H29 福岡県(九州・沖縄地区共通) 第3章 主な医薬品とその作用(問81-90)
問82(五積散)は難しい。
問81 婦人薬の漢方処方製剤に関する以下の記述について、正しいものを下から一つ選びなさい。
体力中等度で皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では胃部 不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。 まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。
1 温経湯
2 加味逍遙散
3 温清飲
4 四物湯
5 桂枝茯苓丸
婦人薬の漢方製剤に関する問題。
漢方関連の問題としては決して簡単ではないが、実は同地区において、昨年(H28)も同じ内容が出題されており、それを経験していれば容易だったでしょう。
正答は温清飲。なお、試験で問われることはないが四物湯と黄連解毒湯の合剤として知られる。
手引きでは婦人薬の分野で登場するが、どちらかと言えば皮膚病向けとして知られている。
キーワードとしては「皮膚はかさかさして色つやが悪く」が特徴的。他に婦人薬+湿疹・皮膚炎に関する内容も含んでいる点を押さえたい。
桂枝茯苓丸、加味逍遥散も代表的婦人薬であり、あわせて押させておきたい。
正答・・・3
問82 婦人薬として使用される五積散に関する以下の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
( ア )で冷えがあるものの胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、 発汗傾向の著しい人では、不向きとされ、構成生薬として( イ )を含む。
ア イ
1 体力中等度以上 マオウ
2 体力中等度以上 オウゴン
3 体力中等度以上 ダイオウ
4 体力中等度又はやや虚弱 マオウ
5 体力中等度又はやや虚弱 ダイオウ
婦人薬として使用される五積散に関する問題。
実際のところ、五積散は婦人用薬としてはマイナーな存在なので難易度は高い。
他にも、腰痛や感冒、胃腸炎等、色々書かれているが、正直OTCとしては売りづらい製品である。
手引では、マオウ(麻黄)を含む漢方薬としても記載されている。
正答・・・4
問83 内服アレルギー用薬に配合されている成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 アゼラスチンは、肥満細胞から遊離したヒスタミンが受容体と反応するのを妨げることにより、ヒスタミンの働きを抑える作用を示す。
2 トラネキサム酸は、皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげる作用を示す。
3 プソイドエフェドリン塩酸塩は依存性がないが、メチルエフェドリン塩酸塩には依存性があるため、長期間にわたって連用された場合、薬物依存につながるおそれがある。
4 メキタジンは、緑内障の診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがある。
内服アレルギー薬に関する問題。
1 正しい。アゼラスチンは抗ヒスタミン成分。抗ヒスタミン薬の出題ポイントも確認ください。
2 正しい。トラネキサム酸に関する内容。
3 誤り。プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩ともにアドレナリン作動性成分である。どちらも依存性の恐れがある成分である。(厚生労働大臣が指定する濫用の恐れがある医薬品の記事も確認を。第5章でも出題されます)
4 正しい。メキタジンは抗ヒスタミン成分の中でも割と出題されている。
正答・・・3
問84 鼻炎及び鼻炎用点鼻薬に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア アドレナリン作動成分が配合された点鼻薬は、局所(鼻腔内)に適用されるものであるため、 全身的な影響は生じない。
イ 急性鼻炎は、鼻腔内に付着したウイルスや細菌が原因となって生じる鼻粘膜の炎症である。
ウ クロモグリク酸ナトリウムは、アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対して有効である。
エ 鼻粘膜の過敏性や痒みを抑えることを目的として、局所麻酔成分が配合されている場合がある。
1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)
鼻炎用点鼻薬に関する問題。
ア 誤り。点鼻薬でも全身性の副作用がでる恐れはある。なお、点鼻薬に使用される代表的なアドレナリン作動性成分はナファゾリン塩酸塩。憶えておきたい。
イ 正しい。
ウ 誤り。クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑える作用を示し、アレルギー性ではない鼻炎等には無効とされる。他に出題のポイントとして「(クロモグリク酸ナトリウムは)通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合される」も押さえておく。
エ 正しい。
正答・・・3
問85 眼科用薬及びその配合成分並びに点眼方法に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア 一般点眼薬は、目の疲れや痒み、結膜充血、緑内障による目のかすみの症状を抑える成分が配合されている。
イ ソフトコンタクトレンズを装着したまま点眼すると、防腐剤などの配合成分がレンズに吸着され、角膜に障害を引き起こす原因となるおそれがあるため、装着したままの点眼は避けることとされている製品が多い。
ウ ネオスチグミンメチル硫酸塩はコリンエステラーゼの働きを強める作用を示し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを抑制することで、目の調節機能を改善する効果を示す目的として用いられる。
エ サルファ剤は、ウイルス感染による結膜炎、眼瞼炎などの化膿性の症状の改善を目的として用いられる。
ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
例年通り眼科用薬に関する問題が2問続きます。
ア 誤り。「緑内障」は、市販点眼薬では対象外。
イ 正しい。
