H27 新潟県・群馬県・栃木県・長野県・山梨県 第3章 主な医薬品とその作用(問61-70)

問65(不眠症)問67(鎮暈薬)以外は頻出医薬品ばかり。
できれば全問正答したい。

【問61】 次の表は、あるかぜ薬に含まれている成分の一覧である。

 9錠中
クレマスチンフマル酸塩 1.34 mg
ベラドンナ総アルカロイド 0.3 mg
ブロムヘキシン塩酸塩 12 mg
トラネキサム酸 420 mg
アセトアミノフェン 900 mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 60 mg
ジヒドロコデインリン酸塩 24 mg
無水カフェイン 60 mg
ベンフォチアミン(ビタミンB1誘導体) 24 mg 

このかぜ薬に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a クレマスチンフマル酸塩は、発熱を鎮め、痛みを和らげる目的で配合されている。
b ベラドンナ総アルカロイドは、抗コリン作用によって鼻汁分泌を抑えることを目的として配合されている。
c ブロムヘキシン塩酸塩は、鼻粘膜や喉の炎症による腫れを和らげることを目的として配合されている。
d トラネキサム酸は、炎症の発生を抑え、腫れを和らげることを目的として配合されているが、凝固した血液を溶解されにくくする働きもある。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)

かぜ薬に関する問題。
すべて頻出の医薬品である。必ず解答できるように。
商品としては、おそらく「新ルルAゴールドDX」と思われます。

a 誤り。クレマスチンフマル酸塩は、第一世代抗ヒスタミン薬であり、解熱鎮痛薬のような働きはない。
b 正しい。ベラドンナ総アルカロイドは抗コリン作用がある。
c 誤り。ブロムヘキシン塩酸塩は去痰作用のある成分。抗炎症作用はない。
d 正しい。トラネキサム酸は抗炎症成分である。特に喉の腫れや炎症を抑える効果が期待され総合感冒薬に用いられる。他に、凝固した血液を溶解されにくくする働きもある。その為、医療用では止血剤として鼻血等に用いられることもある。

正答・・・4

【問62】 漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 葛根湯は、体力中等度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、 頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

b 小柴胡湯は、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まる。

c 桂枝湯は、体力虚弱で、汗が出るもののかぜの初期に適すとされる。

d 小青竜湯は、体力中等度またはやや虚弱で、うすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

    a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 誤 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 正 正 正 正
5 誤 誤 正 誤

すべて知識を押さえておくべき漢方薬。

a 正しい。葛根湯のキーワードとしては「感冒の初期(汗をかいていないもの)」「頭痛」「肩こり」
b 正しい。小柴胡湯は特に良く出題される。「インターフェロン治療・間質性肺炎」ですぐに判断できるように。
c 正しい。桂枝湯は、これまで出題頻度は高くないが、OTC販売では極めて重要。かぜ薬として使用される。
d 正しい。小青竜湯のキーワードは、「花粉症」「アレルギー性鼻炎」など

正答・・・4

【問63】 次の表は、ある解熱鎮痛薬に含まれている成分の一覧である。

 1錠中
エテンザミド 200 mg
アセトアミノフェン 80 mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 30 mg
無水カフェイン 40 mg 

この解熱鎮痛薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a エテンザミドは、痛みの発生を抑える働きが作用の中心となっている他の解熱鎮痛成分に比べ、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強い。

b アセトアミノフェンが配合された坐薬と内服薬とは影響し合わないので、アセトアミノフェンが配合された坐薬を併用してもよい。

c アリルイソプロピルアセチル尿素は、反復して摂取すると依存を生じることが知られており、本来の目的から逸脱した使用(乱用)がなされることがある。

    a b c
1 誤 正 正
2 正 誤 正
3 正 正 正
4 正 正 誤

解熱鎮痛薬に関する問題。
すべて頻出の医薬品である。

a 正しい。手引きの記述どおり。「エテンザミドは、痛みの発生を抑える働きが作用の中心となっている他の解熱鎮痛成分に比べ、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強いため、作用の仕組みの違いによる相乗効果を期待して、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることが多い。」
ACE処方アセトアミノフェンカフェインエテンザミド)という言葉も押さえておく。
b 当然誤り。あまり知られていないが、小児用のアセトアミノフェンの坐剤もある。
c 正しい。アリルイソプロピルアセチル尿素は鎮静成分であり、頭痛薬の鎮痛補助を目的に良く配合されている。連用による依存性に注意する必要がある。

