情報ニュースでも度々取り上げられているように、中国人や台湾人旅行者の間で、日本のドラックストアで購入できる一般用医薬品が、お土産として人気になっています。

現地のSNSや、旅行者向けの情報誌において話題になることで注目を浴び、特に「12の神薬」と呼ばれる商品が、こぞって土産物として購入されています。
もちろんドラックストアでも、「12の神薬」を意識したPOP作成や売り場づくりがされており、インバウンド需要を逃さないための対応が行われています。

ここでは、主に販売者サイドの視点から、この「12の神薬」と呼ばれている商品について、その特徴も踏まえながら紹介いきます。

まず、「12の神薬」と呼ばれている製品は以下の12種類です。
(厳密には、熱さまシートは医薬品ではありません。)

サンテボーティエ(参天製薬)
龍角散(龍角散)
熱さまシート(小林製薬)
サカムケア(小林製薬)
サロンパス(久光製薬)
アンメルツヨコヨコ(小林製薬)
イブクイック(エスエス製薬)
ニノキュア(小林製薬)
ハイチオールC(エスエス製薬)
ビューラックA(皇漢堂製薬)
口内炎パッチ大正A(大正製薬)
命の母A(小林製薬)

このうち、小林製薬の商品が5種類と一番多く際立っています。
一方で、大手の大正製薬は1種類のみ、第一三共、武田薬品の商品は一つも入っていません。
また、外用薬がメインで、内服薬はイブクイック、ハイチオールC、命の母、ビューラックAの4種類のみ。日本製の総合感冒薬も売れていると聞きますが、「12の神薬」の中には含まれていません。

医薬品のリスク区分で捉えた場合、解熱鎮痛薬であるイブクイックは指定第2類医薬品であり、その他は第2類以下です。

次に、各商品の特徴を簡単に触れたいと思います。(画像はアマゾンサイトより)

サンテボーティエ(目の新陳代謝を促進)・・タウリンを配合

この製品に関しては、効き目がどうこうより、「見た目」のオシャレさから、人気につながった製品でしょう。

香水のような容器で、とても目薬とは思えない外観が、お土産として受けています。「目薬のエルメス」とも呼ばれています。

また、中国では、空気が汚く、ほこりっぽい地域が多いため、当然目にダメージを受けることが多くあります。その為、この商品に限らず、目薬はお土産として結構人気だそうです。

有効成分としては、タウリンが主要な位置づけになっており、加齢や、目の酷使、疲労で低下するとされる新陳代謝機能(目のターンオーバー)の改善を促す効果が期待されています。

他にも、痒み・炎症を抑えるクロルフェニラミンマレイン酸、毛様体筋に働くビタミンB12、角膜を保護・保湿するコンドロイチン、充血を抑えるテトラヒドロゾリンといった成分も配合されています。

なお、区分としては第2類医薬品の扱いになります。

龍角散(のどを潤す)

PM2.5のニュースでわかる通り、中国の大気汚染は半端ではなく日常生活の中で喉をやられていまうことは珍しくありません。

一応、第3類扱いの医薬品ですが、日本製という信頼性とトローチという剤型で、お土産としても配りやすいのでしょう。

有効成分はキキョウ末、セネガ末、カンゾウ成分抽出物、キョウニン、ニンジン末 等の生薬成分です。マンゴーやピーチ、ミントと、様々な味の商品があります。

熱さまシート

これは、日本人にも人気の製品です。おもに発熱時に使用する冷却ジェルシートです。

実際使ったことがある人も多いでしょう。

サカムケア(液体絆創膏)

著者も今まで5回ほど中国を訪れたことがありますが、特に冬場の内陸部における乾燥は半端ではありません。
冬場、日本から北京に出張や旅行で訪れると、すぐに肌や唇が乾燥して、口角が裂けて痛い思いをした人も多いはず。

中国人にとっても、特に乾燥地域や、寒冷地に住んでいる人には、とても実用性のある便利な医薬品なのでしょう。確かにお土産として喜ばれそうです。

代替商品としては「コロスキン」等があります。但し、パッケージからの用途の分かり易さは、サカムケアの方が優れています。

サロンパス(湿布)

日本でもお馴染みの湿布薬ブランドです。箱のサイズの割には、枚数が結構入っているのでお土産としても最適なのかもしれません。

昔からある通常版の他に、穴あきタイプや低刺激タイプの商品もあります。

なお、中国のすぐ南にあるベトナムでは「サロンパス」が早くから進出しており、「サロンパス」ブランドは大変有名です。良く看板も見かけます。

サロンパスの広告(ハノイ)

