R5千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 (問91-100)
生薬製剤と漢方薬の違いは注意(問96)
問91
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分とその配合目的の組合せのうち、正しいものの組合せはどれか。
配合成分 配合目的
a オイゲノール ――――――――― 炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用
b ジブカイン塩酸塩 ――――――― 齲蝕により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮める作用
c グリチルリチン酸二カリウム ―― 細菌の繁殖を抑える作用
d カルバゾクロム ―――――――― 炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分に関する問題
前年も出題された成分が2つ出題されていたので、過去問を行っていれば難しくない。
a 誤 オイゲノールは殺菌消毒成分。前年も出題されています。
b 正 ジブカイン塩酸塩は局所麻酔成分。
c 誤 グリチルリチン酸二カリウムは抗炎症成分。
d 正 カルバゾクロムは止血成分。前年も出題されています。
正解・・・4
問92
口内炎及び口内炎用薬の配合成分等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 口内炎は、通常であれば1~2週間で自然寛解する。
b 一般用医薬品の副作用として口内炎が現れることもあるため、医薬品の販売等に従事する専門家においては、口内炎用薬を使用しようとする人における状況の把握に努めることが重要である。
c 口内炎が再発を繰り返す場合には、ベーチェット病などの可能性も考えられるので、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
a b c
1 正 正 正
2 誤 誤 正
3 正 正 誤
4 正 誤 誤
5 誤 正 正
口内炎及び口内炎用薬の配合成分等に関する問題
a 正
b 正
c 正 なお、ベーチェット病は、口腔粘膜の潰瘍を初期症状とする全身性の疾患で、外陰部潰瘍、皮膚症状(全身の皮膚に湿疹や小膿庖ができる)、眼症状(炎症を起こし、最悪の場合失明に至る)等を引き起こす。
正解・・・1
問93
禁煙補助剤及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 咀嚼剤は、菓子のガムのように噛み、口腔内に放出されたニコチンを唾液とともに徐々に飲み込み摂取するものである。
b 禁煙補助剤は、喫煙を完全に止めたうえで使用することとされている。
c うつ病と診断されたことのある人では、禁煙時の離脱症状により、うつ症状を悪化させることがあるため、禁煙補助剤の使用が効果的である。
d ニコチンは、アドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により、その作用を減弱させるおそれがある。
a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 誤 正 正 正
3 正 正 誤 誤
4 正 誤 誤 正
5 正 誤 正 誤
禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
a 誤 咀嚼剤は、菓子のガムのように噛むと唾液が多く分泌され、ニコチンが唾液とともに飲み込まれてしまい、口腔粘膜からの吸収が十分なされず、また、吐きけや腹痛等の副作用が現れやすくなるため、ゆっくりと断続的に噛むこととされている。
b 正 ニコチン置換療法は、ニコチンの摂取方法を喫煙以外に換えて(つまり喫煙は継続しない)離脱症状の軽減を図りながら徐々に摂取量を減らし、最終的にニコチン摂取をゼロにする方法である。
c 誤 うつ病と診断されたことのある人では、禁煙時の離脱症状により、うつ症状を悪化させることがあるため、使用を避ける必要がある。
d 誤 ニコチンは交感神経系を興奮させる作用を示し、アドレナリン作動成分が配合された医薬品(鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)との併用により、その作用を増強させるおそれがある。
正解・・・1
問94
ビタミン主薬製剤の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー産生に不可欠な栄養素で、神経の正常な働きを維持する作用がある。
b ビタミンDは、下垂体や副腎系に作用してホルモン分泌の調節に関与するとされており、ときに生理が早く来たり、経血量が多くなったりすることがある。
c ビタミンAは、骨の形成を助ける栄養素であり、過剰症として、高カルシウム血症、異常石灰化が知られている。
d ビタミンB2は、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)
ビタミン主薬製剤の配合成分に関する問題
なお、水溶性ビタミンのB群よりも、脂溶性ビタミン(A、D、E)の方が特徴を憶えやすいので、優先的に学習すると良いでしょう。
a 正 ビタミンB1(チアミン)は、「炭水化物からのエネルギー産生に不可欠な栄養素」のほかに、「脚気症状の緩和」も覚えておく。
なお、ビタミンB群は似たようなことが書いてあるが、試験対策としては、ビタミンB2は「脂質の代謝に関与し~」、ビタミンB6は「タンパク質の代謝に関与し~」も余裕があれば、合わせて覚えておく。