正答・・・2

【問64】 解熱鎮痛薬及び解熱鎮痛薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a アスピリン喘息は、アスピリン特有の副作用であり、他の解熱鎮痛成分では発現しない。

b イブプロフェンは、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎またはクローン氏病の既往歴がある人において、それら疾患の再発を招くおそれがある。

c サリチルアミドは、インフルエンザにかかっている 15 歳未満の小児に対しては使用を避ける必要がある。

d 現在では、サザピリンが一般用医薬品で唯一のピリン系解熱鎮痛成分となっている。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)

解熱鎮痛薬及び解熱鎮痛薬に含まれる成分に関する問題。
すべて頻出医薬品である。

a 誤り。解熱鎮痛薬により誘発される喘息は「アスピリン喘息」と呼ばれることああるが、これはアスピリン特有の副作用ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性がある。
b 正しい。イブプロフェンに関する副作用に関する記述
c 正しい。サリチルアミドはサリチル酸系解熱鎮痛成分。正しい記述である。しかし、現在OTC薬で使用された製品の存在は不明。
 なお、一般用医薬品として、いかなる場合であっても15歳未満の小児に対しては、使用してはならないアスピリンサザピリンとは区別して憶えておく。
d 誤り。一般用医薬品唯一のピリン系解熱鎮痛成分イソプロピルアンチピリン。商品としては「セデス・ハイ」などに含まれる。

正答・・・3

【問65】 眠気を促す薬に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 一般用医薬品の酸棗仁湯は、症状の原因となる体質の改善を主眼としているため、症状の改善がみられなくても1ヶ月継続して服用する必要がある。

b 妊娠中にしばしば生じる睡眠障害は、抗ヒスタミン成分を主薬とする睡眠改善薬の適用対象である。

c 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬は、慢性的に不眠症状がある人や、医療機関において不眠症の診断を受けている人を対象とするものではない。

d 加味帰脾湯は、体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの貧血、不眠症、精神不安、神経症に適すとされる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)

眠気を促す薬に関する問題。

a 誤り。酸棗仁湯は不眠症や神経症に用いられる。手引きには「1週間位服用して症状の改善がみられない場合には、漫然と服用を継続せず、医療機関を受診するなどの対応が必要である。」と書かれている。
b 誤り。常識的にもわかるでしょう。
c 正しい。
d 正しい。加味帰脾湯も不眠症、神経症に用いられる漢方です。

正答・・・5

【問66】 カフェインに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 摂取されたカフェインは乳汁中へ移行しないため、授乳中の女性はカフェインの摂取量に注意する必要はない。

2 一般用医薬品の眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量は、カフェインとして 500 mg、 1日摂取量は 1500 mg が上限とされている。

3 胃液の分泌を減少させる作用があるため、胃腸障害(食欲不振、悪心・嘔吐)が現れることがある。

4 脳に軽い興奮状態を引き起こし、一時的に眠気や倦怠感を抑える効果がある。

5 腎臓におけるナトリウムイオンの再吸収促進作用があり、尿量の減少をもたらす。

カフェインに関しては必ず出題されると思っていよい。これは簡単。

1 誤り。摂取されたカフェインの一部は乳汁中に移行する。また、血液-胎盤関門を通過して胎児に到達することが知られており、胎児の発達に影響を及ぼす可能性がある。
2 誤り。眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量は500mg が上限とされている。
3 誤り。胃液分泌亢進作用がある。
4 正しい。総合感冒薬には良く配合されている。
5 誤り。真逆の内容になっている。、腎臓におけるナトリウムイオン(同時に水分)の再吸収抑制があり、尿量の増加(利尿)をもたらす。経験的にコーヒーでトイレが近くなることでも、わかるでしょう。

正答・・・4

【問67】 鎮暈薬(乗物酔い防止薬)に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a スコポラミン臭化水素酸塩は、乗物酔い防止に古くから用いられている抗コリン成分で、 消化管からよく吸収され、他の抗コリン成分と比べて脳内に移行しにくい。

b ジフェニドール塩酸塩は、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、 内耳への血流を改善する作用を示す。

c プロメタジンテオクル酸塩は、15 歳未満の小児では使用を避ける必要がある。

d メクリジン塩酸塩は、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが早く持続時間が短い。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)

