H30 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品 (PM問11-20)

2章後半は標準的なレベル。過去問で十分対応可能。

問 11 骨格系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 骨の基本構造は、骨質、骨膜、骨髄、関節軟骨の四組織からなる。

b 骨は生きた組織であり、成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成) が行われている。

c 骨には、カルシウムやリン等の無機質を蓄える機能はない。

d 関節周囲を包む膜(関節膜)の外側には靭帯があって骨を連結し、関節部を補強している。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


骨格系に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。いわゆる「骨の新陳代謝(骨吸収・骨形成)」に関する内容。
c 誤り。骨の特徴の一つとして貯蔵機能があり、カルシウムやリン等の無機質を蓄える機能がある。
d 正しい。

正答・・・2


問 12 骨格筋に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。なお、同じ記号の( )内には同じ字句が入る。

骨格筋は収縮力が強く、( a )であるが、疲労しやすく、長時間の動作は難しい。骨格筋の疲労は、運動を続けることでエネルギー源として蓄えられている( b )が減少し、酸素や栄養分の供給不足が起こるとともに、( b )の代謝に伴って生成する( c )が蓄積して、筋組織の収縮性が低下する現象である。

  a b c
1 随意筋 アミノ酸 乳酸
2 不随意筋 アミノ酸 酢酸
3 不随意筋 グリコーゲン 乳酸
4 不随意筋 グリコーゲン 酢酸
5 随意筋 グリコーゲン 乳酸


 骨格筋に関する問題。

a 随意筋
b グリコーゲン
c 乳酸

これに対し、心筋・平滑筋は不随意筋(意識的にコントロールできない筋組織)であり、自律神経系に支配されている。

正答・・・5


問 13 中枢神経系及び末梢神経系に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 脳における細胞同士の複雑かつ活発な働きのため、脳において、血液の循環量は心拍出量の約15%、酸素の消費量は全身の約20%、ブドウ糖の消費量は全身の約25%と多い。

2 脊髄には、心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢がある。

3 交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はアセチルコリンであり、副交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はノルアドレナリンである。ただし、汗腺を支配する交感神経線維の末端では、例外的にノルアドレナリンが伝達物質として放出される。

4 末梢神経系は、その機能に着目して、随意運動、知覚等を担う自律神経系と、呼吸や血液の循環等のように生命や身体機能の維持のため無意識に働く体性神経系に分類される。


中枢神経系及び末梢神経系に関する問題。
特に、脳における酸素消費量・ブドウ糖消費量、自律神経系の神経伝達物質は頻出である。

1 正しい。
2 誤り。心臓中枢、呼吸中枢等があるのは「延髄」である。
3 誤り。自律神経に関する内容。通常、交感神経の神経伝達物質はノルアドレナリン副交感神経はアセチルコリン汗腺を支配する交感神経線維末端例外的にアセチルコリンが伝達物質。
4 誤り。自律神経系⇔体性神経系

正答・・・1


問 14 薬の代謝及び排泄に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 全身循環に移行する医薬品の有効成分の量は、消化管で吸収された量よりも、肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなる。これを肝初回通過効果(first-pass effect)という。

b 小腸などの消化管粘膜には代謝活性がない。

c 腎機能が低下した人では、正常の人よりも医薬品の有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくいため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。

d 医薬品の有効成分の多くは、血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成することによって、薬物代謝酵素による代謝を受けやすくなる。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


薬の代謝及び排泄に関する問題。

a 正しい。肝初回通過効果(first-pass effect)は中身もしっかり憶えておくように。
b 誤り。手引きの記載によると「最近の研究により、小腸などの消化管粘膜や腎臓にも、かなり強い代謝活性があることが明らかにされている 」
c 正しい。
d 誤り。複合体を形成している有効成分の分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されず、トランスポーターでの輸送も行われず、代謝や分布が制限される。(手引きより)