b 誤 これはビタミンE(トコフェロール)に関する記述。
c 誤 これはビタミンDに関する記述。ビタミンA(レチノール)は「夜間視力の維持」「夜盲症(とり目)」「妊婦の過剰摂取注意」などが重要キーワードである。
d 正 関連記事:ビタミンB2(リボフラビン)
正解・・・3
問95
滋養強壮保健薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 皮膚や粘膜などの機能を維持することを助ける栄養素として、ニコチン酸アミドが配合されている場合がある。
b グルクロノラクトンは、骨格筋に溜まった乳酸の分解を促す働きを期待して用いられる。
c ヘスペリジンは、髪や爪などに存在するアミノ酸の一種で、皮膚におけるメラニンの生成を抑えるとともに、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す働きがあるとされる。
d コンドロイチン硫酸は軟骨組織の主成分で、軟骨成分を形成及び修復する働きがあるとされる。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 誤 誤
滋養強壮保健薬の配合成分に関する問題
bは前年も同じ内容で問われていた。
a 正
b 誤 この試験において「骨格筋に溜まった乳酸の分解を促す等の働き」ときたら、アスパラギン酸ナトリウムに関する記述である。グルクロノラクトンは、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあり、全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合されている場合がある。
c 誤 これはヘスペリジンではなく、システインに関する記述。ヘスペリジンはビタミン様物質のひとつで、ビタミンCの吸収を助ける等の作用があるとされ、滋養強壮保健薬のほか、かぜ薬等にも配合されている場合がある。
↓ヘスペリジンを配合したのど飴
d 正
正解・・・2
問96
漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤は、中薬と呼ばれ、漢方薬と同じものである。
b 漢方処方製剤は、生薬成分を組み合わせて配合された医薬品で、個々の有効成分(生薬成分)の薬理作用を主に考えて、それらが相加的に配合されたものである。
c 漢方処方製剤を利用する場合、患者の「証」に合わないものが選択された場合には、効果が得られないばかりでなく、副作用を生じやすくなる。
d 一般用医薬品に用いることが出来る漢方処方は、現在50処方程度である。
a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 正 正 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 正
5 誤 誤 誤 正
漢方処方製剤に関する問題だが、生薬製剤との違いは、これまであまり問われいていないポイントなので注意を。
a 誤 現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤は、中薬と呼ばれ、漢方薬とは別物である。
なお、古来に中国から伝わり、日本において発展してきた日本の伝統医学が漢方医学であり、漢方薬は、漢方医学で用いる薬剤全体を概念的に広く表現する時に用いる言葉である。
b 誤 これは「漢方処方製剤」ではなく、「生薬製剤」に関する記述である。
生薬製剤は、生薬成分を組み合わせて配合された医薬品で、成分・分量から一見、漢方薬的に見えるが、漢方処方製剤のように、使用する人の体質や症状その他の状態に適した配合を選択するという考え方に基づくものでなく、個々の有効成分(生薬成分)の薬理作用を主に考えて、それらが相加的に配合された、西洋医学的な基調の上に立つものである。
なお、生薬製剤の一番わかりやすい例としては、強心薬の「救心」がある。
どうき・息切れなどの効能を持ち、センソ(蟾酥)、ゴオウ(牛黄)、ロクジョウ(鹿茸)等の複数の生薬を配合しているが、漢方処方製剤とは異なり、(使用する人の体質・症状等を示した)いわゆるしばり表現は記載されていない。
c 正
d 誤 一般用医薬品に用いることができる漢方処方は、現在300処方程度である。(令和4年手引きの改訂で270→300に増えた)
正解・・・1
問97
漢方処方製剤の「適用となる症状・体質」と「重篤な副作用」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1の適応となる症状・体質は、「体力虚弱で、元気がなく」「胃腸の働きが衰えて」「食欲不振」等から補中益気湯に関する記述である。(*補中益気湯の「中」は、中医学では体の中央部分を示す「中焦」を表し、おおよそ胃腸部分を指していると言われています)
なお、重篤な副作用での判別は困難だが、補中益気湯は、まれに重篤な副作用として、間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている。(カンゾウも含んでいるが、手引きには偽アルドステロン症は記載されていない)
余裕があれば、腸間膜静脈硬化症も確認を。
問題作成の手引きには、加味逍遙散、黄連解毒湯、辛夷清肺湯、清上防風湯、防風通聖散について、稀におこる重篤な副作用としての記載があります。
