R1 関西広域連合 第3章 主な医薬品とその作用 (問21-30)

問23(漢方の副作用知識)は注意。他は簡単。

問21
かぜ薬(総合感冒薬)に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a かぜ薬の多くは、原因となるウイルスの増殖を抑制する作用を有する。

b かぜであるからといって、必ずしもかぜ薬を選択するのが最適とは限らない。

c 存在しない症状に対する不要な成分が配合されていると、副作用のリスクを高めることとなる。

d かぜ薬に配合される主な解熱鎮痛成分としては、アスピリンやアセトアミノフェン、イブプロフェンなどがある。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


a 誤り。かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスを体内から除去するものではなく、咳や鼻水などの症状緩和を図る対症療法薬である。
b 正しい。発熱、咳など症状がはっきりしている場合には、解熱鎮痛薬や鎮咳去痰薬などを選択することが望ましい。
c 正しい。
d 正しい。どれも代表的な解熱鎮痛薬。関連記事:アスピリンアセトアミノフェンイブプロフェン

正答・・・4


問22
かぜ薬の成分に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せを一つ選べ。

( a )は15歳未満の小児で水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっているときには使用を避ける必要があるが、一般の生活者にとっては、かぜとインフルエンザとの識別は必ずしも容易でない。インフルエンザの流行期には解熱鎮痛成分が( b )や生薬成分のみからなる製品の選択を提案するなどの対応を図ることが重要である。

  a b
1 アセトアミノフェン エテンザミド
2 アセトアミノフェン クロルフェニラミンマレイン酸塩
3 エテンザミド クロルフェニラミンマレイン酸塩
4 エテンザミド アセトアミノフェン
5 クロルフェニラミンマレイン酸塩 アセトアミノフェン


エテンザミド
アセトアミノフェン

解熱鎮痛薬の年齢制限に関する問題は、まず「アスピリン(アスピリンアルミニウムも同様)、サザピリンは、(急性脳症の症状がでる)ライ症候群の発生が示唆されており、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない」を押さえておく。
次に(アスピリンと同じくサリチル酸系の)「エテンザミド及びサリチルアミドについては、水痘(水疱瘡 )又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける」ことも区別して理解しておく。

また、エテンザミドは他の解熱鎮痛成分に比べ、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強いため、作用の仕組みの違いによる相乗効果を期待して、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることが多いという特徴もよく出題されています。

正答・・・4


問23
漢方処方製剤に関する副作用の記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 葛根湯、小青竜湯にはカンゾウが含まれているので、重篤な副作用として偽アルドステロン症を生じることがある。

b 麻黄湯は、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感、発汗過多、全身脱力感等の副作用が現れやすいので、不向きである。

c 小柴胡湯は、まれに重篤な副作用として間質性肺炎や肝機能障害を生じるが、インターフェロン製剤を併用すると副作用は軽減される。

d 小建中湯は、重篤な副作用として、間質性肺炎や肝機能障害を生じる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


これは難しい。
通常、医薬品において「〇〇の副作用が100%無い」と断定することは困難なため、この試験でもdのような選択枝は通常は「正しい」と思って解いていくのがセオリーである。しかしながら、問題作成の手引きには記載がなく、dの選択は誤りとなっている。
このような判断が求められる問題は稀で、これに振り回されると非効率な暗記作業が増えてしまうので、スルーして良いでしょう。

a 正しい。葛根湯小青竜湯ともに、カンゾウ(甘草)を含むため、偽アルドステロン症を生じる恐れがある。
b 正しい。関連記事:麻黄湯
c 誤り。頻出ポイント。小柴胡湯は、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける。
d 誤り。関連記事:小建中湯

正答・・・3


問24
かぜの症状緩和に用いられる漢方処方製剤に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。

a 葛根湯は、体の虚弱な人でも感冒の初期であれば、子どもから大人までだれにでも適している。

b 麻黄湯は、かぜの後期の諸症状に適している。

c 桂枝湯は、体力虚弱で、汗が出るもののかぜの初期に用いられる。

d 小青竜湯は、体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎、鼻炎等に用いられる。

1(a、b) 2(b、c) 3(b、d) 4(c、d)


a 誤り。葛根湯は体力中等度以上のものの感冒の初期に適するとされる。体の虚弱な人、胃腸の弱い人等では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

b 誤り。麻黄湯は、かぜのひきはじめ向き。
c 正しい。関連記事:桂枝湯
d 正しい。小青竜湯「うすい水様の痰」「アレルギー性鼻炎」「花粉症」あたりがキーワードになるが、「うすい水様の痰」以外のキーワードは抜かれている。


