H29 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問31-40)

問36(駆虫薬)は広い知識が求められる

問31
口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 胸部や喉の部分に適用することにより、有効成分が体温により暖められて揮散し、吸入されることで鼻づまりやくしゃみ等のかぜに伴う諸症状の緩和を目的とする外用剤(塗り薬又は貼り薬)があるが、現在のところ、医薬品となっている製品はなく、いずれも医薬部外品(鼻づまり改善薬)として製造販売されている。

b 含嗽薬の使用後にすぐに食事を摂った場合であっても、殺菌消毒効果が薄れることはない。

c 口腔咽喉薬・含嗽薬は、口腔内や咽頭における局所的な作用を目的とする医薬品であるため、口腔や咽頭の粘膜から吸収されて循環血流中に入り、全身的な影響を生じることはない。

d 噴射式の液剤は、息を吸いながら噴射すると気管支や肺に入ってしまうおそれがあるため、軽く息を吐いたり、声を出しながら噴射することが望ましい。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)に関する問題。

a 正しい。ある程度過去問をこなしていないと迷ったでしょう。手引きの記載どおり。具体的な製品としては「ヴィックスヴェポラップ」がある。医薬部外品扱いだが、「鼻づまり、くしゃみ等」の効能効果が書かれている。(かつて、風邪を引いた子供の胸に母親がこの製品を塗るCMが流れていた。)
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b 誤り。常識的にわかるでしょう。
c 誤り。全否定の文章でおかしいと気付きたい。
d 正しい。実際ここまでやる人は少ないが、手引きの記載どおりである。
 
正答・・・4

問32
口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 日本薬局方収載の複方ヨード・グリセリンは、グリセリンにヨウ化カリウム、ヨウ素、ハッカ水、液状フェノール等を加えたもので、喉の患部に塗布して殺菌・消毒に用いられる。

b 白虎加人参湯は体力に関わらず広く応用できる。しわがれ声、咽喉不快に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

c ラタニアはクラメリア科のクラメリア・トリアンドラ及びその同属植物の根を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる(収斂)作用により炎症の寛解を促す効果を期待して用いられる。

d 炎症を生じた粘膜組織の修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)が配合されている場合がある。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)に関する問題。
「複方ヨード・グリセリン」は出題頻度も低く??と思った受験生も多いでしょう。ラタニアも難易度が高いが、b、dがわかれば正答できる。
 
a 正しい。いわゆる「ルゴール液」と呼ばれるもので、耳鼻科で綿に浸み込ませたものを喉に塗られた経験者も多いでしょう。なお、当試験で複方ヨード・グリセリンは「局所保護成分」に分類されている。
b 誤り。「しわがれ声・咽喉不快」のキーワードから響声破笛丸であることに気づきたい。
c 正しい。ラタニアはかなりマイナー。出題頻度は低い。
d 正しい。抗炎症成分のアズレンスルホン酸ナトリウムに関する内容。

正答・・・2

問33
胃の薬の配合成分とその成分を配合する目的との関係の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

(配合成分) (配合目的)
a 炭酸水素ナトリウム - 胃粘膜を覆って胃液による消化から保護する。
b アルジオキサ - 過度な胃粘液の分泌を弱める。
c ロートエキス - アセチルコリンの働きを促し、消化を助ける。
d ピレンゼピン塩酸塩 - アセチルコリンの働きを抑え、過剰な胃液の分泌を抑える。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤

胃の薬に関する問題。

a 誤り。炭酸水素ナトリウムは制酸成分。
b 誤り。アルジオキサは胃粘膜保護・修復成分。なお、アルジオキサはアルミニウムを含み、「透析療法中の方は使用を避ける」点も頻出ポイントである。(スクラルファートも合わせて憶えておく)
c 誤り。ロートエキスは胃液分泌抑制成分であり、アセチルコリンの働きを抑える(抗コリン作用)。胃腸鎮痛鎮痙薬としても登場し、試験では頻出。
d 正しい。ピレンゼピン塩酸塩も胃液分泌抑制成分に分類される。
  
正答・・・4

問34
止瀉薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 収斂成分を主体とする止瀉薬は、細菌性の下痢や食中毒のときに使用して腸の運動を鎮めると、かえって状態を悪化させるおそれがある。

b ロペラミド塩酸塩が配合された止瀉薬は、食あたりや水あたりによる下痢の症状に用いられることを目的としており、食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢については適用対象でない。

c ロペラミド塩酸塩は中枢神経系を抑制する作用もあり、副作用としてめまいや眠気が現れることがあるため、乗物又は機械類の運転操作を避ける必要がある。

d タンニン酸アルブミンに含まれるアルブミンは、牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)から精製された成分であるが、タンニン酸と化合しているので牛乳にアレルギーがある人でも使用することができる。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

止瀉薬に関する問題。この分野でロペラミド塩酸塩は超頻出成分。
 
a 正しい。
b 誤り。説明が逆。食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢の症状に用いることはできるが、食あたりや水あたりによる下痢については適用対象外。
c 正しい。
d 誤り。これも超頻出。タンニン酸アルブミン→牛乳アレルギーでは使用を避ける。なお、アルブミンがカゼイン由来である点は正しい。
 
正答・・・4

問35
浣腸薬に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 浣腸薬は、便秘の場合に排便を促すことを目的として、直腸内に適用される医薬品であり、繰り返し使用しても直腸の感受性の低下(いわゆる慣れ)が生じないため効果が弱くなることはない。