(手引きに詳細は記載されていませんが、腸間膜静脈硬化症とは、大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化が生じ、血流が阻害されることによって腸管が慢性的に虚血状態になる疾患です。症状としては、腹痛、下痢、悪心・嘔吐などがあり、さらに重いイレウスの報告もあります。原因としては、特に山梔子(サンシシ)を含む漢方薬の長期連用したケースが多く報告されており、特に加味逍遙散での報告が割合的に多くなっています)
正解・・・1
問98
消毒薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 殺菌・消毒は、物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することであり、滅菌は生存する微生物の数を減らすために行われる処置である。
b エタノールは、アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、それらの作用を消失させることから、殺菌消毒作用を示す。
c 次亜塩素酸ナトリウムは、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示すが、皮膚刺激性が強いため、通常人体の消毒には用いられない。
d 消毒薬を誤って飲み込んだ場合、一般的な家庭における応急処置として、通常は多量の牛乳などを飲ませるが、水は飲ませてはいけない。
a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 誤 誤 誤
消毒薬及びその配合成分に関する問題
a 誤 説明が逆になっている。殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置であり、また滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。
b 正
c 正 塩素系殺菌消毒成分の次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉は、ウイルスに対しても殺菌消毒作用がある。そして、その作用は「強い酸化力」(還元力ときたら×)によるものである点も重要です。
d 誤 (誤飲における)一般的な家庭における応急処置として、通常は多量の牛乳などを飲ませるが、手元に何もないときはまず水を飲ませる。
正解・・・2
問99
殺虫剤・忌避剤及び衛生害虫に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 殺虫剤・忌避剤のうち、原液を用時希釈して用いるもの、長期間にわたって持続的に殺虫成分を放出させる又は一度に大量の殺虫成分を放出させるもの等、取扱い上、人体に対する作用が緩和とはいえない製品については医薬品又は医薬部外品として扱われる。
b 忌避剤は人体に直接使用されるが、虫さされによる痒みや腫れなどの症状を和らげる効果はない。
c ハエの幼虫(ウジ)が人の体内や皮膚などに潜り込み、組織や体液や消化器官内の消化物を食べて直接的な健康被害を与えるハエ蛆(うじ)症と呼ばれる症状がある。
d ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しやすい殻で覆われているため、燻蒸処理による殺虫効果は高い。
a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 正 誤
衛生害虫及び殺虫剤・忌避剤に関する問題。殺虫成分の出題ポイントも確認を。
ハエ蛆症が問われることは珍しい。「燻蒸処理」は令和3年度にも出題されています。
a 誤 人体に対する作用が緩和とはいえない製品については医薬品(×医薬部外品)として扱われる。
b 正 関連記事:ディート
c 正
d 誤 燻蒸処理を行う場合、ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、殺虫効果を示さない。そのため3週間位後に、もう一度燻蒸処理を行い、孵化した幼虫を駆除する必要がある。
正解・・・5
問100
一般用検査薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 一般の生活者が正しく用いて原因疾患を把握し、一般用医薬品による速やかな治療につなげることを目的として用いられる。
b 検査薬は、対象とする生体物質を特異的に検出するように設計されているが、検体中の対象物質の濃度が極めて低い場合には検出反応が起こらずに陰性の結果が出る場合がある。
c 尿糖検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、激しい運動の直後は避ける必要がある。
d 一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
妊娠検査薬・尿糖・尿タンパク検査薬の複合タイプ問題である。
a 誤 一般用検査薬は、一般の生活者が正しく用いて健康状態を把握(×原因疾患を把握)し、速やかな受診(×治療)につなげることで疾病を早期発見するためのものである。
b 正
c 誤 「早朝尿」を使うことから、尿糖検査ではなく、尿タンパク検査に関する記述である。
尿糖検査の場合、食後1~2時間等、検査薬の使用方法に従って採尿を行う。尿タンパクの場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とする。(なお、尿糖・尿タンパク同時検査の場合、早朝尿(起床直後の尿)を検体とする)
↓尿糖・尿タンパク検査薬
d 正
正解・・・4