R4 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 (問91-100)

問95(漢方薬・腸間膜静脈硬化症)問96(生薬)問97(消毒)は難しい。

問91
歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a サンシシは、アカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で、局所麻酔作用を期待して用いられる。

b オイゲノールは、齲蝕(むし歯)を生じた部分における細菌の繁殖を抑えることを目的として用いられる。

c ミルラは、血行を促進することを目的として用いられる。

d カルバゾクロムは、炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用を期待して歯槽膿漏薬に配合されている場合がある。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分等に関する問題。
ミルラは当ブロックでは令和2年にも出題有。なお、アロマオイル等として使用されているようだが、配合されている医薬品があるのはか不明。

a 誤り。サンシシはアカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で、抗炎症作用(×局所麻酔作用)を期待して用いられる。
b 正しい。
c 誤り。ミルラはカンラン科のミルラノキ等の植物の皮部の傷口から流出して凝固した樹脂を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる(収斂)作用のほか、抗菌作用も期待して用いられる。
d 正しい。関連記事:カルバゾクロム

正解・・・5


問92
禁煙補助剤及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ニコチン置換療法とは、喫煙習慣を継続したまま禁煙補助剤を使用し、その後、徐々に喫煙を減らしていく方法である。

b 禁煙補助剤には、1日1回皮膚に貼付することによりニコチンが皮膚を透過して血中に移行するパッチ製剤がある。

c ニコチンは、インスリンの血糖降下作用に拮抗して、インスリン製剤の効果を妨げるおそれがある。

d 咀嚼剤は、口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後、しばらくは使用を避けることとされている。

  a b c d
1 誤 正 正 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。

a 誤り。ニコチン置換療法は、ニコチンの摂取方法を喫煙以外に換えて(つまり喫煙は継続しない)離脱症状の軽減を図りながら徐々に摂取量を減らし、最終的にニコチン摂取をゼロにする方法である。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。「酸性」になると「ニコチンの吸収」が「低下する」。
↓アマゾンサイト


正解・・・1


問93
滋養強壮保健薬の配合成分等に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a アミノエチルスルホン酸(タウリン)は、肝臓機能を改善する働きがあるとされる。

b グルクロノラクトンは、生体におけるエネルギーの産生効率を高めるとされ、骨格筋に溜まった乳酸の分解を促す等の働きを期待して用いられる。

c エルゴカルシフェロールは、髪や爪、肌などに存在するアミノ酸の一種で、皮膚におけるメラニンの生成を抑えるとともに、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す働きがあるとされる。

d インヨウカクは、強壮、血行促進、強精(性機能の亢進)等の作用を期待して用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


滋養強壮保健薬の配合成分等に関する問題。

a 正しい。関連記事:アミノエチルスルホン酸(タウリン)
b 誤り。「乳酸の分解を促す」とくればアスパラギン酸ナトリウムグルクロノラクトンは、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあり、全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合されている場合がある。
c 誤り。これはシステインに関する記述。エルゴカルシフェロールは、ビタミンDに分類され、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素である。
d 正しい。

正解・・・3


問94
次の表は、ある一般用医薬品の滋養強壮保健薬に含まれている成分の一覧である。この滋養強壮保健薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

2錠中
リボフラビンリン酸エステルナトリウム 38mg
ピリドキシン塩酸塩 50mg
チアミン硝化物 20mg
ニコチン酸アミド 40mg
パントテン酸カルシウム 20mg

a ビタミンB12が含まれている。
b ピリドキシン塩酸塩は、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康を維持する。
c 服用により、尿が黄色くなることがある。
d 主に虚弱体質、妊娠・授乳期の骨歯の脆弱予防に用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


滋養強壮保健薬に関する問題。
dの正誤の判断は困難なので、a,b,cの正誤で判断する。

a 誤り。ビタミンB12はシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン塩酸塩等が該当するが、含まれていない。
b 正しい。なお、ピリドキシン塩酸塩はビタミンB6群に該当する。
c 正しい。リボフラビンリン酸エステルナトリウムはビタミンB2群に該当し、ビタミンB2の摂取により、尿が黄色くなることがある。なお、チアミン硝化物はビタミンB1群である。
↓リボフラビン含有のドリンク剤

d 誤り。これはカルシウム成分に関する記述。

正解・・・4


問95
次の漢方処方製剤の「適用となる症状・体質」と「重篤な副作用」の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