2 浣腸薬は一般に、直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきである。

3 グリセリンが配合された浣腸薬では、排便時に血圧低下を生じて、立ちくらみの症状が現れるとの報告がある。

4 浣腸薬の坐剤を挿入した後すぐに排便を試みると、坐剤が排出されて効果が十分得られないことから、便意が強まるまでしばらく我慢する。

浣腸薬に関する問題。

1 誤り。浣腸については、繰り返し使用すると直腸の感受性の低下(いわゆる慣れ)が生じ効果が弱くなる恐れがあり、連用しないことになっている。
2 正しい。
3 正しい。グリセリンは、いわゆる「イチジク浣腸」等の代表的な浣腸薬成分。
4 正しい。浣腸薬の剤形としては注入剤の他に、坐剤タイプもある。例えば、炭酸水素ナトリウム成分の新レシカルボン坐剤があり、直腸内で徐々に分解して炭酸ガスの微細な気泡を発生することで直腸を刺激する。
 
正答・・・1

問36
駆虫薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 駆虫薬は腸管内に生息する虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫(回虫の場合)には駆虫作用が及ばないため、それらが成虫となった頃にあらためて使用しないと完全に駆除できない。

b 駆虫薬はその有効成分(駆虫成分)が腸管内において薬効をもたらす局所作用を目的とする医薬品であり、消化管からの駆虫成分の吸収は好ましくない全身作用(頭痛、めまい等の副作用)を生じる原因となるため、極力少ないことが望ましい。

c サントニンの服用後、一時的に物が黄色く見えたり、耳鳴り、口渇が現れることがある。

d パモ酸ピルビニウムは、アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させる作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正

現在殆ど販売機会のない駆虫薬に関する問題。
この分野の問題は難問になりやすいが、現在でも販売されている(パモ酸ピルビニウム)は直前期でも押さえておきたい。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。サントニンは回虫用駆虫薬。現在は市販されていないはず。
d 誤り。これはピペラジンリン酸塩に関する内容。パモ酸ピルビニウムは現在でも市販されている駆虫薬(商品名:パモキサン)で、蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用を示すとされる。
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正答・・・1

問37
貧血用薬(鉄製剤)及びその配合される成分に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 鉄欠乏性貧血において、鉄製剤を服用していれば、食生活の改善を図ることは重要でない。

b 鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあるが、使用の中止を要する副作用等の異常ではない。ただし、鉄製剤の服用前から便が黒い場合は貧血の原因として消化管内で出血している場合もあるため、服用前の便の状況との対比が必要である。

c ビタミンB6は、消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つことを目的として用いられる。

d 鉄製剤の服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

貧血用薬に関する問題。

a 誤り。そんなことはない。
b 正しい。
c 誤り。×ビタミンB6→〇ビタミンC。実際に、鉄剤と一緒にビタミンCが配合されている製品がある。
d 正しい。
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正答・・・3

問38
高コレステロール改善薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a リボフラビンの摂取によって尿が黄色くなることがあり、これは使用の中止を要する副作用である。

b 大豆油不鹸けん化物(ソイステロール)には、腸管におけるコレステロールの吸収を抑える働きがあるとされる。

c パンテチンは、低密度リポタンパク質(LDL)等の異化排泄を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めて、高密度リポタンパク質(HDL)産生を高める作用があるとされる。

d リボフラビンは、コレステロールから過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進する作用があるとされ、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、痺れ)の緩和等を目的として用いられる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤

高コレステロール改善薬に関する問題。

a 誤り。リボフラビンはビタミンB2に分類されるが、服用中尿が黄色くなっても問題ない。

b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。これはビタミンEに関する内容。

正答・・・2

問39
強心薬及びその配合成分に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 強心薬は、疲労やストレス等による軽度の心臓の働きの乱れについて、心臓の働きを整えて、動悸や息切れ等の症状の改善を目的とする医薬品である。心筋に作用して、その収縮力を高めるとされる成分(強心成分)を主体として配合される。

2 センソが配合された丸薬、錠剤等の内服固形製剤は、吸収を促すため、口中で噛み砕いて服用するものとされている。

3 シンジュはウグイスガイ科のアコヤガイ、シンジュガイ又はクロチョウガイ等の外套膜組成中に病的に形成された顆粒状物質を基原とする生薬で、鎮静作用等を期待して用いられる。

4 一般に、強心薬を5~6日間使用して症状の改善がみられない場合には、心臓以外の要因、例えば、呼吸器疾患、貧血、高血圧症、甲状腺機能の異常等のほか、精神神経系の疾患も考えられる。医薬品の販売等に従事する専門家においては、強心薬を使用した人の状況に応じて、適宜、医療機関の受診を勧奨することが重要である。

強心薬に関する問題。具体的な製品として「救心」や「六神丸」に関するものである。

1 正しい。
2 誤り。まず、センソ(蟾酥)はヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬で微量で強い強心作用を示す。センソは口中で噛み砕くと舌等が麻痺することがある。他に出題されるポイントとして「一般用医薬品での1日用量5mg 以下」もあり、合わせて押さえておきたい。
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・2

問40
第1欄の記述は、循環器用薬として用いられる漢方処方製剤に関するものである。該当する漢方処方製剤は第2欄のどれか。

第1欄
体力中等度以下で、顔色が悪くて疲れやすく、胃腸障害のないものの高血圧に伴う随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。また、15歳未満の小児への使用は避ける必要がある。

第2欄
1 加味帰脾湯
2 六君子湯
3 七物降下湯
4 桂枝加芍薬湯
5 猪苓湯

漢方製剤に関する問題。

これは循環器用薬の分野で登場する七物降下湯に関する内容。
他は良く知られた漢方薬なので消去法的でも選択できるようにしたい。
リンク記事も参照ください。(加味帰脾湯六君子湯桂枝加芍薬湯猪苓湯
 
正答・・・3
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