ウ 誤り。ネオスチグミンメチル硫酸塩はピント調節機能成分であり頻出。コリンエステラーゼの働きを抑える作用を示し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善するとされる。「疲れ目」向けの製品には大抵配合されている。
エ 誤り。×ウイルス感染→〇細菌感染。なお、抗菌タイプの目薬に用いられる代表的なサルファ剤はスルファメトキサゾールであり頻出。
正答・・・4
問86 眼科用薬の配合成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 プラノプロフェンは、ステロイド性抗炎症成分であり、炎症の原因となる物質の生成を抑える作用を示し、目の炎症を改善する効果を期待して用いられる。
2 硫酸亜鉛は、眼粘膜のタンパク質と結合して被膜を形成し、外部の刺激から保護する作用を期待して配合されている場合がある。
3 アスパラギン酸カリウムは、新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果を期待して用いられる。
4 コンドロイチン硫酸ナトリウムは、結膜や角膜の乾燥を防ぐことを目的として用いられる。
眼科用薬の配合成分に関する問題。
1 誤り。プラノプロフェンは非ステロイド性抗炎症成分。後半部分の記述は正しい。
2 正しい。硫酸亜鉛は収斂成分。
3 正しい。アスパラギン酸カリウムに関する内容。
4 正しい。
正答・・・1
問87 きず口等の殺菌消毒成分に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア アクリノールは、黄色の色素で、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)と真菌、結核菌に対する殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対しては効果がない。
イ オキシドールは、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対する殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がない。
ウ ヨウ素系殺菌消毒成分は、ヨウ素による酸化作用により、結核菌を含む一般細菌類、真菌、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示す。
エ ヨウ素の殺菌力は酸性になると低下するため、石鹸と併用する場合には、石鹸分をよく洗い落としてから使用するべきである。
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
きず口等に用いられる殺菌消毒成分に関する問題。
ア 誤り。アクリノールは黄色の色素である点は正しい。一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対する殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がない。
イ 正しい。オキシドールに関する内容。
ウ 正しい。
エ 誤り。×酸性→〇アルカリ性
正答・・・3
問88 痒み、腫れ、痛み等を抑える外皮用薬の配合成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 デキサメタゾンは、末梢組織の免疫機能を高める作用を示し、細菌、真菌、ウイルスによる皮膚感染を防ぐ。
2 ジクロフェナクナトリウムは、皮膚の下層にある骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を抑える作用を示す。
3 ジフェンヒドラミンは、適用部位の組織に浸透して、肥満細胞から遊離したヒスタミンとその受容体タンパク質との結合を妨げることにより、患部局所におけるヒスタミンの働きを抑える。
4 ナファゾリン塩酸塩は、創傷面に浸透して、その部位を通っている血管を収縮させることによる止血効果を期待して用いられる。
外皮用薬に関する問題。
1 誤り。デキサメタゾンはステロイド性抗炎症成分。mediumクラスで様々な軟膏類に配合されている。
2 正しい。ジクロフェナクナトリウムは非ステロイド性抗炎症成分。「ボルタレン」ブランドで知られる。
3 正しい。ジフェンヒドラミンは代表的な抗ヒスタミン成分で、外用薬として特に用いられる。
4 正しい。ナファゾリン塩酸塩がこの分野で出題されると少し厄介。殆ど外用薬としては使用されていないが、止血効果を期待して痔の外用薬等に配合されている場合もある。
正答・・・1
問89 痒み、腫れ、痛み等を抑えるために用いられる非ステロイド性抗炎症成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 インドメタシンは、殺菌作用があるため、皮膚感染症に対して効果がある。
2 インドメタシンを主薬とする外皮用薬では、11歳未満の小児(インドメタシン含量1%の貼付剤では15歳未満の小児)向けの製品はない。
3 ケトプロフェンは、喘息の副作用を引き起こす可能性があるため、喘息を起こしたことがある人では、使用を避ける必要がある。
4 まれに重篤な副作用として、光線過敏症が現れることがあるため、ケトプロフェンが配合された外皮用薬を使用している間だけでなく、使用後も紫外線に当たるのを避ける必要がある。
外用薬に用いられる非ステロイド性抗炎症成分に関する問題。
1 誤り。インドメタシンは抗炎症成分だが、殺菌作用はない。この成分名はバンテリンのCM等で聞き覚えのある方も多いでしょう。
2 正しい。↓インドメタシン含有の湿布の添付文書。11歳未満の小児は使用を避ける旨が記載されている。
3 正しい。
4 正しい。ケトプロフェンは非ステロイド性抗炎症成分だが、光線過敏に関する知識は重要。医療用の湿布(モーラス)で頻用されている成分だが、OTCではあまり用いられていない。
正答・・・1
問90 みずむし及びみずむし用薬に関する以下の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
みずむしは( ア )の一種が皮膚に寄生することによって起こる疾患である。一般的に、じゅくじゅくと湿潤している患部には、( イ )が適すとされる。
ア イ
1 細菌類 軟膏又はクリーム
2 細菌類 液剤
3 ウイルス 軟膏又はクリーム
4 真菌類 液剤
5 真菌類 軟膏又はクリーム
みずむし用薬に関する問題。
ウイルス・細菌・真菌の違いはしっかり理解しておくこと。
正答・・・5
(Visited 2,796 times, 1 visits today)