正答・・・3


問 15 消化管吸収に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

特殊な製剤を除く内服薬のほとんどは、( a )で有効成分が溶出するものが大部分であり、有効成分は主に( b )で吸収される。一般に、消化管からの吸収は、濃度が高い方から低い方へ( c )に拡散していく現象である。

  a b c
1 食道  胃  受動的
2 胃  小腸  受動的
3 胃  小腸  能動的
4 小腸  小腸  受動的
5 小腸  大腸  能動的


消化管吸収に関する問題。
有効成分は主に(胃ではなく)「小腸」で吸収される。

a 胃
b 小腸
c 受動的

正答・・・2


問 16 医薬品の使用方法等に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 錠剤(内服)を服用するときに、水が少なかったり、水なしで服用したりすると、錠剤が喉や食道に張り付いてしまうことがあり、薬効が現れないのみならず、喉や食道の粘膜を傷めるおそれがある。

b 顆粒剤は粒の表面がコーティングされているものがあるので、噛み砕かずに水などで食道に流し込む。

c 外用液剤は、軟膏剤やクリーム剤に比べて、患部が乾きにくく、適用部位に直接的な刺激感を与えない。

d カプセルの原材料として広く用いられているゼラチンはブタなどのタンパク質を主成分としており、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要である。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


医薬品の使用方法等に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。軟膏剤やクリーム剤に比べて、患部が乾きやすいという特徴がある。身近なものとしては水虫用の液剤がある。
d 正しい。

正答・・・2


問 17 全身的に現れる症状に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態で、最初に報告をした二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれる。

2 ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種である。

3 偽アルドステロン症は、体内にカリウムと水が貯留し、体から塩分(ナトリウム)が失われることによって生じる病態である。

4 黄疸とは、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより、皮膚や白眼が黄色くなる病態である。


全身的に現れる症状に関する問題。
 重篤な皮膚粘膜障害に関しては、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)の微妙な違いはしっかり押さえておこう。

1 正しい。
2 正しい。ショック(アナフィラキシー)は即時型のアレルギーである。
3 誤り。偽アルドステロン症は超重要。カリウムと塩分(ナトリウム)が逆になっている。3章、5章でも頻出。
4 正しい。

正答・・・3


問 18 消化性潰瘍及びイレウス様症状(腸閉塞様症状)に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 消化性潰瘍は、大腸の粘膜組織が傷害されて、その一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態である。

b 消化性潰瘍では、必ず自覚症状があり、胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。

c イレウス様症状(腸閉塞様症状)が悪化すると、腸内容物の逆流による嘔吐が原因で脱水症状を呈することがあるが、腸内細菌の異常増殖によって全身状態の衰弱が急激に進行することはない。

d 小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は、イレウス様症状(腸閉塞様症状)の発症リスクが高い。

  a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤


消化性潰瘍及びイレウス様症状(腸閉塞様症状)に関する問題。

a 誤り。×大腸→〇胃や十二指腸
b 誤り。。自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある。
c 誤り。全身状態の衰弱が急激に進行する可能性がある。
d 正しい。

正答・・・1


問 19 間質性肺炎に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 間質性肺炎の症状は、かぜや気管支炎の症状と区別が難しいことがある。

b 間質性肺炎は、気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものである。

c 間質性肺炎は、原因となる医薬品の使用開始から1~2週間程度で起きることが多く、必ず発熱を伴う。

d 間質性肺炎が悪化しても、肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)となることはない。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤


間質性肺炎に関する問題。
間質性肺炎とは、肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもである。

a 正しい。
b 誤り。
c 誤り。必ずしも発熱は伴わない。 
d 誤り。間質性肺炎は、症状が一過性に現れ、自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)に移行することがある。 

正答・・・5


問 20 医薬品の副作用に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 医薬品が原因となる接触皮膚炎は、その医薬品が触れた皮膚の部分だけでなく、全身へ広がって重篤化することが特徴である。

2 医薬品が原因となる光線過敏症は、貼付剤を剥がした後でも発症することがある。

3 薬疹は、あらゆる医薬品で起きる可能性がある。また、同じ医薬品でも生じる発疹の型は 人によって様々である。

4 薬疹は、医薬品の使用後1~2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある。


医薬品の副作用に関する問題。


1 誤り。接触皮膚炎は、いわゆる「肌に合わない」という状態で、医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴。一方で、アレルギー性皮膚炎は発症部位は医薬品の接触部位に限定されない。
2 正しい。
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・1

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