H27 新潟県・群馬県・栃木県・長野県・山梨県 第3章 主な医薬品とその作用(問81-90)

問86(駆虫薬)はどうしても難しくなる。問89(歯痛薬)もやや難しい。
他は標準~頻出レベルの知識で十分正答できる。

【問81】 胃に作用する薬に含まれる成分と、その主な配合目的の関係について、正しいものの組み合わせはどれか。

      成分                                       主な配合目的
a ピレンゼピン塩酸塩              ―   胃液分泌抑制作用
b グリチルリチン酸二カリウム   ―   制酸作用
c セトラキサート塩酸塩           ―   消泡作用
d アルジオキサ                       ―   胃粘膜保護・修復作用

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

胃腸薬の中では頻出の部類の成分ばかり。すべて理解しておきたい。

a 正しい。ピレンゼピンは胃酸分泌を抑える効果が期待される。商品に「M1ブロッカー」と記載されているのは、このピレンゼピンが含まれている。製品としては「ガストール」等がある。
b 誤り。グリチルリチン酸二カリウムとくれば抗炎症作用。
c 誤り。セトラキサート塩酸塩は胃粘膜保護・修復成分。セトラキサートは体内で代謝されてトラネキサム酸を生じることも、良く問われる。なお、消泡作用のある成分はジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)
d 正しい。アルジオキサは、市販薬では代表的な胃粘膜保護・修復成分の一つ。頻出である。

正答・・・3

【問82】 胃腸に作用する薬に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 制酸薬は、胃内容物の刺激によって促進される胃液分泌から胃粘膜を保護することを目的として、食後に服用することとなっているものが多い。

b 制酸薬は、吐きけ(二日酔い・悪酔いのむかつき・嘔気)、嘔吐等の症状を予防するものではない。

c 制酸成分を主体とする胃腸薬は、酸度の高い食品と一緒に使用すると胃酸に対する中和作用が低下することが考えられるため、炭酸飲料での服用は適当でない。

d 一般用医薬品は、症状に合った成分のみが配合された製品が選択されることが望ましいため、制酸、胃粘膜保護、健胃、消化、整腸等、それぞれの作用を目的とする成分を組み合わせた製品は販売されていない。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

胃腸薬に関する問題。
これは簡単でしょう。

a 誤り。制酸薬は、胃内容物の刺激によって促進される胃液分泌から胃粘膜を保護することを目的として、食前又は食間に服用することとなっているものが多い
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。総合胃腸薬の存在を知っていればOK。

正答・・・4

【問83】 胃腸鎮痛鎮痙薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 抗コリン成分による作用は、消化管に限定されないため、散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、顔のほてり、口渇、排尿困難等の副作用が現れることがある。

b ブチルスコポラミン臭化物は、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることが知られている。

c 抗コリン成分は、胃痛、腹痛、さしこみ(疝痛、 癪)を鎮めるが、胃酸過多や胸やけに対しては効果が期待できない。

d ロートエキスは、吸収された成分の一部が母乳中に移行して、その母乳を飲んだ乳児の脈が遅くなるおそれがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

胃腸鎮痛鎮痙薬に関する問題。
一見簡単そうだが、広い知識を持ち合わせていないと迷う。

a 正しい。今回はひっかけはないが、抗コリン成分⇒散瞳はしっかり押さえておく。「縮瞳」でひっかけの場合があるので注意。
b 正しい。ブチルスコポラミン臭化物は、販売現場でも重要な成分。「ブスコパンA錠」で知られる。
c 誤り。手引きに、「抗コリン薬は胃酸過多や胸やけに対しても効果が期待できる」と記載がある。
d 誤り。ロートエキスの母乳への影響について。乳児の脈が速くなるおそれがある。

正答・・・1

【問84】 胃腸鎮痛鎮痙薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a パパベリン塩酸塩は、抗コリン成分と異なり自律神経系を介した作用がないため、眼圧を上昇させる作用を示さない。

b アミノ安息香酸エチルは、メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため、6歳未満の小児への使用は避ける必要がある。

c オキセサゼインは、局所麻酔作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用もある。

d エンゴサクやシャクヤクは、鎮痛鎮痙作用を期待して配合されている場合がある。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

胃腸鎮痛鎮痙薬に関する問題。

a 誤り。 パパベリン塩酸塩は、抗コリン成分とは異なるが、眼圧を上昇させる作用も示すことが知られている。
b 正しい。アミノ安息香酸エチル6歳未満の小児への使用を避ける内容は頻出(特に第5章)
c 誤り。オキセサゼインは局所麻酔成分で胃酸分泌抑制作用もあるとされる。代表製品はサクロン。しかし、「ゼラチン状の皮膜・・・」はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムに関する記述。
d 正しい。

正答・・・5

【問85】 浣腸薬及び浣腸薬に含まれる成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 直腸内で徐々に分解して微細な気泡を発生することで直腸を刺激する作用を期待して、グリセリンが注入剤の配合成分として、用いられる。

b グリセリンが配合された浣腸薬が、肛門や直腸の粘膜に損傷があり出血しているときに使用されると、グリセリンが傷口から血管内に入って、赤血球の破壊(溶血)を引き起こすおそれがある。

c 直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため、妊婦または妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきである。

d 浸透圧の差によって腸管壁から水分を取り込んで直腸粘膜を刺激し、排便を促す効果を期待して、炭酸水素ナトリウムが用いられる。

    a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 正 誤 誤 誤
3 正 正 誤 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 正 正