乗り物酔い防止薬に関する問題。頻出という分野でもなくマイナー成分も登場しやすい為、どうしても難易度は高めになる。

a 誤り。古くから使われていることが正しいが、後半が誤り。スコポラミン臭化水素酸塩は、他の抗コリン成分と比べて脳内に移行しやすいとされるが、肝臓で速やかに代謝されてしまうため、抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間は短い。
b 正しい。ジフェニドールに関する内容。「トラベルミンR」に含まれるが、市販の含有製品は少ない。医療用では「セファドール」の商品名で知られる。
c 正しい。マイナーな成分だが、たまに出題される内容。プロメタジンテオクル酸塩等のプロメタジンを含む成分については、外国において、乳児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制を生じたとの報告があり、15歳未満の小児では使用を避ける。現在、含有する市販薬の存在は不明。
d 誤り。メクリジン塩酸塩は、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長く、専ら乗物酔い防止薬に配合されている。

正答・・・3

【問68】 小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬)に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 小児鎮静薬は、夜泣き、ひきつけ、疳の虫等の症状を鎮めるほか、小児における虚弱体質、 消化不良などの改善を目的とする医薬品である。

b 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていないため、生後1ヶ月の乳児に使用しても問題はない。

c 主な漢方処方製剤としては、桂枝加竜骨牡蛎湯 、抑肝散 、小建中湯がある。

d ジンコウは、ウシ科のサイカレイヨウ等の角を基原とする生薬で、緊張や興奮を鎮める作用等を期待して用いられる。

    a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 誤 正

小児鎮静薬は、毎年必ず出題されると思ってよい。ジンコウ(沈香)は知らなくてもしょうがない。

a 正しい。
b 誤り。これは頻出の内容。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合にあっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととなっている。
c 正しい。この中でも特に小建中湯は憶えておきたい。抑肝散も良く登場する。
d 誤り。ジンコウ(沈香)はマイナーな生薬。六神丸、小児六神丸に含まれている。直前期なら復習不要でしょう。
手引きでは「ジンチョウゲ科のジンコウ、その他同属植物の材、特にその辺材の材質中に黒色の樹脂が沈着した部分を採取したものを基原とする生薬で、鎮静、健胃、強壮などの作用を期待して用いられる。」と記載されている。

正答・・・2

【問69】 マオウに関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 気管支拡張のほか、発汗促進、尿量増加(利尿)の作用も期待される。

b 心臓病、高血圧、糖尿病または甲状腺機能障害の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがある。

c 中枢神経系に対する作用が他の気管支拡張成分に比べ弱く、依存性がない。

d 副作用として、排尿困難が現れることがある。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 正 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正

マオウ(麻黄)は、アドレナリン作動成分と同様の作用を示す生薬成分であることを知っていれば、対応できる。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。メチルエフェドリン塩酸塩やマオウについては、中枢神経系に対する作用が他の成分に比べ強いとされる。また依存性がある成分であることに留意する必要がある。
d 正しい。

正答・・・1

【問70】次の表は、ある鎮咳去痰薬に含まれている成分の一覧である。
 12 錠中
L-カルボシステイン 750 mg
ジヒドロコデインリン酸塩 30 mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 75 mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 12 mg 
この鎮咳去痰薬を販売するにあたって確認すべき事項の説明として、正しいものの組み合わ せはどれか。

a アドレナリン作動成分であるdl-メチルエフェドリン塩酸塩が含まれているので、使用者が心臓病、高血圧、糖尿病または甲状腺機能障害の診断を受けていないか確認する。

b 中枢神経系を興奮させる作用を示すL-カルボシステインが含まれており、てんかんの診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがあるため、使用者がてんかんの診断を受けていないか確認する。

c 痰の切れを良くする作用を示すクロルフェニラミンマレイン酸塩が含まれているが、フィブリノゲンやフィブリンを分解する作用もあるため、使用者が血液凝固異常のある人でないか確認する。

d 麻薬性鎮咳成分であるジヒドロコデインリン酸塩が含まれており、薬物依存につながるおそれがあるため、長期連用や大量摂取をしていないか確認する。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

すべて頻出医薬品である。落とさないように。

a 正しい。dl-メチルエフェドリン塩酸塩は、総合感冒薬・鎮咳去痰薬に頻用されている。
b 誤り。L‐カルボシステインは代表的な去痰成分である。医療用では「ムコダイン」で知られる。
c 誤り。クロルフェニラミンマレイン酸塩は代表的な抗ヒスタミン薬。総合感冒薬に頻用されている。後半部分はセミアルカリプロティナーゼ、ブロメラインに関する内容。
d 正しい。ジヒドロコデインリン酸塩は麻薬性鎮咳成分。総合感冒薬・鎮咳去痰薬に頻用されている。

正答・・・2
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