正答・・・4



問25
解熱鎮痛薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 発熱や痛みの原因となっている病気や外傷を根本的に治すものではない。

b イブプロフェンは、体内におけるプロスタグランジンの産生を抑制し、痛みや発熱を緩和する。

c 腎機能に障害がある場合でも、その症状を悪化させることはない。

d 心臓に障害がある場合でも、その症状を悪化させることはない。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤


a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。末梢におけるプロスタグランジンの産生抑制は、腎血流量を減少させるため、腎機能に障害があると症状を悪化させる可能性がある。
d 誤り。腎臓における水分の再吸収を促して循環血流量を増し、心臓の負担を増す恐れがある。

正答・・・1


問26
解熱鎮痛薬の副作用に関する記述について、正しいものの組合せを一つ選べ。

a 重篤な副作用として、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症、喘息を生じることがある。

b アスピリン喘息は、解熱鎮痛成分の中でもアスピリン特有の副作用である。

c サリチル酸系解熱鎮痛成分は、ライ症侯群の発生が示唆されている。

d 基礎疾患がなければ、解熱鎮痛薬を長期連用しても、副作用は生じない。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


a 正しい。関連記事:ショック(アナフィラキシー)皮膚粘膜眼症候群・中毒性表皮壊死融解症
b 誤り。「アスピリン喘息」はアスピリン特有の副作用ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性がある。
c 正しい。問22の解説を参照。
d 誤り。

正答・・・2


問27
眠気を促す抗ヒスタミン成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 脳内におけるヒスタミン刺激を増加させることにより、眠気を促す。

b 妊婦又は妊娠していると思われる女性でも、抗ヒスタミン成分を主薬とする睡眠改善薬の使用を避ける必要はない。

c 慢性的に不眠症状がある人を対象とするものではない。

d 目が覚めたあとも、注意力の低下やめまいを起こすことがあるので、注意が必要である。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤


市販の睡眠改善薬に使用される抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミン塩酸塩であることも押させておきたい(代表例:ドリエル)。

a 誤り。脳内におけるヒスタミンの刺激を低下させる(抗ヒスタミン)ことで、眠気を促す。
b 誤り。妊婦又は妊娠していると思われる女性は睡眠改善薬の使用を避ける。
c 正しい。「慢性的に」とくれば、一般用医薬品は対象外と思ってよい。
d 正しい。

正答・・・4


問28
神経質、精神不安、不眠等の症状の改善を目的とした漢方処方製剤に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 加味帰脾湯は、体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの精神不安や神経症、不眠症に用いられる。

b 柴胡加竜骨牡蛎湯は、体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの不眠症に用いられる。

c 酸棗仁湯は、体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う高血圧の随伴症状、神経症に用いられる。

d 抑肝散は、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの不眠症などに用いられ、また小児夜なきにも用いられる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正


a 正しい。関連記事:加味帰脾湯
b 誤り。これは植物系生薬で構成される酸棗仁湯に関する内容。試験テクニックとしては、鉱物系も含む柴胡加竜骨牡蛎湯は「体力中等度以上」を憶えておこう。
c 誤り。関連記事:柴胡加竜骨牡蛎湯
d 正しい。関連記事:抑肝散

正答・・・4


問29
カフェインに関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a 反復摂取により依存を形成する性質があるため、短期間の服用にとどめ連用をしない。

b 食欲不振、悪心・嘔吐が現れることがあるため、胃潰瘍のある人は服用を避ける。

c 動悸が現れることがあるため、心臓病のある人は服用を避ける。

d 妊娠中に服用しても、胎児の発達に影響はない。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


カフェインの記事も確認を。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。妊娠中の眠気防止薬の使用が胎児に影響を及ぼすか否かは明らかにされていないが、カフェインの一部は血液-胎盤関門を通過して胎児に到達することが知られており、胎児の発達に影響を及ぼす可能性がある。

正答・・・1


問30
鎮暈薬(乗物酔い防止薬)に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。

a ジフェニドール塩酸塩は、眠気、排尿困難、散瞳といった副作用は示さない。

b ジメンヒドリナートやメクリジン塩酸塩は、一般用医薬品では専ら乗物酔い防止薬に配合される抗ヒスタミン成分である。

c スコポラミン臭化水素酸塩水和物は、抗コリン成分であり、消化管からよく吸収される。

d ジプロフィリンは、胃粘膜への局所麻酔作用により嘔吐刺激を和らげる。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


a 誤り。ジフェニドール塩酸塩は抗めまい成分。抗ヒスタミン薬と類似の薬効を示すことから、排尿困難のある方や緑内障に関する注意「相談すること」が記載されている。
b 正しい。
c 正しい。代表的な乗り物酔い防止薬であるスコポラミン臭化水素酸塩抗コリン成分(抗ヒスタミン成分ではない!)。
d 誤り。ジプロフィリンはキサンチン系成分。脳に軽い興奮を起こさせて平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させる。



正答・・・3

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