漢方処方製剤 適用となる症状・体質  重篤な副作用


1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


次の漢方処方製剤の「適用となる症状・体質」と「重篤な副作用」に関する問題。
これは難問である。

まず、「適用となる症状・体質」から容易に判断できるものについて。
aの「適用となる症状・体質」の記述の中で、特徴的なキーワード「汗のかきやすい傾向」「多汗症」「肥満に伴う関節の腫れ」から、防己黄耆湯の記述であることが容易に判断でき、aは誤りと判断できる。

また、dについては(難易度は高いが)「高血圧の随伴症状」「顔色が悪く」などのキーワードから七物降下湯に関する記述であり、誤りとなる。

次に、ポイントとなるのが、副作用の「腸間膜静脈硬化症」である。
問題作成の手引きには、加味逍遙散黄連解毒湯辛夷清肺湯清上防風湯防風通聖散について、稀におこる重篤な副作用としての記載があります。
(手引きに詳細は記載されていませんが、腸間膜静脈硬化症とは、大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化が生じ、血流が阻害されることによって腸管が慢性的に虚血状態になる疾患です。症状としては、腹痛、下痢、悪心・嘔吐などがあり、さらに重いイレウスの報告もあります。原因としては、特に山梔子(サンシシ)を含む漢方薬の長期連用したケースが多く報告されており、特に加味逍遙散での報告が割合的に多くなっています)
bの清上防風湯については、「赤ら顔」「にきび」「赤鼻(酒さ)」などの特徴的なキーワードも当てはまり、さらに「腸間膜静脈硬化症」の副作用についても該当するため、正しい記述となる。

そして、副作用の「偽アルドステロン症」の有無について。
偽アルドステロン症とカンゾウ(甘草)との関連から、カンゾウ(甘草)を含まない漢方薬では、偽アルドステロン症の記載があるのは誤りの可能性が高いと判断しても良いでしょう。これより、dの黄連解毒湯はカンゾウ(甘草)を含んでいないので、誤りだろうと判断できる。なお、茵蔯蒿湯もカンゾウ(甘草)を含んでいない。

これらより、正しい組み合わせは、b(清上防風湯)、c(茵蔯蒿湯)となる。

正解・・・3


問96

生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a アセンヤクは、アカネ科の Uncaria gambir Roxburgh の葉及び若枝から得た水製乾燥エキスを基原とする生薬で、整腸作用を期待して配合されている場合がある。

b サンザシは、バラ科のヤマザクラ又はカスミザクラの樹皮を基原とする生薬で、鎮痛、抗菌等の作用を期待して用いられる。

c ソウハクヒは、クワ科のマグワの根皮を基原とする生薬で、尿路の殺菌消毒効果を期待して配合されている場合がある。

d ヨクイニンは、イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とする生薬で、肌荒れやいぼに用いられる。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 正 誤 誤 正


生薬成分に関する問題。
アセンヤク(整腸)、ソウハクヒ(利尿)は、これまで殆ど出題されておらず、判断は難しかったでしょう。
直前期に余裕がなければ、他の頻出ポイントの学習を優先。

a 正しい。
b 誤り。これはオウヒ(桜皮)に関する記述。サンザシ(山査子)は、バラ科のサンザシ又はオオミサンザシの偽果をそのまま、又は縦切若しくは横切したものを基原とする生薬で、健胃、消化促進等の作用を期待して用いられる。
c 誤り。ソウハクヒ(桑白皮)は利尿成分で、煎薬として尿量減少に用いられる。
d 正しい。関連記事:ヨクイニン

正解・・・5


問97
消毒薬及びその配合成分等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a クロルヘキシジングルコン酸塩は、一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。

b イソプロパノールは、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する不活性効果はない。

c クレゾール石ケン液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。

d ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルは、酸性の洗剤・洗浄剤と反応して有毒な塩素ガスが発生するため、混ざらないように注意する。