アンメルツヨコヨコ(消炎鎮痛薬)

 同ブランドには「アンメルツヨコヨコ」と「ニューアンメルツヨコヨコA」があり、爆買いの対象になっているのは、陳列の多い「ニューアンメルツヨコヨコA」の方だと思われます。

主成分がサリチル酸メチルと、サリチル酸グリコールという違いがありますが、大きな効果の違いはありません。

なお、どちらも第3類医薬品の区分になります。

イブクイック(頭痛薬)・・「12の神薬」唯一の指定第2類医薬品

日本でも、頭痛薬の中では人気商品と言っ良いでしょう。イブプロフェンが主成分です。

なお、同ブランドには「イブ」「イブA]「イブA EX」もありますが、「イブクイック」が最上位商品になります。胃粘膜保護成分である酸化マグネシウムも一緒に配合されているのが特徴です。
その他に鎮静成分のアリルイソプロピルアセチル尿素無水カフェインも配合されています。

また、同ブランドの中位クラス「イブA」には、近年オシャレなパッケージ包装のバージョンもあり、外国人観光客の目を引くかもしれません。


しかし、この製品も含め解熱鎮痛薬や総合感冒薬については、「お土産」目的の安易な大量買いを安易に見過ごすのは、販売側にとって多少リスクになるかもしれません。
この分野では指定第2類医薬品以上のリスク区分が多いですが、原則「禁忌事項」の確認が求められます。

また、これらの分野の医薬品は、一般的な副作用の他に、極めて稀とはいえ、予測できない重篤な副作用のリスクも、他の医薬品よりも相対的に高いことは、医薬品販売に従事していればご存じでしょう。

その為、売り場責任者、経営者の立場としては、「一人〇〇個まで」「原則本人使用のみ」等のメッセージを、POP等で伝え、適正販売の姿勢を示した方が良いかもしれません。
2016.2現在、特に行政からの勧告について聞きませんが、今後なんらかのメッセージが行政やメーカーから発信される可能性はあると思います。

 

ニノキュア(尿素クリーム)・・・角質除去、保湿効果

尿素を一般用医薬品最高量の20%配合した外用薬で、角化した皮膚をやわらかくしてくれます。もちろん尿素には保湿効果も期待されます。
他に、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)、グリチルリチン酸モノアンモニウムも有効成分として含有しています。

代替品としてはパスタロンM20%(佐藤製薬)、メンソレータム皮フ軟化クリームなどがあります。

ハイチオールC(シミ・そばかす対策)



同ブランドには、ハイチオールCホワイティア、ハイチオールCプラス、ハイチオールプレミエールがありますが、実際のところ、多少含有量が違うものの、成分に大きな違いはありません。

一応、ハイチオールCホワイティアが最上位になり、1日量あたり、L-システイン240mg、アスコルビン酸50mg、パントテン酸カルシウム30mg含有しています。

CMでも見かけるように「シミ・そばかす対策」が主なターゲットの医薬品ですが、添付文書の効能効果は

○しみ・そばかす・日やけなどの色素沈着症○全身倦怠○二日酔○にきび、湿疹、じんましん、かぶれ、くすりまけ

と幅広い内容になっています。

ビューラックA(便秘薬)

「あれ?名前間違ってない?」と思った方もいるかもしれません。

ビサコジルを主成分とする便秘薬としては、日本人には「コーラック」の方が有名ですが、「12の神薬」と言われているのは、皇漢堂製薬の「ビューラック」の方です。

なお、爆買いで売り切れしまった時は、「コーラック」を代替推奨できるぐらいの対応力はつけておきましょう。

口内炎パッチ大正A

中国や外国には同じような商品がないのか、人気があるそうです。
これは確かに便利かもしません。

命の母A(更年期障害)

更年期障害の症状緩和を目的に販売されている生薬製剤です。
正直お土産としてはどうかと思いますが、ネーミングが気に入られているそうです。







以上が、2016年2月現在、中国人・台湾人観光客に「12の神薬」と言われている、日本の医薬品です。

日本の医薬品の商品力は高いので、これからも、観光客をひきつける商品が、登場してくるでしょう。(例えば、日本製の水に強い絆創膏や、乾燥対策のリップクリームなども人気です。)

もしドラックストアに勤務しているのであれば、しばらく続くインバウンド景気を逃さないように、職場内で売れ筋商品の共有や、代替商品の確認、新たなニーズの掘り起こしなど、積極的な売り場づくりに励んでください。

もちろん、医薬品という性質上、販促活動には、ある程度のモラル・節度が必要ですので、特に第2類以上の内服薬には注意が必要であることも忘れないでください。