウスダスト(室内塵)等による鼻アレルギー症状の緩和を目的として、通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合される

d 正 リドカインは局所麻酔成分である。

正解・・・4  


問47
眼科用薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 人工涙液は、涙液成分を補うことを目的とするもので、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感等に用いられる。

b プラノプロフェンは、炎症の原因となる物質の生成を抑える作用を示し、目の炎症を改善する効果を期待して用いられる。

c ホウ酸は、角膜の乾燥を防ぐことを目的として用いられる。

d サルファ剤は、細菌及び真菌の感染に対する効果が期待できるが、ウイルスの感染に対する効果はない。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


眼科用薬及びその配合成分に関する問題

a 正
b 正 プラノプロフェンは点眼薬に用いられる非ステロイド性抗炎症成分。
↓プラノプロフェン含有目薬のパッケージ

c 誤 ホウ酸は、洗眼薬として用時水に溶解し、結膜嚢の洗浄・消毒に用いられる。また、その抗菌作用による防腐効果を期待して、点眼薬の添加物(防腐剤)として配合されていることもある。

d 誤 サルファ剤は抗菌作用のある成分だが、すべての細菌に対して効果があるというわけではなく、また、ウイルスや真菌の感染に対する効果はないので、で、3~4日使用しても症状の改善がみられない場合には、眼科専門医の診療を受けるなどの対応が必要である。

正解・・・2


問48
30歳女性が、目の充血があるため、次の成分の一般用医薬品の一般点眼薬を購入する目的で店舗を訪れた。

100mL中:
成分 分量
テトラヒドロゾリン塩酸塩 0.05 g
グリチルリチン酸二カリウム 0.25 g
クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.03 g
パンテノール 0.1 g
アスパラギン酸カリウム 1.0 g
(添加物として、ベンザルコニウム塩化物、pH調整剤等を含む。)

この点眼薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a この医薬品には、結膜を通っている血管を収縮させて目の充血を除去することを目的としてテトラヒドロゾリン塩酸塩が配合されている。
b この医薬品に配合されるアスパラギン酸カリウムは、新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果を期待して配合されているアミノ酸成分である。
c この医薬品を点眼する際には、容器の先端が眼瞼(まぶた)や 睫毛(まつげ)に触れないようにする。

d この医薬品は、ソフトコンタクトレンズを装着したまま点眼することができる。

  a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正


点眼薬の販売に関する問題

a 正「結膜」で正しい。テトラヒドロゾリン塩酸塩はアドレナリン作動成分。
↓テトラヒドロゾリン塩酸塩やアスパラギン酸カリウムが配合された点眼薬

b 正 アスパラギン酸カリウムはアミノ酸成分で、新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果を期待して用いられる。
c 正
d 誤 通常、ソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤ベンザルコニウム塩化物、パラオキシ安息香酸ナトリウム等)などの配合成分がレンズに吸着されて、角膜に障害を引き起こす原因となるおそれがあるため、装着したままの点眼は避けることとされている製品が多い。ただし、1回使い切りタイプとして防腐剤を含まない製品では、ソフトコンタクトレンズ装着時にも使用できるものがある。

正解・・・2


問49
きず口等の殺菌消毒成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a ベンザルコニウム塩化物は、石けんとの混合により殺菌消毒効果が高まる。

b ヨードチンキは、ヨウ素をポリビニルピロリドン(PVP)に結合させて水溶性とし、ヨウ素が遊離して殺菌作用を示すように工夫されている。

c クロルヘキシジン塩酸塩は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示す。

d 消毒用エタノールは、皮膚への刺激性が弱いため、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することができる。

  a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤


きず口等の殺菌消毒成分に関する問題

a 誤 石けんとの混合によって殺菌消毒効果が低下する。
b 誤 ヨードチンキではなく、ポビドンヨード製剤に関する記述である。ヨードチンキはヨウ素及びヨウ化カリウムをエタノールに溶解させたものである。
c 誤 クロルヘキシジン塩酸塩は、一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない
d 誤 皮膚刺激性が強いため、患部表面を軽く清拭するにとどめ、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することは避けるべきとされている。

正解・・・5


問50
外皮用薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 分子内にステロイド骨格を持たない非ステロイド性抗炎症成分として、デキサメタゾンがある。

b ケトプロフェンを主薬とする外皮用薬では、紫外線により、使用中又は使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症が現れることがある。

c フェルビナクを主薬とする外皮用薬は、皮膚感染症に対して効果がなく、痛みや腫れを鎮めることでかえって皮膚感染が自覚されにくくなるおそれがある。

d インドメタシンを主薬とする外皮用薬は、妊婦又は妊娠していると思われる女性にも使用を推奨できる。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


外皮用薬及びその配合成分に関する問題

a 誤 デキサメタゾンは(ステロイドではなく)ステロイド性抗炎症成分である。
b 正 ケトプロフェンによる光線過敏症は頻出。ほかにピロキシカムについても光線過敏症について出題されることがある。
c 正 フェルビナクステロイド性抗炎症成分
d 誤 インドメタシンやケトプロフェン、フェルビナクなどの非ステロイド性抗炎症成分は、吸収された成分の一部が循環血液中に入る可能性があり、妊婦又は妊娠していると思われる女性では、胎児への影響を考慮して使用を避けるべきである。(妊娠末期のラットに経口投与した実験において、胎児に高度~中等度の動脈管の収縮が見られたとの報告がある)
↓「相談すること」に記載されている。


正解・・・3

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