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 正 正


消毒薬及びその配合成分等に関する問題。
これも難しい。特にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルは殆ど出題されたことがないので判断が難しい。

a 正しい。なお、 クロルヘキシジングルコン酸塩は結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
b 誤り。イソプロパノールは、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対する殺菌消毒作用を示す。合わせて、「イソプロパノールはウイルスに対する不活性効果はエタノールよりも低い」ことも押さえておこう。
c 正しい。クレゾール石ケン液に関する記述である。
d 誤り。これは、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系殺菌消毒成分に関する注意事項である。


なお、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルは、手引きには、クレゾール石ケン液と同様な殺菌消毒成分であると記載されている。現在、農薬液の付着性や浸達性を高めるための展着剤として使用されているが、消毒薬として使用されているかは不明でした。

正解・・・1


問98
消毒薬及びその配合成分等に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 手指又は皮膚の殺菌・消毒を目的とする消毒薬は、医薬品としてのみ製造販売されている。

b 生息条件が整えば消毒薬の溶液中で生存、増殖する微生物もいる。

c エタノールは、脱脂による肌荒れを起こしやすい。

d 次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類に対して殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する不活性効果はない。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


消毒薬及びその配合成分等に関する問題。

a 誤り。配合成分やその濃度等があらかじめ定められた範囲内である製品は、医薬部外品として流通することが認められている。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。塩素系殺菌消毒成分の次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉は、ウイルスに対しても殺菌消毒作用がある。そして、その作用は「強い酸化力」(還元力ときたら×)によるものである点も重要です。

正解・・・3


問99
衛生害虫及び殺虫剤・忌避剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ノミは、元来、ペスト等の病原細菌を媒介する衛生害虫である。

b シラミは、散髪や洗髪、入浴による除去、衣服の熱湯処理などの物理的方法では防除できないため、医薬品による防除が必要である。

c 蒸散剤は、容器中の医薬品を煙状又は霧状にして一度に全量放出させるものである。

d ディートを含有する忌避剤(医薬品及び医薬部外品)は、生後6ヶ月未満の乳児について、顔面への使用を避け、1日の使用限度(1日1回)を守って使用する必要がある。

  a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 正 誤 正


衛生害虫及び殺虫剤・忌避剤に関する問題。殺虫成分の出題ポイントも確認を。

a 正しい。
b 誤り。シラミの防除は、医薬品による方法(フェノトリン等)以外に物理的方法もあり、散髪や洗髪、入浴による除去、衣服の熱湯処理などがある。
c 誤り。これは燻蒸剤に関する記述。蒸散剤は殺虫成分を基剤に混ぜて整形し、加熱したとき又は常温で徐々に揮散するようにしたものである。
↓蒸散剤の例(バポナ殺虫プレート

d 誤り。ディートを含有する忌避剤(医薬品及び医薬部外品)は、生後6ヶ月未満の乳児への使用を避けることとされている。

正解・・・1


問100
一般用検査薬等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 一般用検査薬は、薬局においてのみ取り扱うことが認められている。

b 尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出反応は、温度の影響を受けない。

c 尿糖検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、尿タンパク検査の場合、食後2~3時間を目安に採尿を行う。

d 通常、尿は弱アルカリ性であるが、食事その他の影響で弱酸性~中性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 誤 正 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 誤 誤


妊娠検査薬尿糖・尿タンパク検査薬の複合タイプ問題である。

a 誤り。一般用検査薬については薬局又は医薬品の販売業(店舗販売業、配置販売業)において取り扱うことが認められている。
実際には、尿糖・尿タンパク検査薬妊娠検査薬は第二類医薬品扱いであり、薬局機能のない店舗販売業でも販売可能である。(配置販売業も可能だが、まずやっているところはない)
b 誤り。妊娠検査薬は高温になる場所に放置されたり、冷蔵庫内に保管されていたりすると、設計どおりの検出感度を発揮できなくなるおそれがある。
c 誤り。尿糖検査の場合、食後1~2時間等、検査薬の使用方法に従って採尿を行う。尿タンパクの場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とする。(尿糖・尿タンパク同時検査の場合、早朝尿(起床直後の尿)を検体とする)
尿糖・尿タンパク検査薬

d 誤り。通常、尿は弱酸性であるが、食事その他の影響で中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。

正解・・・5

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