浣腸薬に関する問題。
選択肢は甘いので、それ程知識がなくても正答できる。

a 誤り。
b 正しい。グリセリン浣腸に関する基本内容です。
c 正しい。これも良く問われる内容です。
d 誤り。これはグリセリンに関する内容。炭酸水素ナトリウムの坐剤は、直腸内で徐々に分解して炭酸ガスの微細な気泡を発生し、それが直腸を刺激し排便を促す。製品名としては「レシカルボン」が知られる。

正答・・・4

【問86】 駆虫薬及び駆虫薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 駆除した虫体や腸管内に残留する駆虫成分の排出を促すため、ヒマシ油が併用される。

2 カイニン酸は、 蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用を示すとされる。

3 サントニンは、服用後、一時的に物が黄色く見えたり、耳鳴り、口渇が現れることがある。

4 パモ酸ピルビニウムは、空腹時に服用するよりも、脂質分の多い食事の後に服用した方が効果的である。

駆虫薬の問題はどうしても難易度が高くなりやすい。
直前期で時間がなければ、ヒマシ油とパモ酸ピルビニウムだけでも憶えて。

1 誤り。駆虫薬に関する問題で、ヒマシ油に関する内容は、なぜか頻出。
2 誤り。カイニン酸はは回虫の駆除に用いられる。
3 正しい。サントニンは回虫の駆除に用いられる。
4 誤り。パモ酸ピルビニウムは駆虫薬の中では出題頻度は高いが、かなり細かい知識が問われた。腸管内で吸収されやすくなるのを避ける為、空腹時が望ましい

正答・・・3

【問87】 外用痔疾用薬に含まれる成分と、その主な配合目的に関する次の組み合わせのうち、 正しいものはどれか。

      成分                主な配合目的
1 メチルエフェドリン塩酸塩    ―  抗ヒスタミン成分による鎮痒作用
2 ヒドロコルチゾン酢酸エステル  ―  抗炎症作用
3 ビタミンA           ―  末梢血管の血行を改善する作用
4 ジフェンヒドラミン塩酸塩    ―  収斂保護止血作用
5 タンニン酸           ―  局所刺激成分による鎮痒作用

外用痔疾用薬に関する問題。
今までステロイド成分の出題は少ないが、これは簡単に判断できるように。

1 誤り。メチルエフェドリン塩酸塩は代表的なアドレナリン作動性成分。外用薬としては止血成分として働く。
2 正しい。ヒドロコルチゾン酢酸エステルはステロイド成分。
3 誤り。ビタミンAはキズの治りを促進する成分。肛門周囲の末梢血管の血行を改善する作用を期待して用いられるのはビタミンE
4 誤り。ジフェンヒドラミン塩酸塩は代表的抗ヒスタミン成分。
5 誤り。

正答・・・2

【問88】 泌尿器に用いられる漢方処方製剤に関する次の記述について、( )の中に入れるべき製剤の正しい組み合わせはどれか。

( a )は、体力に関わらず、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、 残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。

( b )は、体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるものの排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ(おりもの)、頻尿に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不 快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

( c )は、体力中等度以下で、疲れやすくて尿量減少または多尿で、ときに手足のほてり、口渇があるものの排尿困難、残尿感、頻尿、むくみ、痒み、夜尿症、しびれに適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、 不向きとされる。

a b c
1 六味丸    猪苓湯     竜胆瀉肝湯 
2 猪苓湯    竜胆瀉肝湯   六味丸 
3 竜胆瀉肝湯  猪苓湯     六味丸 
4 六味丸    竜胆瀉肝湯   猪苓湯

泌尿器に用いられる漢方薬に関する問題。

猪苓湯に関する記述。
竜胆瀉肝湯に関する記述
c 六味丸に関する記述。六味丸は、牛車腎気丸、八味地黄丸ともセットで憶えておく。


正答・・・2

【問89】 外用の歯痛薬に含まれる成分と、その主な配合目的に関する次の組み合わせの正誤について、正しい組み合わせはどれか。

成分 主な配合目的
a フェノール     ―  局所麻酔作用
b サンシシ      ―  抗炎症作用
c ジブカイン塩酸塩  ―  殺菌消毒作用
d メントール     ―  鎮痛・鎮痒作用

    a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 正 正 誤
3 誤 誤 正 誤
4 正 誤 正 正
5 正 正 誤 誤

それ程出題頻度は高くない歯痛薬に関する問題。これは、マイナーな成分も多く難しい。

a 誤り。フェノールは殺菌消毒成分である。
b 正しい。
c 誤り。ジブカイン塩酸塩は局所麻酔成分。「新今治水」にも配合されている。
d 正しい。

正答・・・1

【問90】 次の表は、ある止瀉薬に含まれている成分の一覧である。

2カプセル中
アクリノール水和物 30 mg
ベルベリン塩化物水和物 70 mg
次硝酸ビスマス 200 mg
ロートエキス 20 mg
エンゴサク末 70 mg
カンゾウ末 80 mg

この止瀉薬を購入しようとしている女性に対する説明の趣旨の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ベルベリン塩化物水和物は、収斂作用のほか、腸内で発生した有毒物質を分解する作用も持つ成分です。

b 母乳を与える女性では使用を避けるか、または使用期間中の授乳を避けることが必要です。

c 緑内障の方でも安心して服用できます。

  a b c
1 誤 誤 誤
2 誤 正 誤
3 誤 誤 正
4 正 誤 誤
5 正 正 誤

止瀉薬の販売に関する問題。
止瀉薬であるアクロミンカプセルA(小林薬工)に関する問題と思われます。
aのベルベリン塩化物の判断に迷うかもしれないが、b.cの判断は容易。

a 誤り。これはビスマスに関する内容である。ベルベリン塩化物水和物は腸内殺菌成分。
b 正しい。
c 誤り。

正答・・・2
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